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一番好きな日本昔ばなしについて



学校で日本昔ばなしをよく見た。
おそらく道徳の時間。小さなTVで見た。

最近は、めっきり日本昔ばなしを見なくなった。
TVで今もやっているのだろうが、何時にやっているかもわからない。
きっと、今は画面のサイズも大きいのだろう。
もしかしたら、絵柄も異なっているのかも。

記憶の限りで、一番好きな日本昔ばなしがある。
意外と忘れていないものである。



『貧乏神と福の神』


学校で一度だけしか見なかったが、一番感動した日本昔ばなしだった。

以下、内容記載のため、注意。



働き者でやさしい夫婦がいた。ふたりの家には、貧乏神が住み着いていた。
貧乏神が住みついているから、夫婦はいつまでもお金持ちにはなれない。
夫婦の家から去ろうとしていた貧乏神に、夫婦はずっといても良いという言葉をかけ、貧乏神は喜んだ。
ある日、福の神が現れる。貧乏神は追い出されると、不安になったが、夫婦は福の神を帰らせた。

上記までの展開を見た後、「あ、きっとこの貧乏神が福の神になるんやろな」と思った。
それでお金持ちになって、めでたしめでたし終わりなんやなと思った。

しかし、貧乏神は貧乏神のままだった。
夫婦はお金持ちにはならず、貧乏のままだったが、それでも結構幸せに暮らしたという終わり方だった。

衝撃だった。
世の中の児童向けの話は往々にして、豊かになって終わるものばかりだったから。
どうせ学校の何のために存在しているか分からない道徳の本の話みたいな終わり方をするんだろうなと思っていたから。

貧乏神は、夫婦にとって利益とならない。
メリットがない存在である。
それでも愛され、ともに幸せに暮らすことができるんだと驚いた。
お互いに利益のある関係性でしか幸せを築くことは難しいと思っていた。

中には、夫婦はただのお人好しで、それのせいでお金持ちになれなかったという見方をする人もいただろう。
しかし、私にとってはお金持ちにならなければ、幸せになれないわけではないということを伝えてくれた重要な話だった。

小学生の段階で、将来お金持ちになりたいと思う子は多いだろう。
なぜなら、お金で買える欲しいものが全て手に入るのだから。
欲しいもの全てを手に入れることが、幸せになる道だと信じていた。
この話を見たことで、そう思い込んでいたことに気づき、驚いた。
そりゃお金はないよりはあった方が良いが、お金がないと幸せになれない、なんてことはない。
お金持ちが全員幸せかといえば、そうではない。
お金=幸せと思い込んでいた自分に情けなくなった。



内容ばかり話したが、貧乏神がちょっと間抜けな感じで、
ゆるかわいいのもおもしろかった。

学校教育で一番ためになった授業だったかもしれない。


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