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サラリーマンでも行ける‼ 3泊5日でヨーロッパ ベルギーの旅①

 2009年5月、この記事の第1回から登場している彼女にプロポーズをし、一緒に住み始めた。特に何か理由やきっかけがあったわけではないのだが、交際も7年近くになり、なんとなく一つの形にしなくてはいけないと思った。様々な理由で2023年の今でも入籍はしておらず事実婚の状態だが、2人の間では、同居生活開始後初めていったベルギーを「新婚旅行」としている。

 ベルギーへは直行便が飛んでいないので、パリのシャルル・ド・ゴール空港を経由する。空港の地下からベルギーの首都ブリュッセルまでフランスの高速列車TGVが走っていて所要時間は僅か3時間程度。非常に便利だ。TGVのチケットも日本で入手できた。
 シャルル・ド・ゴール空港は、ヨーロッパ旅行の拠点となる空港なので利用機会は多いのだが、空港外へ出るのは実は初めて。案内表示に従ってTGV乗り場へ進む。しかし、自分の乗る列車がどれなのか、車両や座席はどこなのかよくわからない。フランスに限らず外国の鉄道は案内表示が少ない。
 近くにいた係員らしき男性に尋ねると、非常に流暢な日本語で「あそこに停まっている列車です。後ろから3両目に乗ってください」と教えられ驚く。最近は日本に留学していたり、アニメーションやマンガが好きだったりして日本語を理解する外国人も多い。旅先で「誰もわからないだろう」と日本語でふざけた会話をしていていると、急に日本語で話しかけられて肝を冷やすことが珍しくない。
 TGVは快適だが、フランスの景色は麦畑ばかりで退屈だ。時差の関係もあり寝不足とあって少し眠る。

 ブリュッセルには北・中央・南の3つの駅があり、今回泊まるホテルは中央駅が近いのだが、TGVが着くのは南駅。ここからブリュッセルの中心街へはトラムで移動するのだが、ベルギーには世界でも珍しい地下を走るトラムがある。トラムは日本語では「路面電車」と訳すのが適当だが、「地下を走るのは路面ではないからトラムといっていいのだろうか」など、妙なことが気にかかる。目的の駅に着き地上に向けて歩いていると、妻が「トラム降りてからさっきまで、男2人がずっと後ついてきていた。今はいなくなったけど」と話しかけてきた。スリか引ったくりだろうか。これまで海外では危険な目に遭ったことは一度もなく、珍しい地下トラムに気を取られて少々周囲への注意が散漫になっていたようだ。気を引き締めなくては。

 ブリュッセル旧市街は、文豪ビクトル・ユーゴーが「世界一美しい広場」と絶賛したグラン・プラスを中心に広がっている。地下トラムから地上にでると、そこはもうグラン・プラスのすぐ近く。ホテルは広場の反対側なので自然に通り抜けることになる。もう日が落ちており、飲食店には大勢の人がいる。ベルギーはヨーロッパ屈指の美食の国として知られる。今日の夕食が楽しみだ。
 グラン・プラスはちょうどライトアップイベントの真っ最中。広場に面してブリュッセル市庁舎が建っているのだが、音楽にあわせて様々な色のライトが市庁舎を照らす。少しばかり見物してからホテルへ。

 チェックイン後は早速夕食へ。ベルギーはフランスとドイツの中間に位置するので「フランスの味とドイツの量」を兼ね備えた食事が楽しめるという。「それならば、ほぼ同じ地理条件のオランダはどうなるんだ。グルメとは全く無縁の国ではないか」とツッコみたい気持ちになるが、まあ食事が美味しいにこしたことはない。
 グラン・プラスのすぐ近くにはイロ・サクレという飲食店がズラリ並ぶ美食街がある。まずはそこをぶらつく。なるほど様々なジャンルのレストランがあり、どこも客でいっぱいだ。ただし、観光客相手にボッタくる店もあるという。手持ちのガイドブックには読者投稿として具体的な店名をあげて注意喚起がしてあるが、この手の店は古今東西を問わず場所や店名をコロコロ変えて営業しているので、ガイドブックの店名ではもう営業していないだろう。自らの嗅覚で判断していくしかない。
 ベルギーの名物といえば、フライドポテト。なんでも細切りのジャガイモを油で揚げて食べることを発明したのはベルギーなのだとか。フライドポテトは「フレンチ・フライ」と称されることもあるが、ベルギー人の前で「フレンチ・フライ」と言うと、即座に「ノー、ベルジアン・フライ」と修正させられるという。
 そして、夏のベルギーといえば「ムール貝の白ワイン蒸し」も有名だ。これにベルジアン・フライとビールというこれまたベルギーの名物を組み合わせたセットを提供する店があちこちにある。値段は大体10~12ユーロぐらい。物価の高いヨーロッパでこの価格はありがたい。比較的庶民的な店に入り、2セット注文する。
 黒いバケツ一杯のムール貝が運ばれてくる。殻付きなので実際に食べる身の部分は少ないかと思ったが、ポテトにパンもついており、量としては十分。もちろん味も上々だ。また、ポテトはマヨネーズをつけて食べるのが本場風のようだ。近年は日本でもムール貝を食べる機会が増えているが、未だにブリュッセルを超える味には出会っていない。

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