水本ゆかりちゃんから学ぶ
アイドルマスターシンデレラガールズというコンテンツにはとてもたくさんのキャラクターが登場します。多くの個性的なキャラクターがそこにいる分、ユーザーに「このキャラクターと自分の考え方や価値観は似ている」と思わせるキャラクターもいるでしょうし、「このキャラクターの性格は自分の好みにぴったりはまる」というキャラクターも見つかるでしょう。登場人物が多いために、キャラクターと自分を照らし合わせることができるのもシンデレラガールズの魅力のひとつだと思います。
この記事ではそんなキャラクターの中から水本ゆかりを取り上げます。おしとやかで優しい女の子に見えて、実は負けず嫌いだったり、新しいことへ挑戦し続ける勇気を持っているゆかりからは学べることがあります。そのような見方で水本ゆかりを観察してみましょう。
・向上心、負けず嫌い
デレステの水本ゆかりのメモリアルコミュ3では宣材写真撮影の風景が描かれます。表情が堅すぎると言われゆかりが落ち込み、それに対してプロデューサーが助言を与える、という展開になっています。興味深いのはここでゆかりが助言を得て撮影が大成功してバンザーイするわけではないことです。筋書きとしてはゆかりがせめて表情を笑顔にして、できるだけ撮影をがんばろうとする姿を見せて終わります。
完全に自分の仕事を達成できなくとも、せめて笑顔を見せられるよう努力すること、そして失敗したら反省すること、そのあたりは向上心を感じさせる振る舞いです。ミスしてしまっても「せめて」何らかの成果を残して仕事を終える。そして反省して再びチャレンジする。ゆかりはそう構えています。
次はもっとこうしたい、というゆかりの負けず嫌いな一面が見られる一コマとも言えます。失敗してもせめて爪痕を残し、次はもう少し良い結果を出していきたいとゆかりは考えています。ただでは負けないぞということでしょう。
ここでおもしろいのは、ゆかりが誰よりも優れたアイドルになりたいとか、他の人から人気を集めたいなどということはあまり考えていない点です。それは他者を押しのけてチャンピオンになるのではなく自分で自分を少しずつ磨いていくということでもありますし、周りの人を助けたりサポートすることに徹するわけでもありません。
あくまで自分が納得できる状態に近づくのが第一であり、そのためにゆかりは自分なりに難所をクリアしていきます。うまくいかなくとも「せめて」自分にできることをするということの重要性が学べます。加えて、他人と自分を比べるのではなく、自分と自分の中にいるいろいろな自分を比べるのも意外と楽しいのかもしれません。
・なりたい自分
ゆかりの両親はゆかりに対して「清楚であれ」と教え続けていたようです。礼儀正しかったりおしとやかな言動が多く見られるのはそのためでしょう。また、親の育て方はちょっと過保護だったとゆかり自身も述べています。そしてゆかりはそんなところに不満があるようです。
ゆかりは清楚なものも良いけれど、かわいいものも良いと思っています。
ゆかりの中では行儀のよい清楚さと、かわいいものが存在しており、どちらかと言えばゆかりはかわいいもの側に近づきたいと思っているようです。
清楚さとかわいさのどちらが優れているかを考えるのは難しいです。清楚であるということが丁寧な物腰や勤勉さ、生真面目さを連想させる一方、かわいいものといえば友好的で距離が近い感じ、カジュアルな感じがしたり、知的なものとは遠い感じもします。どちらがいいかどうかは言い切れませんが、重要なのはゆかりが自分はこうなりたいという考えをしっかり持っていることです。
なりたい自分になるためにがんばるというのも水本ゆかりから学べる点です。ゆかりは新しい物事を好み、いまはもうサービス終了となってしまったモバマス内のイベントでも家事のスキルを習得したり、「挑戦の数だけ喜びがある」というセリフを残しています。
両親の教えを理解しつつも新たなることへの挑戦を繰り返し、自分にできることを広げていく野心、貪欲さ、そうしたものがゆかりを通して見えてきます。乱暴に己の欲望を満たしていくのではないけれども、自分のやりたいことをどんどんやっていくことと、それを苦と思わないこと、そうした在り方もあるんだよ、ということをゆかりは教えてくれます。
・自己主張
これまで書いてきたことと重なる部分もありますがゆかりは自己主張をきちんとします。
こういうことを私はできますよ、と相手にちゃんと言うのも学ぶべきところだと思います。さらに聞き手もそれを受け入れやすい丁寧な言葉遣いで主張するのもコミュニケーションする際の参考になります。
誰かに自分の主張を聞いてもらいたくなる場面というのは毎日の生活の中でたくさんあります。しかしときには素直に思ったことを言葉に出してはならない局面もあります。ただ自分の中に主張すべきものを持っているのならば、言葉に出さない主張をしてみてもいいのかもしれません。それはメモリアルコミュ1で提示されているものです。
ゆかりのフルートの演奏を聴いたプロデューサーが彼女をスカウトする、というエピソードですが、注目すべきはゆかりが「私のフルートの音をわかってくれた」からプロデューサーを受け入れるという点です。ゆかりはフルートの演奏に主張を乗せていて、それが伝わったことがうれしかったのでしょう。自分の言いたいことは言葉でも楽器でもダンスでも伝えられて、伝える努力を欠かさないべき、ということがわかります。たまにゆかりは天然ボケをやらかして意味不明なことを言っちゃったりしますが、それでも自分の外側になにかを伝えたいという気持ちはあるようです……これはこれでボケに見せかけて相手の意表を突く主張もあり得るのかもしれません。
・まとめ
最後にここまで書いてきたことをまとめます。
・向上心を持ち、ほんの少しでも良い結果を重ねること。反省点を見逃さないこと。これはけっこう勇気がいる作業。
・なりたい自分をイメージすること。これも簡単ではない作業。自分自身がどうなったら良い自分になれるかよく考える。いろんな自分があり得ることを認める。
・自己主張したいときはすること。その主張を乗せる方法はたくさんある。どんな方法が自分やそのときの状況に適しているかを把握する。
こうしてまとめてみるとゆかりはかなり強固な意志を持っていることがわかります。苦しい目にあっても「せめて」の精神でがんばり、自分が惹かれるものを肯定し、誰かになにかを伝えていくことでうれしい気分になっていく。ゆかりのようなスタイルで日々を過ごしていくのは難しいけれどもやりがいがありそうです。
この記事の一番最初にも書きましたが、アイドルマスターシンデレラガールズにはたくさんのキャラクターが登場します。中にはゲーム内イベント等で出番が少なかったり、声がついていないキャラクターもいます。しかし個性豊かで多彩なキャラクターから学べることも多く、そうした側面を楽しむこともできるコンテンツなのでは、と思ったりもします。今後もいろいろ学んでいきたいものです。
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