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50代はそっとしておいてほしい

タイトルを決める時に少し悩んだ
「そっとしておいてほしい」なんて、50歳がいっていいのか
十分すぎる大人が使うにちょっとナイーブすぎやしないか

「あの子は悩める年頃だからそっとしておこう」みたいな感じならしっくりくるけど

「ほっといてほしい」も考えた
でも、それだと、迷惑だからやめてほしい、感が強くですぎる
そんな上からお願いできることでもない 
相手は何も悪くない

多少の違和感は残るが、やはりここは「そっとしておいてほしい」


今週末仕事で多くのお客様を接待するのに、こぎれいにしておこねばと思い、先日美容室にいった

若者層がターゲットの美容室で毎回気おくれするのだけど、形の悪い頭を「なんとか良くみせる」技術をもつ美容師さんにはなかなか出会えない

担当の美容師さんは若い女性
ここで重要なのは「女性」であるということ

そもそも異性が得意でない私は、50代に入り、一層異性が苦手になった。
かつ若者、となるとなるべく避けて通りたいと思っている


美容院に行く前日に予約の電話をした
ネット予約にしなかったのは、いくつか聞きたいことがあったから。

「紹介特典で3回まで割引があるって聞いたのですが・・」

電話をとったのは、声からして明らかに私が苦手とする「若者+異性」(Aとする)

A:「あ、そうですね。確認しますのでしばらくお待ちください」

確認に少し時間がかかり、返ってきた答えもすっきりしないものだったが、めんどくさい客と思われたくないのでお礼を言って電話を切った


予約日当日
今日も若い子だらけ
でも背に腹は代えられないわ、と思い着席

余談だが、髪型オーダーも得意じゃない

絶壁+面長+つむじが後ろ、の三重苦

これに年齢が加わり、オーダーの際には一層卑屈になる
卑屈になる、と言っても相手に対してでなく、オーダーする自分に対して。

私が美容師だったら・・

この頭の形を格好よく仕上げるなんて無理、
こんな風に、ってこの写真のモデルはかなり若いぞ、
もっと年齢相応の美容室いけばいいのにな、

とか思うかも、いや絶対思う

ごちゃごちゃ考えつつ、オーダー終了
お若い美容師さんは優しい笑顔で対応してくれた
「最初はカラー(白髪染め)からやりますね」


ハイ、そこで、苦手な「若者異性」君の登場

カラーとかシャンプーとかはアシスタントがやることが多いから、まあ想定内。

私は鏡ごしにほとんど彼をみることなく、けれども機嫌がわるいと思われない程度に「よろしくお願いします」とあいさつした

そしてすぐ目の前におかれたタブレットを手にした

(若者よ、おばさんの話し相手をしなきゃ、なんて馬鹿げた考えはもたなくていいのだよ)と。

でも届かなかった

A「あの、僕、先日〇〇さんの電話をとった上野と申します。あの時は時間がかかってしまい申し訳ありませんでした」

(ひえーーー)

心の声が聞こえそうなくらい
好ましくない展開

若者異性、しかもセンス系が多い美容師
直視しないので分からないけど、背が高い私よりもずっと高身長のようだ

電話で割引特典について確認しただけでも恥ずかしかったのに、本人が登場するのか

わたしは「いえいえ」とだけ言って、これ以上会話が続かないようにタブレットに見入った

もしかしたら「お客さんとのコミュニケーションは大切にすること」とかいう店の方針があるのかもしれない

だとしたらA君はそれにしたがっただけのこと
何も悪くない

でもそのサービスも気遣いも、私にはいらない


思えば、ここの美容室はスタッフが全員若く、感じが良いのだが、丁寧が行き過ぎてこちらが申し訳なくなる

例えば

店員:「ほかにかゆいところはないですか」

    「はい、大丈夫です」

店員:「ありがとうございまーす」

こりゃ一体何に対する「ありがとう」なんだろう、といつも思う
はい、大丈夫です、と客が答えたことに対して?

この美容室ではとにかく「ありがとう」が乱発される

質問されて、客が答えるたびに「ありがとうございます」がでる

これはやめていいと思う

日本語を習う外国人にこの感謝の意味が説明できない


歳をとると、役職がついたりして、若い人から気を使われることが多くなる。

私はえらそうな人や横柄な人が嫌いで、そういう人に気を使ってへらへらしている自分がいや(でも、している)なので、相手にもそうしてほしくない

それは相手を思いやる優しい心からくるものではなく、相手がそうしていると自分の気分がすぐれない、という自己防衛からきている


歳を重ね、イケメンも厳しくなった

昨年、仕事でぎっくり背中なるものを患い、整骨院に飛び込んだ

柔道整復師に男性が多いのは承知の上だが、ぱっと見渡したところ、その整骨院にはイケメンはいないようだった


油断した

いままで症状を聞いてくれていたのは、いかにも柔道着が似合いそうな若者だったのに、「それでは変わりますね」と登場したのは、天敵、ザ・イケメン。

まじかよ、勘弁してくれよ・・
もっと他にいるだろう・・

そしてまた、この子もようしゃべる、しゃべる
この店にも「コミュニケーション重視」の方針があるのか

とりあえず背中の痛みが半端なかったので、私は抗う気力もなく質問に答え続けた

「〇〇さんは、出身もこちらですか」
「週末は何をしているんですか」・・・

極めつけは
「ワンピース、とても似合ってます」

こりゃだめだ

結局その整骨院には、高額なプリペイドカードを使い切ることもなく通うのをやめてしまった


歳をとって卑屈になっている

シンプルにはそれだけのこと

これまで気を使われていると思っても「客」という立場であれば、そりゃそうなるわな、で済んだ

でも、そこに「年齢」が加味されると、「だとしてもありがたくない」層に入ったのでは?などと、どうでもいいことを考えて、いよいよ足がすすまなくなるんだよね。

ただでさえ出不精なのに、どうしたものか・・



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