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殺戮にいたる病

今日もありがとうございます。
今回も読書感想文のお時間です。

そんな今回はこちら


「これを読まずにミステリーを語るなかれ。」

そんな謳い文句に惹かれての購入です。
最近「ミステリーいいなぁ」なんて思って、調子にのって買ってしまいました。

内容としては、猟奇殺人犯の稔、その家族の雅子、被害者の知り合いの元警察官の樋口。この3人の視点から物語が進んでいきます。

稔目線の話は、とりあえず理解ができない。「エロ・グロ」小説といった感じ。
結構内容もグロテスクで、作者人殺したことある?って感じてしまった位、リアルで気持ち悪かったです。

雅子目線。こちらもまた、稔とは違った気持ち悪さ。
典型的な子離れできない親。それだけではなくて、息子の部屋に入って、大人向け雑誌のチェック。そこまではまぁ、まだ理解はできないけどわかる。
でもそれだけにはとどまらず、ゴミ箱に捨てられたティッシュまでチェックする始末。
殺人とはまた違った気持ち悪さですよね。理解はできなかったです。

樋口の目線は、ようやくまだ共感できる。樋口は奥さんを亡くしていて、亡くなった奥さんの入院していた病院の看護師さんが被害者なんだけど、奥さんを亡くして自堕落な生活を送っていた樋口の面倒を見ていてくれたのが被害者です。
他人といえば他人。でもまるっきり他人かといえばそうではないし、身内かと言われたら確実にそうではない。
微妙な距離感で、罪悪感に苛まれる気持ちと、どこまで踏み込んでいいのか悩んでいるところ。

登場人物の心理描写がとても素晴らしかったです。(なに目線?)

そして、大どんでん返しに次ぐどんでん返し。
結末を知ったときには頭が追い付かなくて「??????」の連続でした。

もう1度読み返してみると、なるほどの嵐。
伏線に伏線を重ねていました。
すごい小説。最後まで騙された・・・。

これぞミステリーの金字塔

帯の文章に全く負けていない、素敵な小説でした。ありがとう。

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