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【2020年8月11日のこと】酷暑と「鋳掛松」、アナーキストに侍


1. 殺人的暑さの中のミミミ文学。


2. 朝起きて、ベランダに打ち水をし、すだれをかけた。扇風機に保冷剤をくつけ、クーラーボックスに氷水を入れて扇風機の風を当てる、自家製冷風機を始動させる。


3. これ、本当に冷風を感じることができて、体感温度を下げてくれ感動。冷風実験は成功した!


4. しかし、15分もたたないうちに冷風が熱風に変わった。氷が溶けて水の温度が下がってしまったら冷風にはならないのだった。


5. 魔法が解けたシンデレラのように途方に暮れる。やはりノークーラーの室内にいるのは危険かも。しかしコロナ渦の中、どこへ避難すればいいの?


6. 改めてこの暑さの中で東京オリンピックは無理だったんじゃないかと思う。死者が出たかも知れない。


7. ベランダでまた打ち水をしようかと思いサンダルをはいたら火傷しそうに熱い。あわててサンダルを抜いて裸足になったら、ベランダのアスファルトはより熱くて痛い。


8. 先日、radikoで「問わず語りの神田伯山」のラジオを聴いていたら一龍斎貞心さんの講談「鋳掛松」がとても凄いという話をしていて興味を持った。


9. 夏の暑い日、枝豆売りの親子。裸足で歩いている幼い息子は、地面が熱くて歩けず「ゾゾ(草履)を買って」と泣いて騒ぐ。それを見かねた鋳掛屋松五郎のやりとりが見せ場な話だ。ゾゾを買ってという場面、今のわたしなら体感できる。


10. ラジオを聴いてからどうしても伯山絶賛の一龍斎貞心さんの「鋳掛松」が見たくなった。YouTubeで探したらあったので見てみる


11. 全身癌に侵されている一龍斎貞心さんの渾身の語り。ときより一龍斎貞心さんの目を見ると、彼の目には江戸時代の風景がいま、まさに見えているんだな、と感じる瞬間があって震えた。


12. 身体性を持った言葉は凄い。また、話も、貧乏に苦しむ層と金持ちの豪遊の層の対比が、令和の時代でも理解できて重なって、気持ちが入り込んでしまう。後半は泣いてしまった。


13. 伯山さんもラジオで言っていたけど、隅田川に涼みにきてどんちゃん騒ぎの金持ちたちが、まるで元ゾゾのお金配りおじさんと重なり、ざわざわしてしまう。


14. ゾゾゾー、涼しさへ脱出。駅前のサンマルク文学。コロナ自粛2度目の外食で慎重に飲み食い中。しかし、クーラーは涼しくていいな〜〜


15. 「鋳掛松」のぐっとくる台詞を活字でも読みたいと思ってググったら意外なことがわかった。講談の「鋳掛松」の原作はアナーキストの堺利彦じゃないですか!

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16. 社会主義者たちの弾圧時代、食べていく為に「ユーモアと筆」で文章を売って食べていこうとした堺利彦。今でいう編集プロダクションの走りである「売文屋」を作ったアイディアマン。

17. 講談「鋳掛松」はその売文屋の仕事のひとつだった。セレンディピティだなー。黒岩比佐子著『パンとペン』は読みかけで挫折したけど、また読んでみようかと思った。


18. そういえば先日、池袋で侍を見た。黒いマスクをし、着物を着ている男。刀のようなものを手に居合術みたいなことをしていた。ギョッとして足を止める。

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19. よく見ると手にしているのは刀ではなくゴミ拾いのトングで、居合のようにポーズを決めては道端のゴミを仰々しく拾い、背中の背負い籠に入れていた。パフォーマンスのようだった。

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20. 「池袋」「侍」と検索したら、ネットですぐに動画が見つかる。集団でパフォーマンスをすることもあるみたいだ。

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ユーチューバーのように自撮りはしておらず、ひとり黙々と地味にパフォーマンスをしている姿は、ユーモアと驚きがあった。こういう「仕掛け方」もあるんだな。この感覚は伯山の言う「芸人」に近いのかな?

とっぴんぱらりのぷぅ。


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