姫野カオルコ著「彼女は頭が悪いから」(文藝春秋)を読んで
読後の後味の悪さが、「問い」となって我が身に返ってくる。「悪気のない悪意」にどう立ち向かったらいいのか。自分にも「加害性」はあるのか
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「いやらしい犯罪が報じられると、人はいやらしく知りたがる//まず言っておく。この先には、卑猥な好奇心を満たす話はいっさいない」
冒頭、「プロローグ」のアイロニーを含んだ文言にぐいぐい引き込まれた。この小説は、実際に起こった東大生の強制わいせつ事件をモデルにしている。平成31年の東京大学入学式の祝辞の中で社会