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【COLUMN】たまご ひと ねこ

隣町に、抗生剤を使用せず、平飼いでにわとりたちを飼育している養鶏場がある。

にわとりたちがストレスフリーで産んだ卵、それに移動距離も少なく手に入るのはうれしい。

少し前からその卵を食べさせてもらっていて、黄身の色がうすくきれいな黄色で、味もさっぱりしていて動物性のものをいただいたときに感じる特有の臭みがほとんどない。

はじめて手に持ったとき、それぞれの大きさが微妙にちがって個体差があり、それだけではなくそれぞれから人格(鶏格?)を感じるような生気があった。スーパーマーケットにたくさん出回っている卵はもっと無機質な感じなのに。手にもつと、女性の乳房のような生々しさがある。

私はこの生産者さんと少しお話したことがあったが、そのひとからの言動も性の部分にオープンというか、フェロモンみたいなものが(客観的に見て)あるような感じがして、鶏って人に似るのか?と思った。

以前、また別の、三浦の方でいただいた卵(それも生産者さんのこだわりのある卵だった)は、殻の割れ方がとても気持ちよかった。歯切れ良く、パカっという音が本当にするような。ストレスのかかった卵は、殻が脆くてグシャっとなってしまうことがしばしばあったので、殻の割れ方の違いに驚いた。生産者さんにお会いしたことはないけれど、きっとこの卵のように気持ちいい性格の方なのではないか、と考えをめぐらせた。

家のねこ、タンちゃんは一緒に暮らして3年近く経つが、最近家を訪れて彼女にあった友人は昔よりもTくんに顔が似ていると言っていた。

そして先週、私のお腹の調子がさえなかったとき、タンちゃんのうんちもなんだかイケていなくて、連動していると感じた。

腸内細菌が人の性格や行動を支配していると昨今話題だけれど、夫婦の顔が似てきたり、ペットが飼い主と似るというのは、おそらく上記の例と同様に、同じ菌を多く共有しているからではないかと思った。

ますます、私、自分というものが、独立した一個体ではなく、環境と自分が互いに浸透しあい、その境は交わりながら形成されているのだと実感するような出来事だった。

自分が好きだと思う人、尊敬できる人、気持ちいい(楽というだけではなく、身体が素直になれるような)場所になるべくいること、心地よい食べ物やものを選ぶこと。

それは値段やオーガニックかどうかという単純な基準ではない。(オーガニックの食材でなくても料理人の愛情でいいバイブスになると思うから!)

気持ちいいバイブスをもった菌が介在していることが大切なのではないだろうか。

菌はどこから来たのだろう。善し悪しなど結局人間の基準に過ぎないけれど、楽しいことをして気持ちいい気分でいたらきもちいい菌が発生したりするのかしら?

今日はいつもの卵の横に、初産卵と熨斗のついためでたい卵があったのでそれにしてみた。いつもは敷いていない紙がやさしく挟まっていた。

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