お笑いストリートファイターの門を叩く


人を笑顔にしたいと考えるならば、お笑い芸人のまねごとはいけません。テレビに出ておられるようなお笑い芸人の方は、私たちが想像もできないような特殊な訓練を積み、その間の取り方、話し口調にマッチした珠玉のやり取りを、ネタとして装飾を施し披露しているから面白いのです。では、我々が人を笑顔にするには、何も打つべき手が残されていないのでしょうか?

お笑い芸人と私たちとの条件の違いは、ルールが無いことです。さしずめ、ボクシングとストリートファイトの違いとでも言えるでしょう。一般人は、「さあどうぞ」と言われてすべらない話をするなんてことは、到底できません。しかし、すべらない話本編以外の部分で工夫を凝らすことができます。

 ストリートファイトの定石といえば?そう、「闇討ち」と「道具」です。コミュニケーションにおいても、出会った時からニコニコしておくことで「この人といたらどこか面白いな」と思わせることで楽しんでもらうことができます。また、話のエピソードの面白さだけで勝負せず、世界一突飛な形容詞の付け方を身に付けたり、笑いで大阪府に震度5弱の地震が起こってしまうほどの比喩表現を身に付けたりすることで、相手に楽しんでもらうことは可能です。

私たちは皆、お笑いストリートファイターです。どうすれば他人に楽しんでもらえるのかをルールに縛られずに考える、それだけで、なぜか私たち自身も笑顔になってしまいますね。

(2028年度 大阪大学入試問題)

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