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20世紀のフランス文学

フランス文学と聞いて、皆さんはどの作家がパッと思いつきますか?

ヴィクトル・ユーゴー(Victor Hugo)、オノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)、モーパッサン(Maupassant)、エミール・ゾラ(Émile Zola)などの19世紀の作家が特に有名だと思います。
19世紀は、フランス文学にとって数々の傑作を生んだ重要な世紀です。

20世紀にも有名な作家が多くいることをご存知ですか?
今回は、20世紀のフランス文学を代表する4名の作家を紹介していきます!

1、マルグリット・ユルスナール(Marguerite Yourcenar)

ユルスナール

Marguerite Yourcenar (1903-1987) - foto De Grendel Bernhard in 1982

シモンヌ・ド・ボーヴォワール(Simone de Beauvoir)やマルグリット・デュラス(Marguerite Duras)などの作家と比べるとマルグリット・ユルスナール(1903年〜1987年)の名前は意外に感じるかも知れません。
彼女は幼少期から父と家庭教師によって教育を受けてきました。
10代の頃には、並外れた文学的洞察力と創造的な文学的発想を発揮していました。

ユルスナールの作品は、主に歴史を題材としながらも、人間の本質を深く表現しています。
1951年、『ハドリアヌス帝の回想』でフェミナ・ヴァカレスコ賞を受賞し、作家として国際的な知名度を飛躍させました。1968年には、『黒の過程』で再びフェミナ賞を受賞しています。
これらの成果もあり、1980年には、女性として初めてアカデミー・フランセーズの会員に選出されました。
※アカデミー・フランセーズとは、1635年に、フランス語の保存と純化を目的として創設されました。40名の終身会員により構成されています。

2、レーモン・クノー(Raymond Queneau)

レーモン・クノー(1903年〜1976年)は、フランスの小説家、詩人、劇作家です。
同時に、「ウリポ(Oulio : Ouvroir de littérature potentielle 潜在的文学工房)」の共同創設者でもあります。1938年にガリマール出版社に入社し亡くなるまで勤め上げました。1948年には、バッハの「Die Kunst der Fuge」に触発された「文体練習」を執筆しました。

映画「地下鉄のザジ(Zazie dans le métro)」をご覧になりましたか?

レーモン・クノーの小説を映画化した作品で、監督はフランス人のルイ・マレー(Louis Mahler)です。

この映画は地方からパリに初めて出てきた少女「ザジ」の物語です。パリで一風変わった人々と出会います。

3、ジョルジュ・ぺレック(Georges Perec)

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ジョルジュ・ぺレック(1936-1982)は、猫好きの作家で、現代フランス文学の作家です。

1978年に出版された「人生使用法」は現代フランス文学の代表作のひとつであり、イタリアの作家カルヴィーノが20世紀の傑作と評した作品です。

彼の作品は、独特な文体のため翻訳するのが難しいとされています。

4、アラン・ロブ=グリエ(Alain Robbe-Grillet)

アラン・ロブ=グリエ(1922-2008)は、フランスの作家・監督で、ヌーヴォー・ロマンの代表的作家とされています。

1953年に発売された、「消しゴム」にてロブ=グリエは小説家としてのキャリアをスタートさせました。この小説は、批評家であるロラン=バルトから絶賛され、ロブ=グリエは一躍人気作家となりました。

ヌーヴォー・ロマンは、アンチ・ロマンとも呼ばれ1950年~1960年にかけて流行した小説のスタイルです。このスタイルは、小説のプロット、キャラクター、テーマ、時系列を今までの小説から改革しようとするものです。先に紹介した、文学集団「ウリポ」のように、新しい文学作品の形を模索するものです。

作家であるだけでなく、ロブ=グリエは映画や脚本にも情熱を注いでいました。1960年には、『去年マリエンバートで』でシナリオを手掛け、翌年にはヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。


フランス文学に興味のある方は是非一度読んでみてください。



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