東京で幼稚園受験をするなら、絶対に塾にいれること

せっかく我が家に未就学児が居るのだから、幼稚園受験をして記録してみようと思う。

引っ越し先に専門の塾もあるのは幸運で、親子で学べるチャンスだ。
実際に違う世界を見るのはワクワクする。

大人だけでは体験できないイベントで、
単調な人生に刺激が生まれて幸せになれる

塾費

都内に2年保育の幼稚園は少ない。
幼稚園お受験専門の学校に電話を掛けると「体験授業とご説明を今すぐにでも致します。」と焦っていた。
大抵の幼稚園は10月下旬から11月上旬には面談や試験で合否が決まるからだ。

今は9月で、受験まで残り42日だった。

出願に必要な写真を前もって写真館で撮っておき、web出願用にダウンロードサイズを指定して注文する。

私立のお受験にはお金がかかる。
およそ1ヶ月間塾でお世話になるために約10万の入学金を支払い、月10万円くらいの授業料を支払う。
週1回90分、月4回。

幅広い幼稚園に対応した基礎クラスではなく、専門に特化するコースはもちろん値段は上がる。
直前対策としては、1コマ2万円(×日数)で通常カリキュラムに追加で教えていただける仕組みもある。

服装

事前に百貨店でお受験用の親と子の服や鞄、さまざまな小物を揃えなければならない。
お母様の服装は紺のワンピース。
お父様はスーツ。

子どもはファミリアのサイトにいくと、お受験用の服がセットで揃えられる。
大体10万円くらいで子ども服はワンセット揃えられる。
塾には本番と同様のきちんとした格好で通わなければならない。

通塾

「お父様、お母様、行って参ります。」
そう言って授業が母子分離で始まるが、第二子という気の緩みと手抜きを覚えた子育てが私を苛ませる。

タングラム、紐通し、指先の器用さをみる巧緻性のための折り紙やハサミでの切り抜き、指示の聞き方、待ち方、物の受け渡し方、丁寧さ。
靴の揃え方から、持ち物、服装、言葉使い、所作に至るまでチェックされる。

塾初日カリキュラムが面接練習だった。
対策なんてしていない。

息子は緊張で子ども用椅子に1人で座ることが出来ず、不安から
「ママの膝の上に座る!」
と駄々をこねて時間だけが経過するというおそろしい体験もした。

面接本番ではなくて本当によかった。

普段の話し言葉では登場しない言い回しの質問が子どもの語彙力を奪い、頓珍漢になったりもした。

面接は絶対に練習しておくべきだ。

1ヶ月ほどで1人で椅子に座ることができるようになり、見違えるように質問にもちゃんと答えられるようになった。
短い時間に成長を遂げていて感動する。

ただ、有名私立は親や祖父母が卒業生であったり、職業やご家庭を重要視する。

縁もゆかりもなく、さらに高卒の私がいる時点で我が家の結果はお察しだ。
子どもを一度も叱ることなく「受験って何してるのかを知る」遊びができた。

以下からは本当に質問されたことや、失敗したこと、やってしまったなぁと思ったことを記載する。
誰かが同じ轍を踏まないといいな。

幼稚園の面接本番

面接日程表に指定された時間の15分前には現地に着きたい。
隣接する中学校の敷地内にある講堂で面接があるのに、私は間違えて幼稚園に出向いてチャイムを押した。
徒歩5分もあれば講堂までたどり着くが、場所は注意が必要だ。

10分前まで1階で待つよう指定されており、3分前に2階の面接室前に自主的に移動する。

そこには椅子が3脚と、子ども用のハイチェアが並んでいた。

受験では、何が起こるかわからない。
その"何"が全く読めないところが子育てにおいてはとても面白い。

このタイプのハイチェアを、息子は座って練習したことがなかったのだ。
そしてこの椅子が彼の気に召さなかった。
たかが椅子、されど椅子。

子どもが嫌といえば、嫌なのである。

入室

待機場所の横のチャイムが鳴ると入室できる。

父親が先頭に立ってドアを開けると、そこには横1列に6脚ずつ椅子が対面して並んだ長机に園長先生と女性の先生がいらっしゃる。

座り順は奥から父、母、受験生となり、飛沫感染対策用のパーテーション越しに先生へご挨拶をすませると、椅子に掛けるよう促される。

息子は案の定、お気に召さない椅子を前にして渋っている。

ハイチェアにどうにか座らないで済むよう
「ツルツルで滑っちゃうー」
と本当に滑り落ちて座りたくないアピールをする。

まさか面接椅子にこんな罠が潜んでいようとは。
もうだめだ。苦笑いしかできない。

息子を説得し、きちんと体制を整えて、子どもの手をお膝にそろえると質問が始まる。

先生「お名前を教えてください。」
息子「〇〇です。」

先生「お歳はいくつですか?」
息子「4さいです。」


先生から小豆・大豆・えんどう豆が入った小皿を渡された。
大人が話している間にこれらを同じ種類ずつに摘んで別のお皿に移し替える仕分けをする。
息子は打って変わって集中し取り組む。


質問1 親の学歴と職業、経歴

先生と母が息子の対応をしている間に、園長と父親のお話が始まっている。

園長「出身校はどちらでいらっしゃるの?」

父親「東大です」

園長「高校は?」

父親「関西の〇〇高校で、東大生が30人ほど毎年出ています」

園長「それは私立?カトリック?」

父親「私立ですが、カトリックではありませんでした。」

園長「お母様はどちらの大学で?」

私「高校を卒業後に主人と出会い結婚をしましたので、大学には行っておりません。そのため年の離れた長女がいまして...」

両親の出身校について詳しく知りたいみたいだ。

進学校である系列高校にエスカレーター式に通う可能性がある。

知能が遺伝の影響を受けるならば、両親の学歴ほど信憑性のあるものはない。
裏付けのあることで勉強がとてもできることをアピールするのがいいが、最初の段階でうまく伝えることができなかったように思う。

きっと正解は、
「難関試験に東大在学中一発合格し、その後イギリスの有名大へ留学いたしました。」
などの、ちょっと鼻につく感じの大袈裟なアピールが必要だと推察する。

そうやって少しでも他の資産家たちと差別化しないとサラリと受け流される。
学歴社会である以上、私立の学費を払える高所得層に高学歴者は多く、差別化するならより具体的に学歴や特化しているものをひけらかした方がよかったのだ。

私立有名校というものは進学実績がものを言う。
知能が遺伝であるならば、それを客観的に証明できるものは学歴で、だから未知なる4歳児の頭脳を親の出身校で予測する。
わたし達は、その意図を読めなかったのだ。
上品に、オブラートに包んで言葉を並べてしまった。

次の質問は職業について。

主人と妻の職業を訊ねるということは、意味合いが異なる。

父親の職業から社会的な役割を果たしているか
つまり、きちんと働いて私立の学費や寄付金を支払えるかどうかをみられる。

そして共働き家庭が主流になりつつある現代社会の、母親の職業について。
私は事務と不動産管理をしているが、時間に融通は利く。

園長「お母様は専従者ということですが、どのようなことをしてらっしゃるのですか?」
この質問の真意は、行事やPTA、送り迎えや細々とした事にきちんと参加できるかどうかである。

あぁ、やっぱり厳しいな。
専業主婦家庭を想定しているのが幼稚園であって、私がそうでないのは、たとえ自由時間が豊富であっても印象としては悪い。

どれだけ子どもと学園に母親が尽くせるか。
時間を割けるか。

質問2 居住地


園長「どこに住んでいらっしゃるの?」
私「徒歩10分くらいのところです」
園長「この辺はタワーマンションもたくさん立ってますけれど、どちら?」

住んでいる場所は家庭の経済を測る上での指針になる。
ここでも深く探られる。

残念ながら私たちは仮住まいである。
不安定な社会と上がりすぎている不動産価格、いまや数億するタワーマンションを、この時期にわざわざ選ぶほど豊かではない。

不動産をいくつか所有していると言ったが、それだけでは経済面をアピールするには弱いだろう。

園長「本園と同区の園に現在は通ってますね」

この質問は「本当にその場所に住んでいるか?」ということと、「なぜ区立の幼稚園ではなく私立なのか」の2つを確認できる。

私立の教育方針の良さを交えつつ、キリスト教についても話す。
その上でイギリス留学の話がここでも役に立つ。
私立幼稚園に祖父母両親とも縁があったわけではなく、敬虔なクリスチャンでもない私達がアピールするには、キリスト教圏にいた時の経験しかない。

住んでいるところかぁ。
厳しいなぁ。

質問3 キリスト教のイベントについて

最後の質問は、
園長「キリスト教のイベントやお祈りなどがありますが、その点については?」
だった。

キリスト教を信仰している訳ではないから、薄っぺらいことしか言えない。ただ、抵抗がないことをきちんと説明する。

子どもへの質問

両親への質問が終わると、お豆の仕分け2周目に差し掛かっていた息子に
「手を止めてください。質問をしていいですか?」
と、問われる。

息子は、中途半端に仕分けされたお豆が気になってしまっている。

ここで母親が直接指導することは避ける。
隣にいても、"先生との時間"なのだ。

そう塾では教わったから、普段なら
「手はどうしようか?先生がお話しているよ」
と声かけをしたいところだが、〇〇しなさい、などと口を挟まないで先生にお任せする。

先生「お父様と何をして遊びますか?」

父親との関係性の質問が来た。
普段家にいない父親が関わっているかどうか。

大丈夫。
この質問は事前に出ることが予想されていたから、ちゃんと教えておいた。

息子「積み木!」(お豆カチャカチャ)
先生「どんな風にして遊ぶの?」
息子「おうちを作るの」(お豆カチャカチャ)
先生「他には?」
息子「ねんど!」(お豆カチャカチャ)
先生「そうなのですね。今日はこれでおしまいです。ありがとうございました。」


「遊んでもらってない」や「わからない」などと言わなくてよかったが、お豆に気を取られすぎている。
塾で対策をするのが遅すぎたけれど、これがついさっき4歳になったばかりの子どもの本来の姿でもある。

普段から全く子育てに関与しない父親は「父との関わりの質問」にビクビクしていたが、対策済みである。

幼稚園では父子の関係をよくみられる。
忙しい父親がどれだけ家庭に時間を割いているか。
子どもと関わり合いを持とうとしているかをみるのだ。

だから私は、たとえ父親が全く関わっていなくても関わっているように答えられるよう訓練した。
そこまでする必要があったのだろうか。
嘘をついてまで、無理してまで私は私立幼稚園に行かせたかったのか。
いや、ちがう。
私1人ではどうしようもなかった質問なのだ。

質問には出なかったが、今朝は洗濯物を畳むお手伝いと、"お父さんのために"という名目で卵を割ってハムのオムレツを作るお手伝いもしてもらった。

ちなみに間が空きすぎると子どもはすっぽり忘れるから、前日から当日に教えるべきである。

ワンオペのつらさ。

まとめ

G幼稚園の質問は主に両親の出身校、職業、親が学校に携われるか、どこに住んでいるか、キリスト教の行事や方針について問われた。

塾で練習した"子どもの長所と短所、好きな遊び、性格"など内面的なことは積極的に訊ねられなかったのは意外だった。

つまるところ、学歴とお金の合理的な質問で判断される世界である。

"寄付金"で都心の一等地に学校を構えている一貫校。
そして進学実績を保つこと、これは"学校"が少子化社会で生き残る術である。

まだ実技が残ってるけど、面接は楽しかったなぁ
とてもいい経験になったことは確かである。

誰かの参考になりますように。

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