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とある日の味噌げんか

東京での眠れぬ新婚生活を1年間過ごし、またまた旦那が転勤することになった。

転勤先は、旦那の地元である東海エリアのとある県。
私は生まれも育ちも東北だから、彼と出会うまでは、東海エリアに足を踏み入れたことがなかった。
何度か訪れると観光地も多く、美味しいものもたくさんあるので好きな場所にはなっていた。
が、いよいよ、東海エリアに住むとなると、引っかかっていることがあった。味噌だ。


ちょっと突然の自己紹介になるけど、私はとっても食いしん坊なの。食べることが大好きで、今まで食の好みが合わなくて彼氏と別れたことがあるくらい、食を大切にしている。

彼と付き合い始めた頃、出身県を知ったときに真っ先に聞いたことも「味噌汁って赤味噌?」だった。(だいたいどの県が分かっちゃったね)

かなり食に対して特色がありそうな県出身だから、食に関するバトルは不可避かな…と警戒していた。

でも、予想に反して、食に関してあまり県民性の違いのようなものを感じることはなかったし、結構食の好みも一致していた。(あ、ちなみに味噌汁は各家庭違うみたいで、彼の家は赤味噌じゃなかった。ひと安心。笑)


しかし!冬のある夜!突然!前触れもなく!とてつもなく県民性の違いを感じる事件が起きた!!!

そう、それが味噌げんか


…みなさんはおでんに味噌をつけますか?

私は生まれてこの方、おでんに味噌をつけたことはありません。つけるならからし。柚子胡椒なら具によっては許容する程度。

が、彼の出身県はつける人が多いそう。

そうとは知らず、その日の夕飯、私はカツオと昆布だしで煮たおでんを鍋いっぱいに用意し、テーブルにあげた。

鍋をじっと見てから彼は言った。
味噌は?

意味が分からなかった私は2秒、間をあけて「ん?」と笑顔を返した。

おでんに味噌つけるよね?

いや、つけたことないけど(早々、ここから笑顔は消えている)

…美味しいんだよ

え、これじゃ不満なの?

ううん、そういうつもりじゃないよ

つける味噌なんてないし、食べなくてもいいよ

いや、食べるよ

一生懸命作ったのに、物足りない感じで食べてほしくないよ、食べなくていいよ

いいって、これはこれで。食べるよ

とまあ、よくありそうなカップルの口論が勃発。結局、一緒にからしをつけて食べたけど、いつもより美味しく感じなかったことは言うまでもないよね。

※後日、調べたら東北でも味噌ダレかけて食べるところはあるらしいよ。しかし、私の周りにはいなかった。


とまあ、こういう思い出があったので、その後も私は、ことあるごとに味噌に厳重警戒をしていた。(煮込みうどんでも味噌げんかが起きる。しかし、この戦いは私が負ける。赤味噌の味噌煮込みうどんは美味しかった。)

それが、いよいよ赤味噌の本場に飛び込む、しかも、住むというのだから気合いを入れねばなるまい!

味噌だけじゃない…染まらない、私は東海の文化には染まらないぞ…!

と、私は謎の東北魂を燃やし、会津みそと仙台みそを両脇に抱え、鼻息荒く東海入りを果たしたのであった。

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