「影響されやすい」という力。


女子が急に「サッカーが好き!」と言い出すと、
彼氏か好きな人の影響だとはよく言ったもので。
私ももれなく、そのひとり。

日韓ワールドカップの時に
当時の彼氏が「玉田圭司に似ている!」と
バイト先でお客さんによく言われていたので
気にはなっていたものの、今ほどサッカーにハマったのはもっと後。
あるチームの熱狂的なサポーターに片思いしたのが、始まりだった。

とりあえずテレビで日本代表戦を観てみたら、
その中に「かっこいい!」と思える選手を発見。
その選手が地元のチームに所属していたので
サポーターの友人に連れられて試合を観に行ったら、
" 3対6 "の大勝利を収め、
生で観るサッカーの面白さにすっかりハマったという
ありがちすぎるストーリー展開。
「今日しか着ないかも?」と言いながら記念に買ったユニフォームは、
その後何度も洗濯され、年間10試合以上を共にする相棒となった。


思えば、高校で陸上部に入ったのは、
中学のときに初めてできた彼氏が陸上部だったからだし。

サッカーや音楽にハマる前は唯一の趣味だったカメラは、
中学生のときに好きだった福山雅治の影響だし。

何なら福山雅治を好きになったのは、
その陸上部の彼氏が福山ファンだったからという、
どうしようもない理由からだ。

こう言うと、
どれだけ「自分」のない人間なのかと心配されそうだけど。

陸上部に入ったことで、
高校に合格するまではクラブ活動禁止で、勉強一筋だった私に
猛特訓して「リレーで府大会進出!」というこれまでにない経験ができたし
その後、酸欠に追われる週刊誌時代を生き抜く「根性」が身についた。

カメラの趣味は、
勉強しか取り柄のなかった私が
「自分にも個性があるんだ!」ということに気づくきっかけにもなった。

3ヶ月の休職期間中、何者でもなかった私に向けられた
「その写真、あっちゃんらしいね!」というある人の言葉は、
数年後のコピーライターという道にも通ずることになる。


「影響されやすい」ということは、
自分ひとりではたどり着けない
いくつもの「新たな道」につながっているのだ。



22歳のときに出会ったサブカル男子とは、
趣味のカメラがきっかけで4年半も付き合うことになったし。
東京に来てからサッカーを通じて出会った人とは、
全国のスタジアムでデートを重ねた。


ある人に影響されて始めたことが、
また違う人との共通点になって、さらに世界が広がる。
ということも多い。


うつし鏡のようにまるっとそのまま影響を受けるのではなく、
「あの音楽は好きだけど、その音楽は好きじゃない」というように
自分の中での判断基準もしっかりできるようになり、
誰に影響されたわけでもない、
「自分が好きだから、好き」と言えるものも次第に増えていった。


これは(何度も言うけれど)、
教育熱心でしつけの厳しい母に育てられ、
恋愛ドラマやお笑い番組は視聴禁止、
学校の校区から出ることすら許されず、
狭い世界で生きてきた私にとって、大きな大きな進歩だと言える。

 
広く世の中を知り、様々な人の心をとらえなければいけない
コピーライターという仕事に不可欠な力を、
私は過去の彼氏や好きだった人から、分割で得てきたのだ。


でもひとつ、自信を持って言えることがある。
コピーライターという仕事は、自分で選んだ。
このバランスが、大事なんじゃないかと自分でも思う。

コピーの賞をいくつかいただいたり、
この道である程度浮上できたのは、
これまた尊敬できて、かつ大好きな
コピーの師匠(イケメン)がいたからではあるが。。。


そう言えば、サッカーにハマり始めたとき、
「ちょっと!突然サッカーなんて、男でもできたの!?」
とびっくりしていた人がいたけれど。

あの人は、
その「男」が自分であったことに、気づいていたのだろうか。


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