亜記号

伝達未満、発信以上のなにか。

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最近の記事

サンルームの猫

サンルームにいる猫と目が合った。 道を見下ろして、目が合った。 シクラメンの鉢が4つ。 隣に、手入れの行き届いた白い毛並み。 陽が差し込み、時間が止まった。 一瞬のことだった。 私を乗せたバスは駆動音を轟かせながら動き、イヤホンからの音が鼓膜を叩く。 少し遅れた流行りの曲。 これから時給を稼ぎに行く。

    • 例えばヤツのシンプルなコンテンツ  聞こえはいいが陳腐かつナンセンス

      鏡を見るたびに、「自分の顔がこんなだったか」と新鮮な気持ちになる皆さんこんにちは。他の人の顔をずっと見てると自分の顔ってどんなだっけって忘れちゃうんだよね。特に最近キレイな顔を好んで見るようにしているからか、若干の醜形恐怖症というか「あれ?」という落胆混じりの感情が生じてしまう。前回の記事でKpopが最近好きという話を少ししたので、そのことについて少々。最近のKpopは、世界中のアーティストと協力して「売れる曲」を作ることに注力している感じである。だからこそ英語の新しいスラン

      • 謹我新淵

        新年早々、という言葉があるが、それが使えるのは1/3までだろうか。それとももう使えないのか。 今年の抱負は推し活と自由研究を欲求に邪魔させないことである。というのも、やりたいことは何か聞かれた時に答えとして提示するような「やりたいこと」と、時間が生じた際にやっていることは違うからである。朝起きてすぐの10分ほどを漫画に使ったり、YouTubeショートで時間を溶かしたりしてしまう。とにかく、意思と意志のバランスを取れるような一年にしたい。 さて、抱負を声高々に掲げたところで、

        • ソイル氏は 第3話

          彼女は窓にて 「懐いてるみたい」 彼女はそう言うが、何を見て懐いていると思うのだろうか。世辞か、あわよくばこの生き物の世話を押し付けようとしての発言ではあるまいな。 「全然わからないって顔だね。」 その通り。鏡を見なくともわかる。私は今まさに彼女の言うことが何を意味するのかわからないという顔をしているはずだ。だってそう思ったんだから。 私のトートロジーのような思考回路を全く気にしていないのか、例の生き物がこちらを見ている感じがする。例の生き物はどこか彼女に似ている気がする。

        サンルームの猫

          ソイル氏は 第2話

          名前のないもの これは一体なんだ?目に見えないが確かにそこに有る。そこに有ることだけがわかる。 「可愛いね。」 何が可愛いのだろう。可愛いというのは目に見えるものに対して使うのではないのか?ピンク色とか、ふわふわした形とか、小さいとか。実際小さいことはなぜか目に見えずともわかるが、小さいことがそっくり可愛いということにはならないだろう。この目に見えないものに対して、なぜ<可愛い>と言うのか。考えを巡らしていると、その<可愛い>ものが動き出したことがわかった。なるほど素早い。

          ソイル氏は 第2話

          ソイル氏は 第1話

          ギリギリとスレスレの違いってなんだ?  人間でないものの話をあなたは聞かないだろうけど、生物ですらないものの言葉でもきっとあなたは読むだろう。 _φ( ̄ー ̄ )  私はギリギリ生物と言えるかもしれない、そんな存在である。現に言語を操り、あなたに訴えかけているが、私が実体を持った存在だという証明は、あなたには不可能だろう。その意味でギリギリ生物である。それでもよければ私の半生を読んでほしい。これはお願いであり、脅迫であり、命令でもある。読んだ末にあなたは、私が何らかの生き物

          ソイル氏は 第1話