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王道ラブコメが現代風にアップデート 『社内お見合い』ドラマレビュー

2022年2月からSBSで放送された『社内お見合い』についてあらすじやキャスト、見どころについて紹介する。

■『社内お見合い』とは?

ここ数年、韓国ドラマでラブコメのヒット作が少なかった中、久々に登場した『社内お見合い』。メインポスターの第一印象はそんなに期待するような作品ではないように感じていた。しかし、Netflixでも徐々にドラマランキングのトップ圏内に入るようになり、全話放送が終ってから見始めたら、展開の良さと王道ラブコメながらひと味違うストーリーにハマり、イッキに見してしまった作品だ。

■『社内お見合い』あらすじ概要

大手の食品会社GOフードの商品開発部に勤務しているシン・ハリ(キム・セジョン)。親友の財閥令嬢チン・ヨンソ(ソナ・イル)から政略結婚目的のお見合いの代役を頼まれ、ド派手なメイクとファッションに身を包み、ヨンソになりすましてお見合いの席に。ところがそのお見合い相手はハリが勤めるGOフードの御曹司で、新しい代表に就任したばかりのカン・テム(アン・ヒョソプ)。テムはGOフードの会長である祖父から結婚をせかされ、次々とお見合いをさせられている状態。ハリはテムに嫌われるようにイカれた令嬢を演じ、作戦は成功したかのように思われたが、テムは祖父にヨンソと結婚すると宣言してしまう。ハリはこの結婚を阻止するために再度ヨンソとしてテムに会い、結婚の意思がないことを伝えるものの10回だけデートしようと提案されてしまう…というストーリー。

■『社内お見合い』見どころ

韓国で人気の同名ウェブトゥーンが原作で、ドラマ化にはかなりの期待が寄せられていたよう。全12話ということもあって、とにかくテンポよく展開していくあたりはまさに漫画のようで、序盤のエピソードは思わずツッコミたくなるようなシーンが多いこと。「身代わりでお見合い」「偽装カップル」「身分違いの恋」「過去に起こったトラウマ」などなど、“韓国ドラマあるある”がてんこ盛り。しかし、このドラマはそんな“あるある”を軽快かつ、軽くディスるように描いているため、まったく重さを感じさせず気軽に見れる点も魅力のひとつ。
またラブコメと言えばサブカップルのラブラインも気になるところ。本作ではテムの秘書室長チャ・ソンフン(キム・ミンギュ)と、ハリの親友であり財閥令嬢のチン・ヨンソ(ソル・イナ)のヨンチャカップル。理性的なソンフンと感性的なヨンソのケミストリーが好評で、ハリテムカップル同様に人気を博した。
さらにハリ&ヨンソ、テム&ソンフンの男女の親友同士は、かたや社長令嬢(ヨンソ)に御曹司(テム)という“金のさじ”でありながら本当に仲良し。ハリとヨンソがカラオケで少女時代の『다시 만난 세계』を振り付きでデュエットしたり、警察にくだを巻くほど飲んでハリの母親に叱られたり…と、庶民感たっぷりで、韓国ドラマでよく観る“身分の差”が突破らわれているところも、新らしさを感じた。

■『社内お見合い』キャスト

ギャップのある幅広い表情に沼民続出

本作の人気を牽引したのは容姿端麗、財閥3世、さらに仕事もできると3拍子揃った御曹司カン・テム役を演じたアン・ヒョソプ。ワーカーホリックで恋愛には興味なしだったテムが、ハリに対して大人げない嫌がらせや可愛い嫉妬をしている姿は、ちょっと抜けていて微笑ましいかぎり。しかし、時に大げさでありながらも甘いセリフやキュンとする行動を観るたびに、ヒョソプの沼にハマってしまう。それもヒョソプがこれまで作品ごとに多彩なキャラクターを演じてきたからこそ。オン・オフのファッションやヘアスタイルのギャップまで、幅広い表情のアン・ヒョソプを堪能できる作品となった。

カン・テム役を演じたアン・ヒョソプ

しなやかなヒロインを溌剌と演じ、次世代のロコクイーンに

お見合い相手になりすましたシン・ハリ

学費、親の借金をバイトで貯めたお金で返し、大手食品会社の商品開発部に入社後はヒット商品を開発する、上司や同僚からも信頼されるシン・ハリを演じたのは元gugudanのキム・セジョン。仕事ができる会社員と破天荒なお見合い相手の二重生活をコミカルかつ愛らしく演じ分けた。仕事には誇りと目標を持ち真摯に取り組む姿はカッコよく、ハリに少しずつときめき、立場の違いにとまどいながらも愛を育んでいく姿はキュートで、メイキング映像で見せる溌剌としたセジョン本人とリンクする。

また本作の視聴率10%達成の公約実現では歌声も披露。さすがオーディション番組で選抜され「I.O.I」メンバーとしてデビューしただけあって、透明感のある歌声も話題になった。

メインカップルに負けない人気を得たサブカップル

テムハリカップル同様に大人気だったサブカップル、ソンヨンカップルを演じたキム・ミンギュソル・イナ。このふたりは本作で見事イメージチェンジを果たしている。
キム・ミンギュはこれまで可愛らしい雰囲気の役を演じていたが、今回は知的でセクシーな大人男子を見事に変身。中でも「眼鏡キス」シーンはSNSでも話題を呼び、新たな魅力を再発見したと、大ブレイクした。
またソル・イナ『青春の記録』ではパク・ボゴム演じるヘジュンの元カノなど、ちょっと性格がキツイ役を演じていた。しかし、今回のヨンソは財閥グループのひとり娘でありながら自立心が強く、恋愛に夢を持つ感性豊かな女性をさわやかに好演。ソンヨンカップルはオフショットでも仲睦まじく、リアルに付き合って欲しいという声も上がるほど、愛されるカップルになった。

■『社内お見合い』OST

3話で実際に本人たちも出演した「Love,Maybe」を歌っているのは、MeloMance(メロマンス)。甘い歌声が魅力的なボーカル担当のキム・ミンソクと、ジャズピアノ奏者としてコンクールでも大賞を受賞するほど実力派の演奏者チョン・ドンファンからなる人気デュオ。ミンソクは一度聴いたら忘れられないほど心地良い歌声の持ち主で、本作をはじめ『ユミの細胞たち』 『私たちのブルース』など人気作品のOSTにも参加している。韓国ではMZ世代からの支持が高く、アイドル並みに人気があるデュオなので、アイドル以外のK-POPを聴いてみたい方にはオススメしたいアーティストだ。

■最後に

『社内お見合い』のあらすじ・キャスト・見どころについて紹介した。『キム秘書はいったいなぜ』以降、オフィス系のラブコメのヒットがない中、テンポの良い展開と12話完結で、もう少し続きを見たかったという声も多かった本作。
身分違いの恋愛を反対するテムの祖父である会長に、自分の功績を上げて退職したくないと言うハリ。また父親の会社を辞めて独立するヨンソなど、女性主人公たちが恋愛至上主義ではなかった点もとても魅力的だった。胸キュンもありながら、仕事もがんばる、現代らしいヒロイン像は今後の韓国ドラマに大きく影響しそうな予感。見ているだけでポジティブな気持ちになれる作品だ。

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