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自由間接話法とは? アッコの夏 創作の舞台裏<小説の書き方>

以前<小説の書き方>の中で『一人称と三人称の間にあるもの』という記事を書きました。そこで私が使っている「自由間接話法」について紹介しました。

実際に『アッコの夏』を連載していて、気づいたことがあり、少し加筆しようと思います。
厳密な定義とは細部が違うと思います。私の書きやすいようにアレンジして、こんな風に書いていますと言うことです。
『アッコの夏』を例にするので、読んでいただいていれば理解しやすいと思います。

○前回の記事から抜粋


⇒例えてみると『自由間接話法』は主人公の後ろにぴったりついたカメラマンが映しているものを文章にします。そのカメラは時折、主人公の心の中も映す感じと、言えば分かりやすいでしょうか。
 一人称の日記のような感情がダダ漏れのテイストではなく、客観的に説明しながらも、要所要所の大事なところでは、主人公の気持ちを声にして出す。そんなイメージです。

○補足します

『自由間接話法』で使う文章、3種類

①主人公の後ろに張り付いたカメラマンが見ている映像の説明
(カメラマンが説明する。「アッコは立ち上がった」「大梅田は笑った」

②主人公の心の中をカメラマンがのぞいて説明する
(カメラマンの説明なので「アッコは猛烈に腹が立った」「アッコはがっかりした)
 カメラマンが見て「あ~アッコさん、怒ってるな」「アッコはがっかりしてるなあ」という感じです。

③主人公の気持ちをセリフではなく、地の文にそのまま書いてしまう
(アッコの心の声です。「あ~腹立つ」「もうあたし、立ち直れないよ」)
 内容はセリフそのものです。一人称なら地の文にも書かれます。カメラマンの説明ではまだるっこしくて、つい声に出てしまった、というイメージ。

この三つの文章が入り混ざるのが『自由間接話法』です。
三人称の客観性に一人称の親しみやすさを加えて、テンポが良くなる効果があると思っています。

ただ最近、気がついたのですが②と③の使い分けが難しいのです。
どちらも主人公の感情、気持ちを表しています。どちらを使うか迷うことがあります。迷って書くと文章がブレてしまい、読者が混乱するかもしれないと思いました。

一例を挙げると、主人公をどう呼ぶかですが
三人称に近くしたければ②なので「アッコは……」
一人称に近くしたければ③なので「あたしは……」
となります。

自由間接話法はとても便利で、読者には感情移入がしやすいと思いますし、私には書きやすいのですが、気をつけた方が良いこともあるなと思います。
今、自分が②を書いているか③を書いているかの意識が必要です。

※この記事を書くきっかけになったのは『アッコの夏』を読んでいただいている方からのDMで、
『アッコの夏』第七話で、「あたしは……」になっている箇所がありますが、ここは「アッコは……」では?
というご指摘をいただいたことです。
(その方も小説を書いていて、人称の勉強をされているところだそうです)

実際にその部分は上記の説明でいう②なので、おっしゃるとおり「アッコは……」だったのです。
さっそく修正しました。貴重なご指摘に感謝します。

一人称ならこの手のミスはないはずですが、自由間接話法では、こういうミスがありがちなので注意しないといけない、と思った次第です。

【蛇足です】
もともと『アッコの夏』は最初一人称で書いたものを大幅に改稿、ブラッシュアップしながら連載しているものですから、以前に書いた一人称の「あたし」を「アッコ」に変えるのを見逃したところでもありました。

以前書いた記事はこちらです。実際の小説原稿を例にして説明しています。

『アッコの夏』はこちらからどうぞ。



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