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考えて練習をする話と練習で負けたくない気持ちから脱却して攻防を大事にする話

先日のDEEPで練習に来てくれていた野村駿太さんと僕も試合をしたことがある江藤公洋さんが試合をされていて、江藤公洋さんの持ち味である塩漬けが炸裂していました。塩ファイト自体は否定はしませんが、見方の提案とか文脈を作ることで、「見せ物」として成立させる取り組みは必要なような気が僕はしますが、どうなんでしょうか。試合をして勝てばいい的な考えもよくわかりますが、それじゃあ商売にならないと僕は思うんですよね。まあそれはそれとして。

知っているもの同士の試合で同階級なこともあって、どんな試合になるのかと隣のクラスのケンカを見るような気持ちで見物しておりました。さすがに会場まで行くのは時間的にも肉体的にも経済的にも「いやあ」となってしまって、ウェブ配信での視聴に落ち着いたのですが、見やすさも快適さも含めてウェブ配信で見た方が快適だと思いました。UFCやベラトールやONEなどの世界レベルとされるものを見るよりも、自分が試合をしたことがあったり、練習で触れたことのある人の試合に興味が向くのは、人が見るのは競技ではなく思い入れや文脈なことを著しているように感じます。まあそれはそれとして。

野村駿太さんは身体が頑丈で力が強いので、思いっきりぶつかっても大丈夫で、その上無茶な動きをしないのでケガのリスクも減らせて、練習パートナーとして優れています。僕が試合をする際は練習パートナーでお願いしたいと考えていたくらいの選手だったので、今回の江藤公洋さんとの試合は相性も悪くて、下馬標的には厳しいとされる試合だけれど、野村俊太さんの勝ち筋はあるんじゃないかと思っておりました。期待していただけに残念なところもあったし、ここは野村駿太さんが勝つかなと思っていたので驚きもありました。

僕は江藤公洋さんと試合も練習もしていて、最近は野村駿太さんと練習をさせてもらっていた感覚からするとこの試合は野村駿太さんアップだったので、僕の予想の感覚がずれたのが、「いかんな」と感じました。この感覚のズレが露呈したのが僕の今回の一番のショックでもありました。

確かに野村駿太さんは練習で受けに回ることが多くて、練習でしか起こらない状況が多く起こる練習スタイルだと思ってはいたので、試合になったときに江藤公洋さんの「触ってしまえばコントロール」するレスリング軸の組み技に絡め取られてしまったと言うのが大まかな見立てです。あくまで結果論であって、打撃で圧をかけて押し切ってしまおうとしたのだろうし、立ち合いでの両者の圧の比率で江藤選手に傾いたのもあるんだろうし、結果論であって策や取り組みをどうこう言うものではないです。

野村さんの話を例に出しましたが、野村さんの試合を指摘しているわけではなく、自分自身への自戒も込めて、練習時にどれだけ試合を意識しているかは大事だなと思ったのです。組み技の練習でMMAの試合ならば膝をもらうからスペースを潰したいけれど、組み技であればスペースをあけてもやられない方法はあります。そもそも組み技だけであればレスリングや柔術のような組み手争いをしている時間があるけれど、MMAであればあり得ないことをどれだけ想像して意識できるかなのだと思いました。これは打撃にもそっくりそのまま言えて、グローブの違いや組みの有無で、そもそもの技術体系がガラリと変わってきます。ムエタイやボクシングなどの各競技ではこの技術だけれど、MMAの技術ではこうだと言うのが確実に存在します。

MMAの難しさであり、面白さでもあるところは「練習で試合と同じ状況を作れない」ところです。試合と同じオープンフィンガーで試合と同じ強度で防具もつけずに素面で殴り合うことはダメージを考えると不可能です。キックボクシングやボクシングでも100%試合と同じ状況でスパーリングをすることはできないのですが、限りなく近い状況(ヘッドギア、レガース、大きめグローブ)で試合と同じ本気でやるような練習は是非はさておき、実際にやっているジムや選手が多いに思います。それこそ武尊さんのSNSによく出るガチンコスパーリング映像ですが、笑ってはいけないレベルの強度でこの練習方法が主流になっていくことへの違和感は僕にはあります。

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