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消費速度が速いから、遅い格闘技が大事な気がしてきました。味わう余白がほしい。

コロナ期間だからの話ではないのですが、試合の振り返りで楽しむことができなくなったし、ファンも選手も関係者も試合が終わったら、すぐに次の試合となるから味わう余裕も次につなげる余裕もなく落ち着く間がないです。忙しなく、それでいて面白味がなくなってるなーと首を傾げることが多いです。

ONEは再開後に毎週放映がありますが、試合前のプロモーションも日本国内では届かないし、当然試合後の振り返りがあるわけでもなく、「試合があったんだって」と流れて(消費されて)いっているように感じています。RIZINだってその傾向はあるし、UFCだって、ベラトールだってどこもかしこも味わう余白をくれないのです。

雑誌が弱くなってきて勢力図が変わって、ウェブメディアが主流となっていますが、ウェブ記事も格闘技に関しては劣化しているというか、粗くなってきていると言わざるをえないです。これも数に頼ったというか、消費の流れに巻き込まれているので格闘技の試合で起こってること同じことが言えるように思います。PV稼ぎの女性ファイターの記事やPVが稼げる話題性の強い記事に行くから、格闘技の楽しみ方やコアな魅力を伝えることからは距離があります。

この流れ自体は雑誌がなくなってから加速したと思っていて、少なくとも格通、ゴング、カミプロなどがあったときは試合前の記事も試合後の記事もそれなりにあって、落ちつけたというか、味わう行為が可能だったんですよね。これは時代の流れだもあると思うのですが、間がなくなって、個が強くなって、雑誌が成り立たずに休刊になったりで、今の情勢になっています。今の中で孤軍奮闘を続けてくれる「MMAPLANET」や「KAMINOGE」はありがたい存在です。

この消費の流れは止められないことだとは思うのですが、個人単位ではその流れではいかんと思うし、僕は「遅い格闘技」をやっていこうと思うのです。最低でも試合前後の心情を伝えていきたいし、何が起こったのかを伝えていくのは大事です。できることならば観た人同士が持論をぶつけあってくれたらそれはもう作り手冥利に尽きることです。

消費が早い格闘技界だからこそ、「遅い格闘技」を大事にしていきたい。

では遅い格闘技って何かと言えば「これだ!」とは出てこないのですが、試合直後に感じたことと1ヶ月後や2ヶ月後に感じたことは違うだろうし、それは観客もまた見え方が違ってくると思います。懐古主義なわけではなく、せっかく試合をするのだから、楽しみ方をいくつも持って豊かにやって、観ていくようなものを作りたいと考えていました。

DREAMを今改めて解説をしてるのですが、今だから見えてくるものもあるし、なぜこのような味わい方を当時できなかったんだろうと思うし、起こったことに対して、様々な角度で、時間で語ることは楽しみ方として、有効な気がしました。

コロナの感染者数増加でイベントはどうなるかわからないのですが、活動できなかった期間を取り戻すようにイベントがあって、消費される速度が上がっていますが、それで豊かさが上がったかと言えば、微妙です。もっとどう楽しむかを考えた方がゆたかというか、楽しいというか、近道だなって考えた次第です。老害なのかなあ。

というわけで。

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