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主客転倒している話 演者と客のパワーバランスが崩れている世の中 主導権を握らせたら駄目だよ 絶対にの巻

那須川天心さんが「演者と客のパワーバランスが逆になってる世の中、 主導権は握らせたら駄目だよ絶対に」と当たり前なのだけど、商売を考えて口に出さない人が大半の芯の部分を発信していました。

那須川天心さんの存在と立場でここら辺の話を躊躇なくしてしまう辺りが那須川天心であって、世間一般に言われるプロボクサーでもアスリートでも格闘家でもなく、那須川天心がボクシングやキックボクシングで表現している文字通り演者でアーティストなのだと思います。僕は大好きです。

少し前の話ではあるようなのですが、10月21日のコンサートで山崎まさよしさんが「今日は喋る回にしたい」と8曲歌って終わったところ、客が「歌わないなら帰る」「払い戻ししろ!」となった上で見事に拡散されて、払い戻し&謝罪する騒動があったようで、山崎まさよしさんが創り手なのだから、好きにすればいい話であって、嫌なら次からこないでいいと思いました。創り手は好きなものを作って、客は嫌なら次から買わないという選択肢を持っているからこそ、創り手と客はフェアだと思うんですけど、そう言う時代じゃないのは承知しつつも首を傾げる話でした。

山崎まさよしさんの件はニュースで見た程度なので把握しきれていませんが、歌を聴きにきて喋りで誤魔化されてずっこける気持ちもわからなくもないけれど、そもそも表現って言うのは当たり外れのあるもので、チェーン店じゃないんだから当たり外れがあるのが面白いと思うし、食べログでとりあえずハズレのない店を選ぶような損をしたくない心理が透けて見えて、つまらない時代だなって思いました。ライブを見にいくとか、興業を見に行くって当たるかどうかのドキドキを楽しむ物だとも思うのですが、どうなんでしょうか。IGFは外れることの方が多かったように思うけど、たまに当たると爆発的に面白かったけど、今の客には珍味過ぎましたね。大好きだったけど、なくなりました。まあそれはそれとして。

那須川天心さんの仰る通りで演者と客のパワーバランスが崩れています。
売上や再生回数が目に見えてわかる時代だからこそ、売れるものを創るし、売れるものを創りやすくなったのですが、客の求めるものだけを創っているといつしか客に主導権を握られてしまって、自分が創りたいものがなくなってしまいます。最初から創りたいものがなければいいけれど、だったら最初から人前で何かを表現しようなんて思わない方がいいと思うし、少なくとも格闘技やプロレスをやらない方がいいとは僕は思います。

アーティストの友人が個展で自分の信念で描いた絵は売れないけれど、見栄えの良い絵が売れていって、この絵を描かない方が良かったのかと僕に尋ねるので、売れなくともあなたの信念を貫いた作品をど真ん中に置くことが大事で、この信念がなければあなたの表現の価値はないとお伝えしたことがあるのですが、売れないものを創る大切さを忘れてはいけないです。逆を言えば売れるものを創れるから、売れないものを創れるのであって、産業として成り立たせるのもまた大事なことです。

僕が言う「消費」されていくと言うのは客に合わせ過ぎて、いつしか客に飽きられていくことです。消費スピードはインターネットとSNSのおかげで急速にギアが上がったし、消費のスピードがより速いのは未だに地上波テレビだと思います。何よりも怖いのは消費されることだと僕は思います。まあそれはそれとして。

この手の話が出てくると毎回思い出すのはプロレスラーの鈴木秀樹さんです。大日本プロレスの後楽園大会だったか定かではないし、僕は現場で見ていたわけではないのですが、会場で客に野次られた際にリング上から「俺の前で言ってみろ!殺してやるから!」と仰っていて、もちろんそれなりのボヤ騒ぎにはなっていたので、後日鈴木秀樹さんに心配したふりをして聞いてみると「客のくせに指図すんだよ」と笑っていて、プロのレスラーだと思いました。鈴木秀樹さんが自分のプロレスに自信を持っている証拠でかっこいいです。

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