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青木真也近況と水曜日の5分9本。 鍛錬する日々

水曜日の練習。いつもは4人で回すのだけれど、他のメンバーが集まらずに岩本健汰さんと二人。マンツーマンで練習をした。僕の近況をお伝えする前に岩本さんの話を書こうと思う。彼は知られていないけれども「すごいこと」をしている人。

岩本さんと練習をするようになったのは2019年の秋。そこから3年間一緒に練習をしてもらっている。稽古での練習相手としての強さも組み技に関する知識も僕が知っている日本人ではずば抜けていて、僕の組み技を一段上に上げてくれた存在だと思っていて感謝している。

岩本さんは最初は2019年ADCCアジア予選を勝ち抜いた足関節が上手な下から攻める若者だったのだけど、この3年間でMMAキャリアをスタートさせて、レスリングが上手になった。今回のADCCアジア予選を日本人で唯一優勝。世界的なグラップリングのレベルアップとオーストラリア開催で競技レベルの高いオーストラリア人選手が多数出場したこともあって、日本開催とは出場者数もレベルも段違いとなっている中での優勝と代表権獲得は価値あるものだと思う。日本人でグラップリングと言えば岩本健汰だ。

グラップリングでのキャリアを語る上でADCCの予選を勝ち抜いて本戦でそれなりの試合をしてこそ「グラップリングをやっているグラップラー」と名乗っていいと僕は思う。それ以外でグラップラーを名乗る際はそれなりに弁えるのが格闘技者としての矜持であるとも思う。僕は2004年の本戦にアジア予選を勝ち抜いて出場して、1回戦をなんとか勝ってベスト8(1回戦は北米予選優勝のマルコスアベランでその後マルセロガルシアに木っ端微塵にされる)になっていることでグラップリングをそれなりに語ることを自分で許せている。

9月半ばの世界大会に向けてアメリカでトレーニングキャンプを組むとのことで今週には日本を出発するとのことを練習前に聞いた。直前に伝える辺りも我々の個人主義なところで、自分が強くなることを第一に考えて他人に興味がない表れであって、「ああそうなのね」程度なのが我々の特徴だ。そうは言っても彼へは感謝とそれなりの思い入れがあって、世界大会に行く前に僕の思いを身体でぶつけておきたいと僕が思った。世界に立ち向かう若者が日本には青木真也がいると思ってほしいし、僕が格闘技で生きていく上で「若い力から逃げないし負けない」と胸を張れるのが僕が生きていく上で大事なことだからだ。例え潰されたとしても精神的な意味での「逃げない負けない」があるのが大事だと思っている。これは青木真也が青木真也でいるための意地だ。ここら辺はアメリカで活動活躍される佐藤天さんにも勝手に思っていて、僕が現役選手として踏み止まれる理由の一つではある。

5分7本追加で2本。計9本。互いに1本も極められなかった。
極めたかったし極められると思ったけれど極められるところまでは辿り着けなかった。あと少しとは思えるところまでは行けても彼には余裕があるように思えたし、実際に余裕を持って捌かれていたように感じる。悔しいけれども大善戦をした上でのこれが今の僕には精一杯ではある。それでも意地は見せられたとは思っていて「まだ負けねえよ」とも思えている。先週の暑さに比べれば和らいだとはいえ、気温も湿気も高い上に5分9本の運動量でマットはゲリラ豪雨の後のような汗。僕たち二人は疲労困憊で動けず、何も話すことなく「おつかれさまでした」と練習を終えた。そういえば「試合頑張ってね」とも「キャンプ頑張ってね」とも伝えていないけれど、練習で十分伝わっていると思っている。

ADCCの出場16人のメンバーの中では岩本さんが知名度も実力も下だと思うけれど(現状では)、今大会で力を出し切って名実ともに満点下に示してほしいと思っている。しかしトーナメントの面子が凄まじい。このトーナメント優勝の価値は名実ともに世界一に相応しいもだ。2ヶ月間のトレーニングキャンプと世界大会での武運を祈る。僕のパフォーマンスが保つ間に僕の挑戦をグラップリング戦で受けてほしいと思っていて、彼には全力でぶつかるだけの価値と意味があると思っているから、強い岩本健汰として立っていてほしいと思う。頑張ってほしい。

ここからは青木真也の近況を。月刊青木真也がオススメです。みんなで読もう月刊青木真也。今月は月末にRIZINもあるし悩んでいるならオススメ。

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