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エドアルドフォラヤンの試合を見て思う おじさんたちの夕暮れ 日はまた昇る

エドアルドフォラヤンが地元フィリピンで負けた。

20年弱プロ格闘技選手として生活していると家族でもないのに家族のように感じて動向を気にする選手がいて、それをライバルと言ったり、戦友と言ったりするのだと思うけど、僕はそんな簡単に軽く使われている言葉でエドアルドフォラヤンを表したくない気持ちがある。僕の人生においてたくさんの学びをくれた人であり、今ある言葉では言い表せない人だ。

僕とフォラヤンは3度試合をしていて、どれも忘れられない試合でどれも今考えても価値や意味のある試合をしてきた。そのときの価値や意味もあるし、今だからこその価値や意味もあって、僕もフォラヤンも互いに忘れることのできない試合だと思う。

僕とフォラヤンは同い年で互いにMMA連敗中と今はキャリアの苦しい時期にいて、年齢とキャリアを考えても苦しい時期なのはわかるし、お互いに頑張りどころだ。互いに負けられない気持ちや意地もあるし、頑張って欲しい気持ちもあるし、お互いこれからどうするのかを知りたい複雑な気持ちだ。

フォラヤンの動向は常に気にしていて、リアルタイムでフォラヤンの試合を見ていた。辛い結果になることも想像できたので、練馬で1人で見ることにした。フォラヤンの試合を見たら、今の自分の状況からしても自分の感情が自分で予想できなかったり、コントロールできないのが予想できたから、こういうときは1人で観るに限る。

フォラヤンのコンディションとパフォーマンスは良く見えた。練習をしているのだと思ったし、この年齢とキャリアでこのパフォーマンスを維持するのは並大抵の取り組みと努力ではないのは容易に想像がつく。若い選手に混じって練習をしているのだと思うし、その中で若手の台頭を感じ、自らの衰えも感じて、それでも感じないふりをしてやっていく日々を耐えながら楽しみながらやっているのだと思う。

試合はabemaTVの解説では相手選手優勢との声が聞こえたが、僕の目にはフォラヤン優勢に見えていた。冷静に見えていないと思った。僕が冷静な判断ができていないのであって、abemaTV解説陣の大沢ケンジさんと竹浦正起さんの解説が真っ当なのだと思う。僕はそのくらい入り込んで試合を見ていた。2Rに相手のパンチが入ってノックアウト負け。フォラヤンがノックアウト負けする姿は予想していなかったし、ナシューヒンやニューエンにノックアウト負けしたときのようなアクシデント要素のあるノックアウト以外は想像していなかったので、僕の感情がひっくり返されてぐちゃぐちゃになった。これまでのフォラヤンは打撃戦では滅法強かったし、エディアルバレスにも打ち合いで負けずにカーフでダウンを奪ったこともあるくらいだから、フォラヤンが打撃の打ち合いで不覚を取るのを信じられずに見るのが辛かった。苦しかった。悔しいではなく、苦しいのが適切な表現な気がする。物凄く苦しい。消耗や衰えを感じるからだと思う。それでもこれは現実で受け容れ生きてかねばならないのだ。

彼の人生だから今後は彼がどうするかを決めればいい。
自分のキャリアを自分で決められるだけの功績は残しているだろう。

僕の気持ちとしてはフォラヤンが頑張っているから負けないように頑張ってこれて、大会で一緒になって一言二言話したりすることで頑張ってこれたと思うし、今も頑張れている。彼がファイターとして存在することで僕もファイターとして踏み止まれているところがあるから、無責任だけど彼にはもう少し頑張ってほしい。おれたちはまだまだやれるはずだ。

去年試合直後ににケージで交わした言葉。「ワンモア」。
互いに戯けて言った言葉だけれど、僕はこの「ワンモア」があるからまだ頑張れてる。「まだ頑張ろうぜ」と数ある言葉の選択肢の中で一番厳しい言葉を彼には送りたい。僕もまだ頑張る。足掻いていく。試合をするしない関係なく人生の闘いは続いていくわけでまだまだ頑張りましょう。互いにやらなければいけないことはまだある。

エドアルドフォラヤンはフィリピンのMMAの最初のスター。
分かりやすく例えを出すと力道山みたいな人だから、ラストマッチは必ずあると思っていて、ラストマッチは僕がやらしてもらいたいと思っている。シンガポールで2回やって日本で1回やっているので、フィリピンでやるのがフェアだと思うし、何よりも彼の出世試合は僕との最初の試合なだから、文脈で見ても興業として見ても理屈があっていると思う。何よりもそのくらいの気持ちが僕にはある。頑張りましょうよ。

フォラヤンおつかれさま。話をしたいので1月にフィリピンに行こうと思ってる。噂に聞くONEで稼いだカネで建てたバギオの豪邸でメシ食わせてね。

最近の青木真也は「どうしたいのか」をフラフラと探しています。

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