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改めて考える安全の話 ※全文無料で読めるのでよろしくお願いします

北岡悟さんのパンクラスイズム横浜の所属選手の方が計量失敗して試合消滅したのをTwitterで知り、ジムを構えて所属選手を抱えると所属選手が計量失敗して謝りを入れたりカバーする作業は大変だろうなと眺めていました。

週明け月曜日に北岡悟さんがTwitterで計量失敗の経緯を綴っていて、内々に済ませてわざわざ発信する必要のない上に内容が常識の斜め上に行っていたのもあって、しっかりと炎上していました。このTweet後に説明足らずな部分をTweetしていましたが、後の祭りであります。

安全管理の部分、ハラスメントと取られかねないリスク、発信してはいけない部分とこの3つが大まかなダメなところだとは思うのですが、北岡悟さんは北岡悟さんで仕方がないのは承知な上ですし、彼からしたら大きなお世話だと思うので、見守るスタンスとTwitterや記事で触っておくくらい目一杯です。狂気としかいえないけれど、狂気だとの認識がないことが凄いです。

個別の話を言ってもまさに仕方がないので計量や安全についての考え方の話をします。大事なことで多くの人に読んでほしいので無料公開します。

格闘技選手の減量に関しては「水抜き」で大幅に落とす減量が主流になっている関係で計量失敗が増えています。水抜き減量が主流になる前は計量失敗も少なく、減量もそこまでない牧歌的な時代でした。

いつからか水抜き減量で水抜きの幅を読み間違えて失敗するケースが増えてきて、海外では減量での死亡事故が起こっています。ONEの計量システム変更は死亡事故が起こったことが原因で尿比重検査が導入されました。尿比重の計量システムが完璧ではないにしても安全に関する意識が高いのはいいことだと僕は思うし、投資を集める資本主義システムが良い方向に作用した面です。

格闘技業界は減量で無理をすると死亡する意識が低いと感じています。脱水の延長線上には死亡事故があることを業界全体で意識することが大事だし、死亡事故を起こさないことを考えると計量失敗の罰則強化は選手に圧力を掛けることに繋がるのは容易に想像できるので、格闘技団体には罰則に対してよく考えてほしいし、選手やジム関係者も優先順位の一番は命であることを肝に銘じてほしいところです。

若い頃には死ぬ気で落とせと思ったし、今も計量失敗はプロ失格と思ってはいますが、大前提として命の安全がありますので、一つよろしくお願いします。

皆が麻痺していると思うのですが、人前でぶん殴って関節を極めて首を絞める格闘技は異常なことですが、スポーツとして側を整えることで許されているのです。スポーツとしての側が整っているから商売になるのです。その意味ではルールや検査はどれも申し訳とも言えるけれど、側を整えることが社会と握り合う意味で大事です。そこを考えるとドーピングも計量も優先順位が見えてくるはずです。

競技の輪の中にいると「死んでも勝ちたい」と思うことはあると思うし、半ば正しい感情だとも思いますが、勝利は命よりも大事なものではないですし、生きているからこその勝利であります。

格闘技(スポーツ)は遊びであって、人生を豊かにしてくれるものです。生き方を賭けるのはいいけれど、命を賭けるものではありません。どうも最近は行き過ぎている気がして、一向に揺り戻しが来る気配もないので、改めて安全と命の大切さを書くのが大事だと思った次第です。

僕に色々と教えてくれるプロレスラーの鈴木秀樹さんがとある試合で僕が無茶な技を受けた際に「無茶をして多くのレスラーが怪我をしました。どんなに試合が良かろうと今日の試合は0点。」と言ってくれたのですが、安全ってそのくらい大事なことなんです。それと同時に怪我をしないコンディションも大事で、同じくプロレスラーのT-hawkさんは同所属のレスラーに「相手の人生を背負う覚悟があるのか」との言葉を残していて、事故を起こしても事故になってもお互いの人生に影響する覚悟があるかどうかは大事な話だと思います。当たり前の話ではあるのですが、だから練習が大事です。

それでは怪我に気をつけて元気に生きましょう。

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