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ライカM11発表と、思うこと。

カメラの進化として、

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ライカM11が60Mの高解像度で登場した。

解像度を上げる進化が先ず一つあるとして、これは人の「もっと見たい」という欲求と分かり易い技術の進歩がもたらす事のバランスで成り立っている。

それは写真を作る一つの要素でしかないのだけれども、これ以上これが進化のメインストリームにならないようにといつものように心配してしまう。

M11がどうこうではなくて色々なカメラで写真を撮っていてよく思うこと、それは

「見た目通り撮れないなあ、人の目って凄いなあ」

という事だ。大きな明暗差の場面では未だカメラはうまくこれを捉えられない。進化の本題はこっちなんじゃないかと思うのだ。

高解像度化はデジタル黎明期よりずっとど真ん中で新型カメラのチャンピオンデータを作り続けて来たので流石にどうなるのかわかるんだけど、そのバーターでダイナミックレンジの進化が足踏みしているのがいつも残念なのだ。

そういう意味では24MフルサイズのM10Pはイイセン行っている一台だ。

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by LeicaM10p 夜景スナップも得意なカメラだ。


さておき、

極小センサーにもかかわらず、ある意味それを一番解消しているのはiPhoneだというのは皮肉な話。あの映像エンジンは宇宙人のテクノロジーだよ、と思うほど良く出来ている。物理的には広いダイナミックレンジを得るには不利極まりないセンサーサイズなのに、、
これもRetinaディスプレイとの組み合わせで成せる技なのだが、撮る技術と見せる技術が噛み合うと素晴らしいというお手本のような話だ。

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by  iPhone11promax  旧機種でこれである、、

ライカM11が、ほぼ完成の域に達していたM10シリーズから受け継いだものは多い。大きさやデザインは殆ど同じだし、距離計も同じ。まあ変える必要がない部分だと思う。シャッターフィーリングもM10Pでライブビュー撮影をしている時と全く一緒だった。これはファインダーで撮っている時もシャッターが開いていて、露出やらもろもろデータを撮像素子そのものから取得しているからだ。これで露出やホワイトバランスの精度は間違いなく上がるはずだ。それで空いているシャッターが撮る時に一度閉じるという動きが常に必要になる、ワンアクション増えるわけだ(メカシャッターでの撮影時の話)んー、まあ、ほとんど気が付かない人が多いのでは、というレベルかな。普通のミラーレスと同じになったとも言える。まあM10Pをレンジファインダーで使い込んでいる人には多少気になるかもしれない。

電子シャッターで、1/16000が切れるのはちょっと羨ましい、僕は絞り開放の撮影が殆どなので1/4000だと足りないときがある。バッテリーの容量アップと省電力化はとても羨ましい。僕が愛用しているM10Pのバッテリーも容量アップ版を追加発売して欲しいと激しく思う。アイコンだった底板が外れるライカっぽさはなくなって利便性が追求された、これは良し悪し。

と、一通り書いて、

今回取り上げたいのは、ライカM11に搭載されたトリプルレゾリューションなる技術だ。どうやらピクセルビニングをやっているらしい、それが気になる。
つまり、60Mのセンサーから36Mのデータを作るのに、隣り合う複数のピクセルのデータをつかって1ピクセル分のデータを仕立てるやり方だ。受光面積の大きな素子で撮像したときの受光状態を仮想的に再現する技術でこうすると高感度特性やダイナミックレンジがよくなる(損なわれない)と言われている。

これはRetinaディスプレイの1CSSピクセルを複数のデバイスピクセルで表示して解像感を跳ね上げるのと感覚的な近さを感じる、これは革命的だったが、こっちはどうなのだろうか。

最大解像度の60Mで撮影したデータは60Mをそのまま使うわけだからそもそものセンサーの性能で勝負する部分が大きいので、先ずはM型で初めて裏面照射化されたセンサーのポテンシャルと、それを料理する映像エンジンマエストロⅢに大いに期待したい。まあこれはどんなものか想像がつかなくもない。物理的には画素ピッチはかなり小さくなるのは明らかだが、実際に入射する面積を増やしていたり自信をもってライカが出してきたのだから進化はしていよう。実際にライカM11の発表会で見た佐藤健寿氏の60M撮影空撮夜景は良い写真だった。(大事なのは良いデータだ、ではなくて良い写真と感じられるかどうかだ)銀座SIXで展示されているので是非ともご覧になることをオススメしたい。

ともあれ僕としてはピクセルビニングの恩恵を受けられる36Mの画像が気になる、M11は36Mぐらいが妥当だなあと思っていたのでこの解像度で使うことが(買えたら)多いだろう。単純に60Mの画像を縮小した36Mだと残念だが、このやり方には希望がもてるし今回のM11に搭載された中では目玉テクノロジーと言って良い。ここに未来のカメラの種がある。スマホはすでにコレも含めて色々な技術を搭載して別次元にすっ飛んで行ってしまっている。元祖カメラも頑張ってくれているのは喜ばしい事だ。スマホのように撮影条件によって撮れる画素数を変えて画質を担保するというのはアリな使い方だ。

今回のM11はM10Pと同じ最高感度をキープしている。(ISO50000)解像度が2.5倍に(24M→60M)なって、最高感度が落ちていないからセンサーの素性と合わせて高感度性能は上がっていると思ってよいはずだ、いやそう思いたい。さらにこのテクノロジーを使って、見た目通りに写真が撮れる方向に進化していく機種が、僕が本当にまっている機種かもしれない。

現時点ではライカSL2-Sの裏面照射型24Mセンサーはもっともそれに近い。こちらは最高感度iso100000を誇る、このセンサーは本当に素晴らしい。576万ドットのファインダーとあわせて凄く「撮影」「写真」を感じられるものだ。

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by Leica SL2-S 素晴らしい、、

データの質が高いので大伸ばししてもへっちゃらなのは「Lens of Tokyo-東京恋図-」の長編2mのプリント展示で実証済み

解説してるので見て頂けると幸いだ。

M11では実写していないのでまだなんとも言えないが、解像度の進化の一方で、僕が思う「こう撮りたい」に近づいてくれていることを期待している。まあ、M11Pが出るまでお金を貯めておこうかな(^^)

M型の魅力はそれだけじゃないしね。

2022/01/15 




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