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毎週ショートショートお題 「ときめきビザ」



 留学して間もない不安と緊張の中で、仲間達が開いてくれたパーティーが嬉しくて飲みすぎてしまった。
 スマホも財布もバッグの中に入っていたが、その中に入れていたビザが見当たらない。昨日の服のまま目覚めたベッドの上で、私は酔ってバッグの中身を床にぶち撒けたことを思い出した。

 このまま見つからなかったらどうしよう?悪用される可能性は?
 一気に押し寄せる不安の中で突然インターフォンが鳴り、モニターを見るとそこにはノアの姿があった。

「お届けものです」

 その言葉でピンときた私は、「ちょっと待ってて」と急いで玄関に向かった。ドアを開けると、ピザの箱と配達員の格好をしたノアが笑顔で立っていた。

「ちょっと、何してるのよノア?」

「やぁ、めぐみ!見たまんまさ、君にこれを届けに来たんだ」

「すごく惜しいんだけど、今私が欲しいのはピザじゃないのよ」

「でも、記載された住所はここだったんだけどな?」

「ともかくそれは間違いで、私はピザを頼んでいないわ」

 困った顔をしたノアは、「どうせ店に持って帰っても廃棄するだけだから」と無理やり私にピザを渡して帰って行った。
 テーブルに放ったピザの箱を開けると、そこには失くしたはずのビザが一枚入っていた。きっと私が帰った後にノアが拾ってくれていたのだ。

「お礼はデートで大丈夫だよ!」

 箱の内側に書かれたノアからのメッセージが、なんだかとてもキラキラと輝いて見えた。




 
 

 

 

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