質問されたとき、何を考えてどのように答えているのか考えてみた。

質問してますか?されてますか?

そう頻繁ではないが、子どもの頃を聞かれることがある。正確には、相手は自分の幼少期に興味があるわけではなく、「子どもの頃に見ていたテレビは?」などのように「子どもの頃に○○していたこと/もの」を質問していることが多いように思う。

どうだろうか。当然、相手が自分自身の過去に興味を示す場合もあるだろう。自分だったらどうか、親しい相手、親しくなりたい相手の過去に興味がわくだろうか。

あれ?考えてみるとそんなに相手自身の過去には興味がないかもしれない。

いや、しかし、よくよく考えてみるとその人生きてきた時代背景が気になるかもしれない。その人の経験を聞きたいかもしれない。つまり、相手のバックグラウンドを探ることにより、なにかしらのコミュニケーションをとるきっかけだったり、相手を理解するための「相手の子どもの頃」を自分は聞いているのかもしれない。

そうすると、「子どもの頃に見ていたテレビは?」と質問されたとき、何を考え、何を答えればよいのだろうか。

どんな質問であれ、何かしらの意図が込められている。

残念ながら、ネット上ではお互いの事をよく知らないため、意図をいくら込めても相手には伝わらないことが多い。複雑な意図は織り込まず、簡単に記載できる意図と質問をコンパクトにまとめる必要がある。

しかし、どんな場面であれ、意図が正確に伝わっているかはわからない。

そんなことを四六時中考えているわけでもないが、自分が質問をされたときにどうやって意図をくみ取り、回答しているのかを考えてみた。

質問の意図はなにか

質問されたとき、これがわからないと答えられない。意図がわかるためには、前後の文脈を把握している必要があるだろう。

外の景色を眺めていたのに
「のび太、この答えはなんだ?」
突然聞かれても答えようがない。

当然そうだ。質問だが、実際は答えがある程度決まっている問題の答えを聞かれているのだ、問題文がわからないと答えようがない。

では、回答に幅があるオープンな質問の例を通して、質問の意図をどのようにくみ取るのか考えてみよう。

「昨日の晩ご飯、なんだった?」

よほど親しい人、付き合いの長い人を相手にしていれば、話半分に聞いていても聞かれたことに対する回答がすっと出てくるかもしれない。いや、そんなことはないだろう。そんなことを言ったら、結婚生活10年もすれば行き違いや勘違いなんてものはなくなるはずだ。

話がずれた。この質問は一見すごく単純で、答え方は一つしかないように思える。しかし、なかなかにして奥が深い。

「昨日の晩ご飯、なんだった?」

この質問、どんな意図が込められているだろうか。考えてみよう。

まずは、聞かれた状況が大事になってくる。
晩ご飯を食べているときか、昼飯を食べているときか、買い物中か、病院で聞かれたのか、街頭インタビューか。

次に大事になるのが、誰が聞いてきたかだ。
恋人か、友人か、奥さんか、旦那さんか、子どもか、知らない人か、店員さんか、上司なのか、取引先の人なのか。

ひとまずね、朝ご飯食べてるときに奥さんに聞かれたとしましょう。

あ、ここもね、考えてますよ。

以前ね、男性が自分の配偶者を呼ぶときにどういったほうが正しいのか、正しく呼べてない男性が多すぎてみたいな話を見たんですよ。一般常識なんだから学び直せ!と声高に書いてありました。もうね、こう言われたらね、調べますよ。

はい。この場合ね、自分じゃなく問いかけてる人の配偶者を自分はさしてるわけですから、「奥さん」と表記してます。

ここでまた問題が生じました、男性のみに問いかけてると言われそうです。これは由々しき問題ですよ。
じゃあですね、女性の方は、ひとまずリアルおままごとをしてる気分で既婚の男性の立場になって「奥さん」に聞かれたとして考えてみてください。

あ、あと一つ思い出した。職場の書類でね、高齢者の職業入力欄、これタブで選ぶんですけど、仕事をしていない場合は男性の場合は「無職」、女性の場合は「主婦」という選択肢になるんですよ。これね、ちょっとおかしいかな?と。男性が家事してる場合もあるし、女性なら家事してることになるって今の時代になんとなくそぐわない気がしたんですね。でね、何人かにこの疑問を投げかけたんですよ、あんまり伝わらなかったんですよ、「そうですかね~?」みたいな感じで。
SNS上では当たり前に展開される話題でも、現実世界ではテーマとしてあまり成り立たないこともあるなーと感じた一例でした。

では、続きます。

実はこの二つがわかれば、だいたい質問の意図が想像がつく。

奥さんがこの質問を投げたときの意図はこうだ。

「昨日の晩ご飯、なんだった?」(昨日うちはいつものように特売の鮭をおかずにご飯を食べてたわけだけど、あなたは、えーと、どこで、だれと、どんな美味しいご飯を食べてきたのかしら?私もたまには美味しい料理が食べたいわ。そもそもあなたのケータイの着信履歴の・・・)

質問には色んな意図が込められている。
この場合、奥さんが本当にこういった意図で聞いているかは、本人に確認しないとわからない。ちゃんと聞いてみると違ったりする。

「昨日の晩ご飯、なんだった?昨日、部長と食事だったわよね、同じようなメニューはさけて晩ご飯作ろうと思うんだけど」

そう、質問の意図なんて本人に聞いてみないとわからないのだ。聞かれたほうが、一方的に解釈をして返答するしかない。

子どもの頃に見ていたテレビは?

ここまで来ると、この質問も違って聞こえてくるだろうか。

どんな状況で聞かれたのか。考えてみると、どんな状況でこの質問を自分がうけたのかまったく思い出せない。ここは想像力をかき立てて、こんな質問が繰り広げられる状況を想定しよう。

ここは、古いアパートの一室。2年前から大学を卒業して引っ越してきた女性が一人で暮らしていた。半年ほど前から若い男性が入り浸るようになってきた。彼氏だろうか。女性は朝になると家を出て、夜になるとスーパーで買い物をして帰ってくる。土日は私服で男性と出かける姿をみかけるときがある。男性のほうは、日中はあまり家から出てくる姿をみかけないが、夜になると友人が迎えにきて、ギターケースを担いでバンに乗り込み、夜遅く酔っ払って帰ってくる生活をしていた。しかし、今年の3月を過ぎたあたりから最近は酔って帰ってくることも少なくなり、先日からスーツを着て日中も出かけるようになってきた。心なしか、女性の表情も明るい気がする。

ある日女性が男性に聞く
「子どもの頃に見ていたテレビは?」
男性は少し考えるとぼそっと答えた
「・・・プロレス、けっこう見てたな」

女性の顔がぱっと明るくなる。
「お父さんもプロレス好きなの!!よかったー!」

そう、男性は賭けにかったのだ。無論、プロレスを見ていたことに間違いないが、男性がよく見ていたのはプロレスと野球だ。付き合いたてのころ、中華料理屋で野球中継を見て「子どものころ、野球ってあんまり見なかったなー」と彼女が言っていたのを覚えていたのだ。ここ最近の彼女の事情聴取はあからさまだった。先々の予定をやたら気にしたり、持っている服を一通りチェックされたり、趣味のことやら行きたい旅先、友人関係など、男性自身とその周りのことを執拗に聞いていた。いくら勘が悪い彼も気づく。

質問されたときに考えること。

さあ、おわかりいただけただろうか。

質問をされたとき、意図をしっかり把握しない困ったことになる。
「昨日の晩ご飯、なんだった?」
じゃあ、改めてまた考えてみよう。

「あれ、昨日、何食べたっけ?」

そう、聞かれたら質問の意図とかそんなことはどうでもいい。答えを考えるのだ。始まるのは自問自答だ。

質問をするとき、質問に答えるとき、こうしたほうがいい、ああしたほうがいい、世間にはそんな文章が溢れている。自分が言いたいのは、質問はしたほうがいいし、されたら答えたほうがいい。

色々考えるとろくなことがない。
子どものころに見たテレビも、思いついたらぱっと答えればいい。さっき、相手の年齢の査証を見破るためにテレビ聞くとかあるかな?とも考えたけど、そもそもやましい事がなければ正直に答えればすむ話だ。

それでも、こうやって答えるべきだ。あれは良くない。こういう聞き方はよくない、勉強してから答えるべき、聞くべき。そんな言葉が後ろからおいかけてくる。

それはそうかもしれないけど、まずは質問して、されたら答えればいい。

とにかくやって、慣れていけばいいんだ。

あとがき

この文章、1週間ほど前に書き出してたんです。でもね、一時のテンションで文章を書き上げてそのまま公開しないで、一晩寝かせたほうがいいって誰かが言ってたんですよ。調べてみると、昔から言われていることみたいで、誰がいったのかよくわかりません。

で、いくつかね、「後から読み直して修正を加えていく作業を推敲といいます」みたいな文章があったんですよ。「僧は推す月下の門」と「僧は敲く月下の門」、どちらの表現がいいのか考えていたら偉い人の行列に突っ込んでしまったって話が「推敲」のお話です。これね、ずっと考えてるんですよ、落ち着いて後から読み直したとかじゃないんですよね。

今回、読み直して色々と書き直しました。もうちょっと直したいなーと思うところもあるんですけどね、今回は1週間後には公開しようって決めていたので、時間制限がきたというところでやめます。

納得するまでやり直すべきだ!考え抜いてやるべきだ!って意見もわかりますし、新鮮な熱い気持ちで書き上げた文章が面白いんだ!小手先の修正なんかいらない!って意見もあると思います。

今回、どっちでもないんですけどね。書きたいことは書いたので、次の文章をつくるほうに移りたいと思います。








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