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2022年の #COMEMO を振り返って

noteから1年間を振り返るまとめページが届きました。

「地域とコンテンツとIT」をテーマに日経COMEMOは月2回の更新を続けてきましたが、このまとめの3位までを見ると良く読まれた記事は「コンテンツとIT」寄りの記事だったようです(管理画面を見ると実は3位以降は「地域とコンテンツ」系の記事も入ってきます)。

いわゆる「倍速視聴」には高い関心

8月に先に「Yahoo!個人」で公開した記事を引用する形で寄稿しましたが、それでも最もよく読まれた記事となりました。今日もTwitterに記事を引用元の記事を再紹介したところ、未だにエンゲージメントがあるという状態です。

コロナ禍に伴う巣ごもりによって、オンライン・配信サービスの利用が増え、いわゆる「Z世代」の消費行動にも関心が集まったことが背景にあります。筆者は日本動画協会が毎年刊行している「アニメ産業レポート」にて、配信のパートの執筆を担当していますが、2021年度のアニメ配信市場は前年比65.6%増の1,543億円にまで達し、アニメ視聴ウィンドウの中心的に存在となっています。デジタル・SNSネイティブ世代がどのように映像を視聴しているのかには、今後のビジネス戦略を考える上でのヒントが詰まっていることは間違いありません。

一方で、Twitter上での反応でも見られたように「映画を倍速で観るなんてもったない/嘆かわしい」といった上の世代からの批判=いわゆる「若者論」と安易に結びついてしまっているようにも見受けられます。上記の記事でも紐解いたように、「物語系コンテンツ」では倍速再生が常態化しているデータは確認できず、「情報系コンテンツ」ではスキップしながら必要な内容を取捨選択しているというのが実態である(つまり映画やアニメは倍速では観ていない)というのが実情であると筆者は捉えています。ワールドカップでの配信ライブ視聴の盛り上がりや、アニメでのSNS実況からのトレンドワードでの認知の拡がりなど、倍速視聴とは相容れない視聴動向も2022年後半には顕著に表れたと言えるのではないでしょうか。

グループウェア・SNSはどうなっていくのか?

2番目によく読まれたのは「Slackフリープランの変更への対応について」という記事でした。Slackの無料版では90日間しかメッセージが保持されない(有料版に加入すれば過去のメッセージも見られるようになる)という制限が始まることによる影響とその対策についてざっくりとまとめたものです。

記事公開からおよそ5ヶ月が経って、実際に周囲にも影響が出ています。月額1,050円と単価そのものはさほど高額ではないものの、人数が増えると大きな負担になってくるというのは、さあこれからDXだ、関係先などとも連携してグループウェアへの参加を促していこうという段階の組織が多かった日本市場には冷や水を浴びせる形になったのではないでしょうか。

1月にはSlackの共同創業者・CEOが退任することが発表されています。上記の記事でも述べたようにCRM世界最大手のsalesforceに買収されたことで、エンタープライズ市場向けにサービスの位置づけも変わって行くということなのだと思います。学生やITに強い若者の間では、よりカジュアルに利用できるDiscordが人気となっていますが、私が実行委員長を務める「阿賀北ノベルジャム」など少人数・期間限定のプロジェクトでもこれを用いることが増えてきました。

コンテンツ方面での採用事例としてはゲーム連動型のTVアニメ『陰の実力者になりたくて!』が挙げられます。公式サイトを見ると、定番のTwitterではなくDiscordへの登録を促すように画面が構成され、約4万2千人が参加するDiscordサーバー内では活発なやり取りが展開されています。

12月上旬に公開したばかりなので、まだそこまで数字は伸びていないものの、以下の記事もよく読んで頂けているようです。

さすがにTwitterからの「引っ越し」の検討も促すのはちょっと時期尚早かなとも思ったのですが、記事公開からわずか数週間の間にもこのプラットフォームは揺れ動くことになりました。元凶はCEOイーロン・マスク氏の言行不一致・ダブスタっぷりにあることは間違いなく、既に広告主である大手企業で始まっているように、2023年はそれ以外の企業や地域プロジェクトなどもTwitterの広報活用の見直しを迫られることになりそうです。

いろいろあった2022年でしたが、このCOMEMOの記事を中心に大幅に加筆修正した書籍(以下)が刊行できたのも個人的には大きな出来事でした。月2回の寄稿というのは大学や地域プロジェクトでの仕事や他の寄稿・連載を持つ中ではなかなか大変だったのですが、フォロー頂いている皆さまの「いいね」やコメントが励みになりました。この場を与えてくれた日経の関係者の皆さまにも改めて感謝です。

※この記事は日経媒体で配信するニュースをキュレーションするCOMEMOキーオピニオンリーダー(KOL)契約のもと寄稿しており日経各誌の記事も紹介します。詳しくはこちらをご参照ください。
※日経COMEMOへの連載を中心にまとめた書籍が刊行されました。よろしければ以下もご参照ください。




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