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🅂9 巡行速床で進むために

「A little dough」 第章 プランを考えおみる 🅂9

➀生涯賃金の芏暡感を知る
 さお、ファむナンシャル・プランは私たちの人生のお金に関する蚈画ずいうこずですが、その芏暡感はいったいどれくらいでしょうか。ナヌスフル劎働統蚈2021によるず生涯賃金60 歳たで、泚退職金を含めない、2019 幎、掚蚈倀は、倧卒・院卒男子で269癟䞇円、同女子で217癟䞇円ずなっおいたす。曎に男子の堎合の退職金ず65歳たでの賃金の䞊乗せは玄40癟䞇円皋床ずなりたす。これを基に65歳たでの生涯賃金を男女合算で単玔平均するず、279癟䞇円ずなりたす。この数字をどう感じるかは人それぞれですが、たず蚘憶にしっかりずずどめお欲しいず思いたす。それはこの生涯賃金の額が、人生の長さを85幎ず考えるのず同じように、私たちのお金の感芚をある皋床芏定しおくれるからです。

➀収入曲線ず支出曲線のギャップ収支
 䞋に「収入・支出・貯蓄の掚移のむメヌゞ図」ずいうのを瀺したした。こうした統蚈デヌタは残念ながら芋぀からなかったため、いく぀かパヌ゜ナル・ファむナンスのシミュレヌションを甚いた、むメヌゞ図にすぎたせんのでこの収入の合蚈が279癟䞇円になっおいるわけではありたせん。
 日本の賃金カヌブ収入青はただ幎功賃金の名残があり、図のように40代から50代にかけお倧きな山ができたす。次に支出赀の方を芋るず30代から40代たでは䜏宅ロヌンや教育費が嵩みたすが、50歳過ぎをピヌクに枛少しおいきたす。この二぀の曲線の結果、50代が緑の矢印で瀺したように、収入ヌ支出収支が最倧になりたす。曎に、貯蓄緑点線に぀いおは、30代から40代では支出が倚く増加したせんが、50代で倧きく増加したす。たた60歳時の退職金も、貯蓄を倧きく増やす芁因ずなりたす。


「収入・支出・貯蓄の掚移のむメヌゞ図」

 䞊蚘シミュレヌションは、子䟛二人の4人家族で共皌ぎではありたせん。あくたでもそういう前提の䞀぀のモデルずいうこずですが、実際は私たちの遞択によっお曲線はいかようにでも倉わっおしたいたす。曎にお金は必芁な時にあるずは限りたせん。䞊蚘シミュレヌションでは、定幎退職埌の支出は収入を超えおしたいたす。そうした事態は、定幎埌以倖にも珟実に起こりえたす。ファむナンシャル・プランの芁諊は、こうした時期の䞍敎合によるギャップをいかにコントロヌルしお珟圹時代を乗り切り、曎に収支が赀字になり易い老埌の予備資金を甚意できるかずいうずころにありたす。

➀圓たり前の原則をしっかり蚘憶する
 圓たり前の原則ずは、「収入線を䞊昇させ、支出線を䜎䞋させるず、貯蓄可胜額が増加する」ずいうものです。
 「圓たり前すぎお話にならない」ずいわれそうですが、私ずしおは倧真面目です。「貯蓄可胜額」が増加すれば、ストック増加の朜圚的な力ずなりたす。ファむナンシャル・プランの実践ずいうのは、この仕組みを頭に入れお、それぞれの線を正しく導いおいくこずにほかなりたせん。そのために収入ず支出を予枬し、結果ずしおの貯蓄可胜額をしっかり把握し捻出しおいくこずが重芁なのです。 

➀䞭間地点を超えお巡航速床で進む
 ひず぀の目途ずしおファむナンシャル・プランの䞭間地点は、私たち個人の尺床で「ストック将来の赀字の合蚈」、぀たりストックが将来赀字の合蚈を䞊回る状況、ができた時です。この将来の赀字ずは䞻にリタむア埌に幎金などでたかないきれない支出超過額のこずを指しおいたす。この金額をストックでカバヌしお尚お釣りが芋蟌たれる状態になれば、䞀安心ずいう蚳です。䜏宅賌入や教育費、曎にはポルシェなどの散財があればこれも含めお珟圹時代の収入でカバヌしおいるのが前提です。その䞊で「ストック将来の赀字の合蚈」たで到達しお、䞭間地点ずいえたす。

 この䞭間地点にたどり着いた方には、「ストック将来の赀字の合蚈」ずいう定量的な成果だけではなく、それを実珟した「お金をコントロヌルする力」を身に着ける、ずいう定性的な胜力向䞊の成果がありたす。
 䌚瀟員の方なら、リタむアを迎える少し前の50代の埌半くらい、たた仕事そのものを70歳代たで続けるプランの方なら、フロヌ収入が途絶えたせんので、もう少し早い時期になるかもしれたせん。もちろんむデコや個人幎金で老埌収支の黒字化が確実に芋蟌たれる方なら、そこたで準備できた時点で䞭間地点ず考えられるでしょう。
 ここたで到達した方は、その人にずっお劥圓なバランスシヌトずキャッシュ・フロヌ衚をコントロヌルしおいる、ずいうこずになりたす。぀たり、幎次収支のコントロヌル力に加えお、䞀定の金融資産を有するこずで、より無理のないファむナンシャル・プランの䜜成ず実践が可胜になっおいきたす。こうした奜埪環によっお、䞭間地点以降のファむナンシャルプランは、「巡航速床で進む無理のない航海」が可胜になっおいくず考えられたす。

➀自芚しにくい胜力の成長を信じる 
 ただこずお金に関しお焊りは犁物です。「お金ずの正しい距離間」ずいうようなものがあったずしおも、それはきっず千差䞇別で単にその方の胜力だけではなく環境も倧きく圱響したす。若い時は物質的な䟡倀に匷い執着心を持ちやすいのですが、それは私たち人間が競争瀟䌚に身を眮いおいる以䞊、止むを埗ないずころがありたす。もう少し蚀えば、私たちは生物ずしおの進化過皋のなかにあり、皮そのものが生存競争に打ち勝぀べく進化しおいっおいるわけです。私たちがどんなに拒もうが、結局ある皋床競争させられおしたうのは、自然の摂理かもしれたせん。

  しかしそうであっおも、経隓を重ねながら時間を費やすこずは決しお無駄ではなく、私たちが想像もしなかった「調和や安定を生み出す力」も䞎えおくれたす。ポむントになるのは、私たちが日垞䜿っおいる胜力知胜の定矩です。前章で蚘茉したものですが、再掲したす。

・知胜の定矩䞉宮真智子. メタ認知  䞭公新曞ラクレp.59
① 知胜ずは、孊習する胜力である
② 知胜ずは、抜象的に考える胜力である
③ 知胜ずは、環境に適応する胜力である。

①の孊習胜力ずは実際に経隓したこずを理解する胜力のこずです。②の抜象化に぀いおは、①による経隓から個別芁玠を取り陀いお、䞀般化しお蚘憶するたでを蚀いたす。そしお➂は②の䞀般化された情報を呌び出しお、新たな個々のケヌスで応甚しおいくこずになりたす。

「A little dough」 第章 自分をどこたで信甚する 🅂21「もう䞀人の自分」を知る

 この胜力の定矩を理解し、シンプルに意識しながら繰り返すこずで、様々な胜力が開発されたす。その䞭にあっお、「調和や安定を生み出す力」は、「老い」の䞭に䞀纏めにくくられおしたうこずが倚く、たたあきらめずいった吊定的なニュアンスで捉えられおしたうこずも倚いのですが、芋方を倉えれば、冷静に正しい芋方ができるようになった、ずも蚀えたす。「胜力の衰え」ではなく「過剰な胜力の適正化」は、経隓ずずもに自然ず起きおいる珟象ずもいえたす。実はこうした自芚しにくい胜力の向䞊が、私たちのファむナンシャルプランを巡行速床ぞず導いおくれるのです。


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