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幸せとお金の間にあるもの...

▽お金で幸福は買えない、と感覚的に理解している方もいらっしゃると思います。しかし、実際のところお金で買える幸福もあります。雨風を凌いだり、空腹を満たすことも幸せの一部かもしれません。また、そんな根源的なことでなくても、例えばわずかなお金をユニセフに預けることで、少しは社会の為になったのかな、という満足感が得られます。それは、幸福か?と聞かれれば、そうだね、と私は思います。

▽お金と幸福との関係を表すグラフがよく使われています。下のグラフですが、青い線が幸福度、黒い点線が一人当たりの実質GDPの推移を示しています(縦軸は1990年を100としています)。赤い線は生活満足度で、このグラフを見る限りでは、幸福度と酷似しています。

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▽ご覧の様に80年以前の高度経済成長期においても、バブル経済崩壊後の失われた20年においても、日本人の幸福度はあまり変わっていません。お金で買える幸せがあるはずなのに、私たちの所得が増えても、幸福度はあまり増加していないということのようです。増えた所得を幸福感が増加するよう使っていないのか、お金で買える幸福の限界値を超えてしまったのか、あるいはそもそも相関関係だけで因果関係はないのかもしれません。

▽下のグラフは所得と幸福度を国別にマッピングしたもので、全体としては所得の高い国が幸福度が高いといえそうです。ところが幸福度80から90位の分布をみると、所得水準は4万ドル以下のあらゆるクラスに分布しており、所得と幸福度はあまり関係がないともいえそうです。所得が低くても幸福度の高い国がたくさんあります。東南アジアや南米諸国などは、日本の半分程度の所得であっても、幸福度は日本より高くなっています。(※このグラフは購買力平価が加味されているようです。)

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▽因みに…心理学では、幸不幸の要因が起こったときに感じる①アフェクティブ・ステータスと自己の存在に対する長期的一般的な満足度②ベースライン・ハッピネスとを幸福の構成要素としているようです。アフェクティブ・ステータスは事象の発生時に感じるものですからいわばフローであり、ベースラインハッピネスはその蓄積、ストックのようなイメージです。生活満足度は、日々の生活感の積み上げでしょうからベースラインを構成し、これにその他毎日の幸不幸(+/-)アフェクティブが加わり、幸福度は決定される、ということになるのでしょうか。

▽いずれにしても日本の平均値という前提で上掲のグラフをみると、「所得の増減と幸福度」の間には、因果関係はないように見えます。ただだからと言って、私たち個人が一所懸命働いてお金を増やしても幸福度は上昇しない、ということではないと思います。推測ですが、お金が幸福度に寄与する限界値をこえてしまうと因果関係はなくなる、幸福とお金の間には、一定水準までの因果関係しかない、というのが今現在の私の考えです。


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