タイフウ

台風。よく学校を休校にさせるあいつ。でも、休校にはなったけれども、その必要があったのかどうかと疑うくらい雨も風もなく、点描画で描いたような雲が、頭から降り注ぐ太陽の光に耐えきれずに光を漏らしてしまっている光景が頭によく浮かぶ。しかし、今日の台風は一味違うようだ。ところで、どうでもいいことかも知れないが、味覚のどこも使っていないのにこういう時に一味というのはなぜなのだろうか。漢字の意味を深く考えずに使うのだろうか。それとも味という漢字に私の知らない意味がまだあるのだろうか。知ったところで世界は変わりはしないが、自分の世界の見え方は少し透明になるのではないかろうか。しかし、そんな思いとは裏腹に外は混濁であった。雨は矢のごとく地面に突き刺さり、外に出るや否やビニール傘に恥ずかしい思いをさせてしまった。家に傘はもうない。外に出るのは、諦めるしかなかった。あの、自分の中の台風は、外に出たい一心の幻想だったかもしれない。

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