【詩】約束
大洋の野心が何を生んだと
云うのだろうおまえが求める
その船旅で捨てたものの中に
あの娘との海があったことを
一瞬でも今思い出せるか?
約束の港を覚えているか?
舷梯に沖を見てあの娘は
未来を救ってくれるようにと
今おまえが唯一携えている
刃先に託したのだ光るナイフに
あの娘の夢を覚えているか?
たった今野心の存続を救った
その刃先をくれた人の名前を
約束というものは必ず
守らなければならないものだ
あの娘がおまえに示した航路は
たった今おまえを救ったのだ
その美しい哀しみの光を以てだ
おまえは誓わねばならない
これからおまえが誰かと交わす
約束はすべてその刃先にかけて
命をかけて守らなければならない
航海の重みを知れ
暴いた武器庫は
必ず暴き返され
開いた食料庫は
必ず空っぽになる
幸せになってくれ
ナイフの光にかけて誓え
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?