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プレイバック KOC2022

はじめに


 ビスブラ、優勝おめでとう!

 ビスブラには、ストイックにコントを突き詰めているイメージがあんまりなかったから、軽やかに優勝していく感じがあった。優勝までの過程は観ていてワクワクしたし、ポップに楽しむことができた。

 そして、今回のKOCは個人的にめちゃくちゃ思い入れが強かった。というのも、準決勝を会場まで観に行ったからである。賞レースの予選を劇場で観に行くこと自体が人生で初めてだったから、テレビで流れている決勝のネタを予選と比較して楽しむという、今まで体験したことのない楽しみ方ができた。

 ので、予選と比較してどうだったか、なども絡めながら、今年のKOCの感想をつらつら書き連ねていこうと思う。



1-1 クロコップ

 準決で観てトップレベルで好ききだったネタ、ホイニスト。ジャルジャルの国名わけっことかにも通じる感性だけど、しょうもない遊びを全力でやるネタ、大好きなんだよなぁ。

 このネタも、ホイの指の出し方とか顔を向ける時の無駄なキレとか、そういうところが徹底的に作り込まれていて大笑いした。そもそもの、あっちむいてホイ×遊戯王的なカードゲームっていう設定が、くだらなさすぎて大好き。中二病な感じとか音楽との完璧なハメ具合とかもドツボでしたね。

 だからこそ、トップバッターだったのが少し悔しかった!賞レースにおいて、トップバッターはファイナルステージに残れる可能性が低いことを嫌というほど知っているから、あんなに面白かったクロコップがほぼ確実にファイナルステージに残れないと悟ってしまい、かなり残念な気持ちになった。

 ただ、1組目にも関わらず得点がめちゃ高くて驚いた。1組目から90点台つけてこの先の採点に困らない!?とヒヤヒヤしてしまった。が、私の大好きなネタが審査員方にもハマったことはとても嬉しかったし、これを機に大ブレークしてほしいなとも思った。準決でこのネタを観た時、「決勝でこのネタやって、あっちむいてホイブームを引き起こしてほしい」と思ったので、空前のあっちむいてホイブームが起きれば本望。



1-2 ネルソンズ

 このネタも本当に面白かった。準決では最後の方にやっていたにも関わらずバカウケだったし、決勝ではそのウケをさらに上回っていた。お客さんにも審査員方にもハマっていたのがよく分かった。

 2番手にも関わらず高い点だったから、順番があとの方だったらファイナル3組に残れたんじゃないかな〜とも感じた。

 和田まんじゅうの声色とか喋り方、本当にいいなぁ。準決の会場は結構音が飛んでてセリフを堪能できなかったから、テレビでセリフをじっくり聞くことで、より面白さが増した気がした。

 このネタも、ハイスペ元彼への対抗要素が「足の速さ」っていうくだらなさが本当に好き。結婚式の乱入っていうシリアスな設定に、こういうくだらない要素が入ってるっていう落差に笑った。



1-3 かが屋 

 準決で観たときより、賀屋くんのキャラが仕上がってた。準決よりねちっこさが増していて、さらに面白かったな。それだけじゃなくて、セリフの間とか勢いとか、そういうところを完璧にチューニングして決勝に挑んだのが伝わってきた。準決から決勝まで1ヶ月くらいしかないし、かが屋は忙しいだろうに、それなのにここまでネタを仕上げてるのが本当にすごい。

 加賀くんの、前半と後半で表情が変わるのもすごい。最初は戸惑ってて引いてる感じの表情なのに、全てを理解した後に超嬉しそうな表情に変わるのが鮮やかすぎる。この演技力があるから、かが屋のネタに引き込まれるんだなぁ。




1-4 いぬ

 このネタ、準決で観て一番ヒヤヒヤしたなぁ。いぬが決勝進出するって知ったとき、「あのネタをテレビでやるの!?できるの!?」ってハラハラした記憶がある。このキモさを面白いものとして受け入れられるか、生理的に無理って思って遠ざけてしまうか、人によって割れるだろうな。このネタを面白いって思う人が多かったら、いぬのブレークも待ったなしなのでは。

 ちなみに私は準決勝の1日目だけを観に行ったのだが、2日目も観に行った友達は「2日目のいぬはもっとやばいネタやってた」と言っていたので、もしいぬがファイナルステージに上がってたら、あれよりもっとキワどいネタをやっていたのだと思う。それが地上波で放映される世界線もあったのだと思うと、えも言われぬ気持ちになりますね。

 決勝で楽しみにしていることの1つが審査員コメントなのだが、いぬに対して山内が言っていた「起キスキスキス」があまりにも的確で大笑いしてしまった。確かにその通りすぎる。



1-5 ロングコートダディ

 堂前さんのしっかりキャラと兎さんのおとぼけキャラという前提知識があって観ると、涙が出るほど笑える。このネタは私が行った日の準決ではやっていなかったから、それも相まって一番笑った。

 帽子が落ちるのは誰がやっても絶対面白いけど、兎さんだったら実際やりかねないだろうな〜という付加要素もあってもっと面白くなっていたし、指示を分かってるのか分かってないのか分からない感じも、兎さんなら素でこういうとこありそうと思った。コントのキャラと素のキャラが地続きになっているからこその面白さにノックアウトされた。

 会場のウケから考えてもぶっちぎりの高得点だと思っていたから、最後の上位3組に残らなくて結構びっくりした。M-1でも爪痕残しているしメディアで観る機会も増えたから、2人のキャラってもう世間に認知されていると思っていたけど、実はそうでもなかったのかな。準決で観た(多分2本目で披露予定だった)ネタもめちゃくちゃ面白かったから、どこかで披露してほしい。



1-6 や団

 これも準決で観て大笑いしたな。これ観て「や団は絶対決勝行ってほしい!」と思った。ソニー芸人特有のきちがいじみたネタが本当に好きなんだけど、このネタからもその狂気が伝わってきて最高でしたね。

 ただ、一緒に観に行った友達は「面白かったけど怖すぎて引いた」って言ってたから、お客さんとか審査員方にこの狂気がハマるかどうかが決勝の肝だと思った。見事にハマってて超気持ちよかったな〜〜〜!これ観たら死体の処理に困らなさそう。

 あと、みんな声がすごい聞き取りやすかった。喋り方がはっきりしていたし、腹から声出してる感じがした。この声の感じだけで、コント一筋でずっとやってきたトリオなんだなということが伝わってきた。や団、バカ売れしてくれ!



1-7 コットン

 本当に、きょんの変幻自在さがすごい!女性キャラから男性キャラに変わる様子が全く違和感なくて、その変化っぷりがめちゃくちゃ面白かった。

 準決でもこのネタ観たけど、そのときより細かい部分がさらに面白くなってた気がする。コロコロの柄が伸びるっていう小細工は準決だと多分無かったから、細かいところまで妥協せずに笑いを突き詰めてるなと思った。

 あと、スミノフ澪ほろよいのくだりが大好きすぎる。準決で観た時も、わかるわかる!と思って大笑いした。



1-8 ビスケットブラザーズ

 このネタも初見だった。2人のあの見た目でプリキュア的なネタをやるっていうギャップがめちゃくちゃ面白かったな。どファンタジーの世界の中に、たまに「学歴」とか「奨学金」とかの超現実ワードが出てくるのも大好きだった。

 というか、そもそもの見た目が面白すぎる。顔とか体型も面白いのに、さらにブリーフで登場したら笑うでしょ!原田さんが、見た目からしてヤバい人だと思ったら、ネタが進むごとにスーパーヒーローみたいになっていくのも面白かった。去年の空気階段のネタも、そんな感じの展開で大ウケしてたな。



1-9 ニッポンの社長

 準決でどっかんどっかんウケてたのに、決勝では全然ハマってなくてびっくりした。準決の会場ではみんな息できないぐらい笑ってた感じがしたし、このウケだったら絶対決勝行くと思ったし、このまま優勝もありうるんじゃない!?と感じるぐらいだった。ハマってなかったな〜。

 準決までわざわざ観に行くぐらいのお笑い玄人は、明転→暗転の繰り返しとか同じ展開の繰り返しを面白いものとして楽しめるけど、決勝をテレビ(あるいは会場)で観る一般なお笑いファンはあの感じをくどいと思ったのかな。でも決勝の会場まで行く人も相当なお笑いファンだと思うし、、、難しい。

 とりあえず、あのネタはかなり玄人向けの笑いだった気がする。

 ネタとは全然関係ないけど、自販機にお金入れるくだりで、動きと効果音がバチッとハマってて超気持ちよかった。去年のネタでも職人ばりに動きと効果音を合わせていたから、それを思い出した。効果音を使いこなすニッ社の2人もすごいし、ニッ社のバックについてる音響さんが超優秀なんだろうなと思う。

 あと、ケツの顔が面白すぎた。準決は結構後ろかつ端っこの席だったからあんまり表情が分からなかったけど、テレビだと表情がよく分かったから、表情を見る面白さも加わって楽しかった。



1-10 最高の人間

 最高の人間も準決がむっちゃ面白かったし、前評判もめちゃくちゃ高かったから、その割に爆発しなかったなという印象。

 決勝の順番って、準決勝の順位で決まってる気がする。準決勝で圧倒的にウケてておそらく順位が高かったであろうニッ社とか最高の人間が後ろの方にいたから、準決勝の10位→1位の順番が決勝のネタ順になっていると推測した。中盤ぐらいでこうかなって思ったから、最後の組になるにつれてどかんどかんウケるのかなと予測しながら観てたんだけど、そういうわけでもなかったな、、、。準決のウケと決勝のウケが比例しない、賞レースの難しさを痛感した。

 このネタ、準決の時と比べて後半ががらっと変わってた。暗転→明転の部分は丸ごとなかったから、この1ヶ月の間に後半をまるっと作り替えたんだと思う。それなのに、1個前のニッ社で暗転がハマらないことが発覚したから、準決の時より跳ねなかったんだろうなと思った。

 そして、前半が岡野らしさ満載で、後半は吉住らしさ満載なのが面白い。KOC決勝でユニットコントを観るのは初めてだけど、それぞれのピン芸人の良さが盛り込まれたネタになるのが新鮮で良かった。ユニットで決勝まで這い上がるのって相当大変だと思うけど、来年以降もユニットに決勝出てほしい。ユニットの面白さに気づいてしまった。




2-1 や団

 めっちゃ面白かったwww狂気を秘めたネタ、本当に好きだ。

 設定も面白かったけど、「濡れて開き直った人間の可動域なめんな」とか、言葉選びもめちゃくちゃ面白かった。3人目がソラタローの中身とか、布団取り込んだ電話がかかってくるとか、ささやかな伏線が回収されていくのも超気持ちよかった。や団のネタ、もっともっと観たいな!



2-2 コットン

 このネタ、去年のABCでもやってたやつだ。と最初に思った。前に賞レースでかけたネタを再びかけるのも、前と審査員がかぶってるのに同じネタをかけるのも、よっぽどこのネタの仕上がりに自信がないとできないことだと思う。

 それぐらい自信を持ってかけるのにも納得がいった。去年のABCより圧倒的に面白くなってた!ABCの時は煙で遊ぶくだりがあんまりなかったけど、今回はそこを膨らますことで爆裂に面白くさせていたのがすごい。技量を感じた。

 あと、タバコ吸ってる人の細かい所作まで観察して、それをネタに落とし込んでるのもすごい。ライターの使い方とか笑い方に目をつける着眼点とか、細かく観察してコピれる能力の高さとかに恐れ入った。コットン、これからもっともっと名を上げて、押しも押されぬコント師になりそう。



2-3 ビスケットブラザーズ

 面白かった〜〜!これは準決で観たネタだったけど、そのときより表情がはっきり見えた分、さらに面白く感じた。

 絶対付き合わないだろ!と思ってたら普通に付き合うっていうオチが面白かったし、ネタの中に小ボケがいっぱい仕込まれてるのも面白かった。

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