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#小説
|回|(20xx+0)年11月 回る鎖鎌と藤四郎
|Ⅰ|Ⅱ|Ⅲ|Ⅳ|Ⅴ|∇|Ⅵ|Ⅶ|Ⅷ|Ⅸ|Ⅹ|逸|新|💐|常|月|香|回|
藤四郎が洋燈で週刊誌を読んでいると、葵さんが突然疑問を挟んでくる。
『これって、本当に強いのかしら、、、。』
葵さんの指さしたイラストは、野盗が、某剣豪に鎖鎌で立ち向かっているところだった。
藤四郎は頭を搔くと、、、。
『剣術相手だと結構厄介だったようだなー、でも素手でだったら俺でもこれと戦う方法知ってるぞ。』
葵
|香|(20xx+1)年5月 舶来の香油と、二人の時間
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届いた品物を開封する。ちゃんと品物と数量はあってる。
普通は、物品が壊れていないか確認するだけで良いはずの作業に、異常な緊張感がある。
(む、箱が一つ他の商品の箱、そこに、正しい商品名のシールか。)
今回は、霞がよろこぶと思い、神話に所縁のある香油を取り寄せたのだ。別の購入先から、その神話に即した書物と、絵本を取り寄せ、睡
なんか今日のんびりコーヒーを飲んでいたら、『先日投稿したお話で、由利君が脳天にペットボトルを食らうのはおかしいと』電波で受信したので、、、。
https://note.mu/a_hisano/n/n12c7e93b06cb
|Ⅰ|(20xx+0年)7月◆前期課程試験、全科目終了
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目を覚ます。
ここは『洋燈』のカウンター。
大学の試験の最終日が終わった所で、同級生の籘四郎にここまで引っ張られてきたのだ。
(眠っちゃったか)
眠い目をあげると、そこには籘四郎のお目当ての人。
『せいじくん。授業、ちゃんと聞いてないんでしょ。』
多分、彼女は(だから一夜漬けが必要なんでしょ?)といいたいのだ。
少しムッとしてみせ
番外編(20xx+0)年5月 ありふれた日常と、ありふれた会話。
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喫茶洋燈。誠志と藤四郎がいつものようにテーブルに座っている。
誠志は受講している講義のレポート作成用に教科書を熟読する作業の真っ最中であり、藤四郎は、ひいきにしている雑誌記者の記事に感想のメールを送るために、記事の文面を要約する作業をしているのだ。
ページをめくる音と、シャープペンシルと走らせる音だけが響く空間の中、空にな
番外編(20xx+2)年3月 花言葉💐、コーヒーカップ☕とそれぞれの名前
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喫茶『洋燈』に入ると、葵さんが古い書籍を開いてため息をついているのが目についた。
『珍しいじゃねぇか。ため息なんて、、、どうかしたのか?』
藤四郎が軽口半面、気遣いの言葉をかける。
『お店の前で、スノードロップの花が咲いてたんだけど、、、。』
葵さんが困った顔でつぶやいた。開いた本を脇に挟んだまま、片手間にコーヒーを淹れて
番外編 (20xx+2)年1月◆あなたに名誉を
三が日が過ぎた頃の冬休み。
喫茶”洋燈”の入り口には“本日貸し切り”の札。
本来は定休日なんだけど、葵さんが、俺と藤四郎が葵さんに送った年賀状のお礼に、お店を貸し切りで開いてくれたのだ。
『誠志君、年賀状ありがとう。この猫の絵は霞ちゃんの絵?すごく上手ね!』
『そうなんですよ』
霞は、単純ながら写実的な輪郭のイラストを描き、そこにパステルカラーをふんだんに使う。幼いころは女の子らしい
|Ⅹ|(20xx+6)年8月◆誓いの日
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“本日貸し切り”
そう張り紙された洋燈のガラス扉を開けて、藤四郎が入ってきた。
『ふー、あちい、あちい。』
入ってすぐに葵を見つけた藤四郎は、ズカズカと入ってきてカウンターの椅子にどっかりと腰かけた。
『葵さん、久しぶり!』
『久しぶり、由利君。元気そうね!』
以前より、少し落ち着いた印象になった葵は、にっこりと笑った。
『うーん
番外編 悪い子はいないか?
喫茶『洋燈』。今日は午後の講義が無いので、俺は藤四郎と喫茶『洋燈』に遊びに来ている。
『誠志、これできるか?』
見ると、藤四郎が人差し指と中指、薬指と小指をくっつけてかざしている。
ああ、あれか、他の指をくっつけたまま、中指と薬指だけを離せるか、ってやつか。
『できないけど、、、ていうか、それ意味あるの?』
中学生、、、いや小学生かよ!とか心の中でツッコミを入れつつ、次の言葉を待つ。
|Ⅸ|(20xx+3)年9月 顛末
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ニコロ・マキアヴェリは、ひたすら良心的に、道徳的に振舞うことで他者にそれに習わせ、追従させる方法は効果が無いからやめるべきであると著書で強く禁じている。しかし、権謀術数のみを追求する者が究極的に行きつく先は、同じく権謀術数のみを追求するもののみを、すなわち同族のみを殺すための論理なんだ。
そうなると、もうほとんど力学と同じなんだけど、そこまで
|Ⅷ|(20xx+3)年8月 出雲と誠志
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◆◆と結託して、輸送車両の荷台に乗り込み、存在しない来客となる。
付け入る隙があるのは、▲▲が支配する分野で、それが整っていれば、誰かが、常に自分に代わってそれを実行することを望んでいるものだ。
だから、それをする疑いがあるものは、みんな見てみぬふりしながら、誘導までしてもらえる。
労働組合の■■の手引で、社長室へと足を運ぶ。
そう、偶
|Ⅶ| (20xx+3)年6月 決意
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ルポライターを目指しているという藤四郎の人脈は、測り知れないものがあった。
“コミュニケーション能力と、人脈さえあれば、自分の能力なんてほとんど人の能力で埋め合わせができてしまう。”
以前に藤四郎は俺にそんな助言をしたが、その言葉の通り、霞はセキュリティーのしっかりした病院へと転院し、俺への直接的な加害行動もなくなったように見えた。
(と
|∇|[(20xx+0)年4月 邂逅の日]◆過去のこと:
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始まりの日(表-1)
横浜港に、大橋出雲の乗る貨物船アストレア・リーダーが到着した。
出雲の乗る船が横浜港に寄港すると、必ずK区にある骨董店に足を運ぶ習慣があることは熟知している。
誠志の羽織るフライト・ジャケットのポケットの中には、ハンティング・ナイフが入っている。ナイフで狙うべき急所は、喉、首筋、みぞおち、睾丸、両のひじ裏や両の手首近
|Ⅴ|(20xx+2)年4月◆変様/霞
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霞の容体が悪化した。点滴のチューブが外れ、逆流した血液が大量に病院の床へと流れ落ちたのだ。
昏睡状態とはいえ、霞は全く動かないわけではない。だから、最初は偶然に外れたものだと思っていた。だが、すぐに2回目が起きた。
異常を感じた俺は、医者や看護婦に頼み込んで霞を起こし、霞と話をした。霞の話では、看護婦さんとは違う感じの人が、点滴のチューブを