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越後湯沢へ移住記録(建物計画編)

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家を建てるときに悩んだ三要素

我が家は移住にあたり,いきなり新築の注文住宅を建てる,という割と勇気のいる選択をしました.多くの場合は,一旦,賃貸で住んでみて,生活が大丈夫か実際に確認した後に家を建てる方が良いと思います.ただ,1. 良い賃貸物件が少なかったこと,2. 補助金の条件が賃貸費(最大2年)または住宅の建築費の補助で,途中の切り替えみたいなことが出来なかったことから,このアプローチは断念しました(そういう意味では制度改革をして1〜2年で賃貸→住宅建設に切り替えた場合に賃貸であれば受けていたであろう残額が住宅の建設費補助としてもらえるような制度改革をお願いしたいです→移住課の皆様).

というわけで,いきなり遠方で家を建てる,という挑戦を始めたのですが,悩むのは近隣に家を建てるのと同じで,「土地」「建物」「住宅ローン」の3要素でした.これらはタイミングや制度・条件が色々複雑に絡み合っていて,分けて説明するのが難しいのですが,まずは一番やっかいで,しかし,最終的な自由度に一番効いてくる住宅ローンから,素人なりに経験を述べていきたいと思います.
※私は専門家ではなく,一回家を建てただけの素人なので,そのことを念頭に,基本は相談先の専門家の意見を参考にしてください!

正直,住宅ローンで最低金利を目指すのは厳しい

近年は非常に低金利で住宅ローンが組めるようになっています.特にネット銀行とメガバンクは熾烈な低金利競争をしている感があります.実際,現状の最低金利だと,年末に4,000万円くらいのローン残高がある場合,むしろ住宅ローン控除によって,利子より税金の減額分の方が大きくなってお得,ということまであるようです.ちなみに,住宅ローンの借入先としてはネット銀行とメガバンクの他に地元の銀行という選択肢があります(湯沢の場合,地銀は第四北越銀行です).湯沢で家を建てるときは以下の3点に気をつける必要があります.
1. 土地によってはマイナス査定となり,土地が担保になるどころか負債扱いで計上され,収入が十分にあってもネットに載っているような金額を借りられない場合がある.
2. 大手銀行の住宅ローンは,湯沢に支店がないために利用できない可能性がある.
3. 建売ではないので,大手やネット銀行の場合は建物完成後の融資となる.このため,住宅ローンと「つなぎ融資」がセットになっているところからしか借りられない.つなぎ融資の金利は無担保設定なので高い(これに対し,地銀(第四北越銀行)は建設開始時点から住宅ローンの借り入れができ,返済開始は完成後からでもOKとなる).

実際の例として,うちの場合は「つなぎ融資が必要」で「湯沢にはメガバンクの支店がない」という制約から楽天銀行の住宅ローンSBIマネープラザの住宅ローンという2つを選んで審査に望みました.結論からいうと,楽天銀行は1次審査はあっさり通ったのですが,本審査が通りませんでした(ネット上でも楽天銀行は1次審査が甘いとの話がありました.1次審査に通った後に土地の売買契約を行うのが通例ですが,楽天銀行は普通に本審査に落ちるらしいので売買契約には他の銀行の審査を受けた方が良いと思います).また,SBIマネープラザも親切に対応いただいたのですが,こちらは1次で審査が通りませんでした.

厳密に何が要因で落ちたとは教えてもらえず,通知には「総合的な判断の結果」とだけ書かれていました.ただ,「土地がマイナス査定」という話は色々確認していく中でぽろっともにゃもにゃ聞きました.あと雇用形態とかも特殊だったので,そのあたりも良くなかったのかもしれません.よくネットである自動計算サイトが算出してくれる「収入に対する借入限度額」と実際に申請した金額に相当の差があったので,まあ大丈夫だろうとタカをくくっていたところはありました(あれは東京とか土地の担保価値が高いことを基準にしている?).

なお,楽天もSBIマネープラザさんも,集める書類の量や建物の間取り,図面,その他多くの書類を必要とし,かなりの労力と時間を費やしました(主に妻が...).書類の準備やチェックといった手続きが簡単な建売住宅・マンションに最適化されている印象で,注文住宅だと色々大変なのかなと思います.

このため,当初より不動産会社さんにおすすめ頂いていた第四北越銀行さんにお願いしたところ,書類のやりとりは全て業者間でやってくれるし,担当者は非常に丁寧に対応していただけるし,(自分は後から知ったのですが)上述の通りつなぎ融資ではなくなるので実際に記述されている金利よりお得で全体として払う利子の差は100万円以下になるし,と相当らくちんでした.一部,金利を交渉できるといった記事もあるようですが,工事開始予定日が迫っていてぎりぎりだったので,そのあたりの知見はありません.自分が北陸と全く縁がなかったこともあり,第四北越銀行さんのことをよく知らなかったのですが,最初からここに頼んでおけば後述の色々な問題も生じなかったかと思うと,住宅ローンの金利を下げようと頑張って余計な回り道をしてしまったのは後悔ポイントです.

なお,第四北越銀行で住宅ローンを組む場合,基本的には湯沢支店になると思いますが,実は池袋にも支店があります.私の場合は湯沢支店に申し込みをし,処理も湯沢支店で行いましたが,コロナ禍という理由で書類の記入や提出のみ,池袋支店で対応いただきました.これは特例処置なので,基本は湯沢支店で申し込んだら,各支払いタイミングで湯沢に赴く必要があります.(あるいは最初から池袋支店で申し込めるのかもしれませんが,そうすると実際に居住した後の手続きで東京に毎回でてこなくてはならなくなるかと思います).

住宅ローンの申し込みまでに決めること

基本的には土地と建物,外構までを含めた予算計画が必要となるようです.頭金+住宅ローン借入額 = 予算となるので,この段階で住宅ローンの額が決まります.建物のグレードアップなどがあるようなら,しっかり盛り込んで予算(=建築業者の請負契約の金額)に反映させておくと安心して工事をすすめられると思います.請負契約というのは,こういう建物をこの金額で建てます,というものです.なので間取りや建材の種類,ガレージの有無,敷地の中にそれらの建物がどう配置されるかの計画図面がきっちりできていて,見積もりが取れている状態にする必要があります

通常,業者毎にスタンダードプランが決まっています.これに基づいた見積もりだと後からグレードアップしようとしても予算が足りない!ということになるので,グレードアップにより金額が大きく変わりそうな項目はこの段階で相談して請負契約に反映させておくのが安心かもしれません.実際に金額が大きく変わるのは高気密・高断熱の実現に関わる目に見えない部分で素人がゼロから勉強してあれこれチェックし,グレードアップしてもらう項目を適切に選び出すのは困難...というか不可能です.なので,住宅ローンメインで高気密・高断熱の家を建てる場合は,高気密・高断熱がその会社のスタンダードなプランに組み込まれている業者を選ぶのが良いと思います.

なお,住宅ローンの予算に組み込まれない諸経費も多く存在します.金融機関によって細かなルールには違いがありそうですが,例えば不動産業者に払う手数料や農地を購入する場合,農地転用手続きにかかる必要,上下水道の引き込みが必要ならその費用などは諸経費扱いで住宅ローンに組み込めないのではないでしょうか?外構の費用も会社によっていくらまで含めて良い/悪い,といった決まりが細かく違いそうです.このあたり,ネット銀行ならzoomなどでの事前相談,実店舗のある金融機関なら窓口で,しっかり確認しておく必要があります.

建物を先に決めるか,土地を先に決めるか

これは難しい問題だと思いますが,自分は土地を先に決めました.というのもせっかく湯沢に行くなら,東京近郊では実現が難しいような広々とした景観の土地が良い,と考えていたからです.とはいえ,今は信頼できる建築業者さんと出会えたので,この業者さんと一緒にゆっくり土地を探せたらもっと良かったのかも?と思ったりするときもあります.なお,東京だと良い土地があったらさっさと売買契約しないとぼやぼやしていると他の人に先を越されたりするようですが(ただの業者のセールストークかも?),湯沢の場合,土地の流動性が低いので,まずは土地を決めてから業者と相談して土地に合わせた間取りを決めることができそうです.個人的には,どんなプロジェクトでも,完成度を決める要因は準備9割,実行1割くらいの比率だと思っています.どちらの順番にせよ,業者との打ち合わせを十分にできるようにするのが大事かもしれません.

湯沢の土地を探すには

色々ネットで検索しましたが,基本的には下記の4ルートがありそうです.
1. ゆざわ商事(地元の不動産会社.幅広い物件の取り扱いがある.)
2. エンゼル不動産(地元の不動産会社.リゾートマンション中心っぽいが土地や中古住宅も扱っている)
3. アットホーム(件数はすくないが湯沢町の物件がある)
4. 建築業者だけが把握している土地(数は少ない?)

うちは1.のゆざわ商事しか訪問していませんが,非常に親切に対応をしていただき,感謝しています.なお,こちらの店舗は前述の第四銀行湯沢支店のお隣で,書類のやりとりは全部,業者間でやりとりしてくれるので何もしなくて良い状態になりました.

建築業者も土地を把握していたりしますが,件数は不動産業者に比べると少ないようです.ですので,基本的には1〜3での取扱い物件で気になるものを探す.既に信頼できる建築業者が見つかっていればアドバイスを貰う,というのが良いのかもしれません.とはいえ,建築業者はその土地を実際に目にしていないことが多いです.土地の形状(特に高低差)については不動産業者にしっかりと確認し,建築業者に正確な情報を伝えられると良いと思います(うちはここが適当でやや苦労しました).

道路と高低差があったり,全体に勾配のある土地が多い.

越後湯沢の土地の特徴は道路との高低差がある安い土地が多い,ということです.もともと山あいの町であり,魚野川に向かって街全体が傾斜地になっていることもありますし,売地が田んぼで道路より低くなっているところも多いです.

ちなみに,私は素人なので,良い業者さえみつかれば,高低差を埋めるのにこんな感じの素敵な家を立てられるんじゃないか?と想像していました.しかし,こういう家はコンクリート造でないと実現が難しそうでした.多くの建築家には得意な工法があり,湯沢周辺でこういった家造りをしている業者はなさそう?と思います.特にローコストメーカーだと営業の方が基本設計をするため,複雑な設計が不可能で傾斜地で家を建てる難易度は高そうだな,という印象です.

従って,気に入った土地に傾斜がある場合,選択肢としては大まかに以下の2つの選択肢となるでしょう.
1. 道路と同じ高さに造成(地面を持ち上げたり,逆に掘削したり)する
2. 地面の高さに家を作って,車だけどうにかする

また,2の場合,ガレージについてはさらに2つの選択肢にわかれます.
2-1. 家の高さに上がる/下がるためのスロープをつける.
2-2. ガレージだけを道路の高さにする.

なお,道路より低い位置に家を建てる場合は,道路に埋められた下水管より家が低くなってしまうと下水組み上げ用のポンプが必要となるので,これは避けるべきです(下手すると下水が逆流する危険も...)
また,地面の高さを造成によって変更する場合,一箇所でも擁壁の高さが2mを超える箇所があると工作物確認申請と宅地造成許可を受ける必要が生じ,非常に高額となってしまうようです.なので,2m以上の高低差がある土地も避けないと傾斜地のコスト面での利点が吹っ飛んでしまいます.

この他,接道義務など建築基準法的に家が建てられない土地を掴むのは論外としても,土地の状況によって以下のような追加費用がかかってくる可能性があるので,住宅ローンを申し込む前に不動産業者に確認をしておくと良いと思います.

1. 農地の土地を購入する場合→農地転用許可を行政書士の方にお願いする費用がかかります.我が家の場合,24万円くらいかかりました.
2. 下水道などが今までに通っていない場合→下水道を繋げる初回のみにかかる下水道の受益者負担金が面積に応じてかかって来ます.
3. 土地境界の測量データが揃っていない土地の場合→測量士に測量を依頼する必要が生じます.これもケースバイケースで10万円くらいはかかることがありそうです.また,売り主が払うパターンと買い手が払うパターンの両方があるようです.しかし,多くの場合は過去に入った国土調査の杭が残っているので,それに基づいて確認が行われ,費用はかかりません.

雪の問題

この他,消雪井戸を掘る場合,必要な深さに応じて切削費用が変わります(200万〜300万くらい??).どれくらいの深さを掘る必要があるかは井戸の切削業者が情報を持っているようなので,建築業者を介して早めに確認をすると良いと思われます.なお,土地によっては近くに温泉がある場合,水源の権利関係の問題で水を地表に出すことができない場合があります.この場合は水を放水する消雪方法ではなく,ロードヒーティングのように地中に埋設したパイプに温かい水を通し,その後再び水源に戻す方法が必要となり,設備が割高になるようです(札幌のように地下水を温める必要はないと思われます...がうちはこの区域ではなかったので,このような土地の場合,費用を含めて確認が必要です).

この他,都市計画法に基づいた区分があります.バブルの名残か,第一種中高層住居専用地域があったりします.こういう土地にも戸建て住宅は問題なく立てられますが,将来的にマンションが近くに建って日当たりが悪くなる心配があるかもしれないので,南側の土地の状況(所有者が細かく別れているとかマンションが立ちにくい状況かどうか)を確認しておいた方がよいでしょう.ただ,いまさら湯沢にマンションが建つようなバブリーな状況がきたら,それはそれで勝ち組では?と思ったりもします.

また,屋根の雪を下に落とす形式の家を建てる場合,建物からどれくらいの距離を雪落とし用に確保しなければならないか(落雪影響距離)が条例により決められています.仮に他人の土地に雪を落とす必要がある場合は,もちろん,その土地の持ち主に許可を得て,書類に押印をしてもらうなどの必要があるため,事前の相談がかならず必要です.ただ,消雪井戸を掘る場合は屋根まで揚水して屋根消雪をする方法も取れるようで,これだと雪落としのスペースを確保する必要もなくなります(我が家は子供が落雪に巻き込まれるリスクや敷地への建物配置の自由度を考えてこっちにしました).

総じて,雪は湯沢が移住先として定番にならない一番大きな要因な気がします.反対にいえば,雪に対して心理的に大きな不安がないのであればお買い得な土地と思えます.新幹線で東京とつながっているという意味では軽井沢などもありますが,大手デベロッパーが参入しているなどして,手続き的に買いやすいが高い,という印象でした.ちなみに公示地価の平均を比較すると軽井沢駅周辺:平均12万0977円/m2越後湯沢駅周辺:平均2万9220円/m2と,価格差が6倍くらいあるようです(2021年9月現在).なんかコロナ禍で軽井沢の地価が大きく上がっているという記事もありますね.湯沢町も後に続いてほしい.

建築業者の選定(我が家の場合)

自分は以下の4つの業者を検討し,最終的に(というか自分としてはほぼ一択で)六日町の工務店であるユーホームズさんにお願いしました.
1.  イシカワ
2. トピアホーム
3. ユーホームズ
4. 高田建築事務所

1. イシカワ
新潟市に本社があり,日本海側を中心に幅広い地域に展開しているローコスト住宅メーカーのようです.担当者の方へメールをし,何度か打ち合わせをし,2度ほど見積もりを頂きました.ただ,私がZEHにしたいのでWebに載っている断熱性能が高い方のプランで見積もりをしてほしいとお願いしたのですが,そのプランはないと回答が来ました(2020年3月頃).今確認したところ(2021年9月),私がお願いしたプランがWebからも無くなってしまっているので,実際にそのグレード自体がなくなってしまったのかもしれません.その後,面倒な客だと思われたのか脈がないと思われたのか,メールの返事がなくなってしまいました(もしかしたら何かの手違いなのかもしれませんが...).なお,会社のWebページにはZEH普及計画というPDFがありますが,目標に対して実際の達成率は高くないので,ローコストで高気密・高断熱の住宅を作るのは難しいのかもしれません.商売っ気がない点は陰キャとしてはありがたかったのですが,間取りを決める段階で建築士の方には出てきてもらえませんでした(大きな会社なら普通かも).ただ,このあたりは会社によるというより営業さんにもよるのかもしれません.よく「家は3回建てなければ本当のいい家は出来ない」といいますが,3回も建てるのは不可能なので,3回以上家を建てているはずのプロの視点でがっつり手直しして,1回で「本当のいい家」を建てたいという思いがありました.なので,こちらからの提案どおりの間取りを作ろうとしてくれる姿勢は親切ではあるものの,私が求めているものとはズレていました.結果的に自然消滅のような終わり方でしたが,お互いの時間を無駄にせず良かったのかもしれないと思っています.

2. トピアホーム
南魚沼地域ではかなりのシェアを誇っていそうな雰囲気です.こちらからメールで建築プランについて相談したいと連絡しましたが「建築時期がだいぶ先なようなので,もう少し後で改めて相談してください」という趣旨のお返事をいただき,対応してもらえませんでした.こちらとしては打ち合わせ回数はともかく,初回の相談を早めに一度行って業者を選定したかったのですが,要望に答えてもらえずに終わりとなりました.3月という時期が雪解けで一斉に工事が動き出すタイミングで悪かったのかもしれません.

3. ユーホームズ
六日町で高気密・高断熱の住宅を得意とする工務店さんです.こちらからのメールに対して,要望をしっかり汲み取りつつも自分たちで考えた間取りとは全く違うプランを出すというプロの仕事をしてくれました.また説明も丁寧,かつ,できるできないを理由と共に説明をしてくれるなど,こことなら一回で「本当の良い家」が作れるのではないかと思い,ユーホームズさんと一緒に家造りをすることにしました.

4. 高田建築事務所
新潟市と長岡市を中心に家造りをしている会社で妻がデザインなどを気に入って資料を入手したり検討をすすめました.ただ,湯沢や南魚沼といった山あいの豪雪地帯での建築実績がWeb上ではあまり見つけられなかったため,機能性と確実性を第一に考え,泣く泣くあきらめました.

他にも,いくつか資料請求したのですが色々考えて実際にコンタクトを取ろうと試みたのは上の1-3,コンタクトを取るか取らないか悩んだのが4,という感じです.今になって思えば,ユーホームズさんにお願いしてよかったと思っているし,ユーホームズさんがいなかったら移住してなかったんじゃないか,とすら思います.今後,湯沢に移住される方で,リフォームや新築をする方に自信を持っておすすめできる工務店さんです.

注)もちろん,東京にも同じように高気密・高断熱を売りにしている技術力のある優良な工務店を多くあるようです.湯沢じゃないとそういう家が建てられない,という趣旨ではなく,湯沢の場合,少なくともユーホームズさんがそういう家を作ってくれるよ,という趣旨です.

我が家の選択ー成功したところー

せっかく建物にお金をかけられるように東京を出るんだから,高性能で安心・安全な家に住もう,というのが我が家の目標でした.なんの知識もなく「高性能な家」と漠然に考えていたのですが,ユーホームズさんにも色々キーワードを教えてもらいつつ自分でも調べて,いまはある程度の知識がついたかなと思っています.例えば,家の給排気を確実に全熱交換機に通し,省エネを実現するためには気密性が重要となります.これを測るC値という指標について,ユーホームズさんは0.2以下を仕様としているとのことです.またお話を聞いている限り,この仕様を実現するには目標値をもっと低くされているようです(口頭では0.1〜0.05くらいを目標にしているといっていたかなーと思います).そして,結果的にですが,我が家のC値測定では驚愕の0.0147(家全体で2平方cmの隙間しかない)を達成しました(測定機械でも測れなかったのでドアに穴をあけて測定後,穴の面積を引いて算出).これは同社としても初めての大記録だったとのことです(なので,同じ数値を出してほしいとお願いしても先方は困るでしょうね...).根拠はないですが,これはこの地域の他の住宅メーカーさんにお願いしていても絶対に不可能な記録だったのではないかなーと思います.なので,結論からいえば,ユーホームズさんに出会えたのが,成功したことだと思っていたりします(もちろん,他にも良い業者さんはいっぱいいるでしょうが...うちは1軒しか建てていないので,悪しからず).

また,ユーホームズさんは床下暖房・小屋裏冷房による低燃費の全館空調を得意としておられるようです.なので,上の方で言ったようなコンクリート造の複雑な形状の家を建てて傾斜の問題をクリアする,とか,2階をリビングにする,といった間取りは相性が悪いところがあるようです(階間エアコンなどを使えば不可能ではないようですが効率は下がりそう).裏を返せば,合理的な理由で絞られた条件の下で何度も家造りをされているので「家は3回建てなければ本当のいい家は出来ない」という点では何回も家を建てられているので,ユーホームズさんが「できる」と言ってくれる間取りなら「本当のいい家」が作れるのではないかなと思います(まだ自分で住んでいないので念の為保留).

というわけで,我が家としては,湯沢で家を建てるならユーホームズさん推しです.コロナ前に問い合わせていたので,初回の打ち合わせは社長で建築士の上村さんが東京の勉強会に来ているタイミングで,東京駅のスタバで行いました.その後はコロナでそういう機会がなくなってしまったのですが,いち早くzoomで対応いただくなど,遠隔地での打ち合わせを無理なく行わせていただきました.先方からすると,今の生活状況とかを見ながらのプランニングができず,難しさもあったかもしれませんが我々としては安心してお任せしつつ,気になったことも気兼ねなく尋ねることができ,本当に助かっています.

ちなみに,補助金の申請まわりでもユーホームズさんには大変お世話になりました.以下が我が家が受ける予定の建築に関する助成です(支給だったり控除だったり色々なので実際にお金が入るタイミングは注意...).

  1. 移住支援事業の補助金(100万円程度,受給条件はHPを確認)
  2. グリーン住宅ポイント(15-100万円程度,同上)
  3. 再生可能エネルギー普及促進事業補助金(最大20万円,同上)

このうち,1は湯沢町の移住担当へメールで質問したり,移住相談会などに参加して自分たちで見つけて申請も行う予定です.一方で,2と3についてはユーホームズさんに紹介・手配してもらいました.2以外にも重複申請はできませんが,時期に応じて色々な補助制度があるので,活用しましょう!

ちなみに,これらの補助金は申請が受理されないことを前提に住宅ローンを始めとした予算計画を立てるべきだと考えています.これがないと破綻する計画はいくらなんでも危なすぎるでしょう.

我が家の選択ー失敗したところー

湯沢の土地探しの良いところは,いい土地が見つかっても急いで建築計画を建てる必要性が低いところにあると思います.実際,不動産会社との交渉のステージには

1. 土地を紹介してもらい,申し込みを考えたい土地を不動産業者に伝える(他の客が興味を持った場合はできる範囲で連絡をくれる)
2. 売買契約を前提とした購入申込み(ここから具体的な建築計画を建てて住宅ローンの事前審査を受ける)
3. 売買契約
4. 住宅ローン(またはつなぎ融資)の実行を受けて購入(土地が頭金で賄えない場合)

という感じになります.実は我が家は最初,今建築中の家とは別の土地を購入する予定でした.他の人と競合しそうということで売り主から「すぐに『買う』と言ってくれるならば」ということで値引きをしてもらい,購入申込みをしました.その後,下記のような理由で数ヶ月単位で住宅ローンの申込みまで時間がかかってしまいました.
1. 農地転用許可を取るための連絡が手違いで私に全く届いておらずに農業委員会の開催日を逃して手続きが1ヶ月遅れてしまった
2. 土地の形状がややこしかったためか,造成業者の見積もりにかなり時間がかかった.
3. 上記の理由で建築計画を建てるのに時間がかかり,さらに見積もりも大手ハウスメーカーのようなざっくりしたものではないため,時間がかかった.
4. 上記全てを終えた後のSBIマネープラザの住宅ローン審査が非常に時間がかかってしまった.

このため,申し込みから売買契約の締結ができるようになるまで半年ほどかかった結果,ようやく売買契約ができるとなったタイミングで,売り主都合で売買契約を断られてしまいました(その土地の販売自体も取り下げられたようです...).このため,子供の小学校入学前に引っ越すという目標を達成するには,冬に土地の形状を目視確認できない状態のまま別の土地を購入せざるを得ない状況となってしまいました.

特に最後の段階での住宅ローンの審査で,並行して第四北越銀行さんにお願いしておけば防げた事態だったと,とても申し訳ない気持ちでいます.ただ,その後,不動産業者であるゆざわ商事さん,測量士さん,ユーホームズさんを始め,様々な方に支援頂き,もう一度前向きに土地探しから短期間で一気に進め直すことができました(冬場で雪が積もった後&コロナで現地に向かうことが難しい状況だったので,色々と苦労しました...).結果的にコロナ前には毎日通勤する前提で駅から徒歩7分以内の土地を探していたのに対し,リモートワークならもう少し離れても良いだろうと徒歩15分くらいまで範囲を広げた結果,前よりも素敵な場所を見つけることができました.さらに費用も数百万単位で抑えられたので良かったです.もう,感謝しかないです.

ウッドショック?

コロナの影響で米国で木材需要が高まった結果,家の柱となる建材が不足し,価格が高騰するというウッドショックが起きているようです.このため,しばらくはウッドショック前に比べて100万円以上も原材料コストが高くなってしまっているとか....うちは滑り込みセーフだったようですが,長引く見込みらしいので,これから家を建てる方,回避不可能かもしれませんが,調べて計画を練った方が良いかも知れません.

また,ウッドショックに続いて,ビニールクロスの壁紙といった塩ビ系建材まで値上げし始めているというお話を聞きました....いつまで続くのかわかりませんが,壁紙に関しては石油系ではない自然素材との価格差が埋まると考えれば,思い切ってビニールクロス以外を選ぶなどしたら良いのでしょうか...

で,長いんだけど,結局どうしたら良いの?

湯沢で新築住宅を建てたり中古住宅をリノベするなら,ユーホームズさんに問い合わせしつつ,ゆざわ商事さんのWebページなどで目星をつけて現地へGo!というのが私の結論です(コロナ禍だと,一旦電話する,かな?).住宅ローンは第四北越銀行さんに申し込みつつ(トータルで考えると結構安い),オプションで,さらに最安値となりそうなつなぎ融資ありの住宅ローンにもチャレンジしてみる,くらいがベストプラクティスだと思います.

※ユーホームズさんは「快適計画」というリフォームブランドも立ち上げておられるようです.

おまけ:とはいえお金の問題は常にある...

もちろん,高性能な住宅は安くはないです.ただ,ローコスト住宅は結果的に高い,ということを考えれば,住宅ローンが組める範囲で良い家に住むのがベストプラクティスだと思います.なので,自分の中では住宅ローンを含めた資金力に応じて,以下のような優先順位で考えたら良いかなーと思っています.
1. 高性能住宅を東京に建てられる財力がある→東京で戸建て注文住宅
2. そこまでお金がない→ゆざわに移住して高性能な住宅を買う
3. そんな住宅ローンは受けられない→東京都近郊の中古マンションとかで良い物件を見つける.最小限のリノベはあったほうがよいのかも?
4. 東京で中古マンションを買うのもキツイ→ゆざわで中古住宅をリノベーションする
5. 予算内でリノベーションできるようないい物件がない→ローコスト住宅を立てる

ただ,5までいくと,暖房費がかさんだりして,結局長期的にみると2の場合と大きくコストが変わらない(が暑くて寒い生活になる)可能性がでてくるとも思います.そこまでいくと,移住するのはほとんど趣味のため,という世界にどんどん近づいていくかもしれません(逆にいえば,それでも移住したい!という私よりずっと強いモチベーションがある方は,湯沢でローコスト住宅という選択肢もありだと思います!).

それと,湯沢はローンの担保としての物件の評価が東京に比べるとどうしても下がってしまいます.なので,もしかすると将来売ること前提にすれば1と2で私が思っているほどの差はないのかもしれません.しかし,将来的な価格が上がるか下がるかは誰にもわかりません.ただし,私は人口動態の推移から下がると考えています(リスク検討編の「将来性」の項).大事なのは,幅広い選択肢を検討することで,その中の一つの選択肢として「湯沢移住」を検討してみてほしい(仲間がほしいから),そのための材料としてこの記事が役に立てば嬉しいです.

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