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ちゃんちゃら可笑しいミセス・グリーン・アップルの炎上 ニッポンの弱点 1 アップデートもんだい-その2

 世間をザワつかせたこの問題はいろんな「リベラルはなぜ負け続けるか問題」の要素も含んでいます。
たとえば
 学者さんや文化人の方々には正しい「世間のカタチ」が見えてない問題。
世間はアタマのいい方々が考えるよりもずっと時代遅れだし、ずっと無知だし、微妙に右よりだったりします。

そうなると必然的に…

「だったらアレはどうなるのさ?」

…な問題があちこちから見つかります。

 私は今回のこの問題を知ったときに、日テレで放送されていたある5分番組を観たときに感じたザワザワが蘇ってきました
 今も放送されている「行列のできる相談所」の直後の枠で放送されていた「夢の通り道」です。
 同番組はディズニーリゾート提供でディズニーランドやシーの様々な施設をとりあげて、それにちなんだ歴史や地理のトピックを紹介するといった内容でした。
 メディテレーニアン・ハーバーにひっかけた「大航海時代」ネタは4~5回はあった記憶があります。
「大航海時代」というワードセンスがすでにアウトです。

 「アメリカ大陸を発見」ではなく「アメリカ大陸に到達」とすべきという流れができてから、既に数十年経っており、さらに米国ではコロンブス像を撤去するべきというフェイズに入っているというのにこの番組はダイジョウブなのか?とザワザワしました。
 コロンブスが既にアウトですが、スペインで強奪の限りを尽くした海賊にして奴隷貿易船船長であったフランシス・ドレークを世界一周の部分だけを取り上げて冒険家として英雄視したりもしていました。
 と、ここまで読んでお気づきのことと思いますが、そもそもドレイクやコロンブスを奉っているのは、ディズニーシーご本尊様です。
 この番組はナレーションのhanaさんが
「…ここは夢の通り道です♥」とハッピーオーラ全開でしめるのですが、「大航海時代」がテーマの日にかぎっていえば逆にコワかったです。

 TBSラジオに出演していた前嶋和弘氏はミセスグリーンアップルのMVについての感想を求められ、最初は「猿の惑星」のパロディかと思ったがちがうらしい、ともあれ広告代理店など、まわりの大人たちは何をやってたんだ?とおっしゃっていましたが、ディズニーという絶対権力の大人がこんな調子で、その価値観とコンプラ意識は今も継続中なわけです。そしてこれが今の日本の平均的な「アップデート状況」なのです。またしてもセンモンカのせんせい方は庶民をかいかぶりすぎましたね。もちろん世界標準でアップデートすべきですが。

 なお氏の指摘した「猿の惑星」の猿=日本人説は実は諸説あって、原作者ブールのもうとつの作品である「戦場にかける橋」とごっちゃになってんじゃねーかというツッコミもありますが、プランテーションやリゾート地でこき使っていたアジア人たちに逆に使われるなんて…という構図にはかわりないようです。映画の方は猿=黒人メタファーと解釈されやはり一部評論家筋からは人種差別映画という扱いをされました。

MVの「猿芝居」演出についてはその真意を知りたいところですが、とりあえずコロンブスについて突っ込むのであれば、先にディズニーシーにつっこむべきです。

 ところで「広告代理店の人間は何をやってたんだ?」というつっこみに日本の縮図が見てとれますね。この国では何かあったときに、とりあえずこのセリフを言っておけば間違いない、そこが怖いところで、これもまた日本の弱点のひとつです。それはまたの機会に。




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