「お母さん」「わたし」という呼び方

覚えている周りの風景が、引っ越した新しい家ではないので、4歳の時だと思う。
ある日、母親は、自分のことを「お母さん」
わたしの一人称を「わたし」と呼びなさい!
と厳しく言うようになった。

子どもって、いつからみんなが呼んでくれる「(名前)ちゃん」と「わたし」が同じものだと認識するのだろう?
いつから「わたし」を使い始めるんだろう。普通は小学生くらいかな?


4歳児のわたし、みんなわたしのことを「えこちゃん」もしくは「えこえこ」と呼ぶので、急に言われた「わたし」という言い方が、全く気に入らなかった。わたしは「えこちゃん」だよ。。。
でも使わないと母親に睨まれた。使い慣れない間、自分のことを「えこちゃんね」と言ってしまうと唇を掴まれたり、ほっぺたを抓られたりしたかもしれない。

「お母さん」という呼び方を子どもに強要し、自分は子どもを支配する立場だ、子どもを従わせるのが親だ、と子どものわたしに教え込んだのではないかという気がする。
または、対等に話を聞ける(愚痴を吐き出せる)相手が早く欲しかったのかもしれない。

弟や妹に「『お母さん』を使え」「『わたし』を使え」と言っているのは聞いたこともないが、逆に弟と妹が「ママ」と言っていた覚えもない。年長のわたしの使う「お母さん」をそのまま使っていた気がする。そもそも妹が「サシスセソ」を言えるようになったのなんて幼稚園の寸前だけど、その時に「おかあしゃん」が「おかぁすぅぁん」と徐々に発音が良くなっていったので、ママという単語を使ったこともなさそうだ。

家庭内に会話をしてくれる人がおらず、寂しかったわたしも、弟が早く喋って話が相手になってくれるように単語をたくさん覚えさせた。
弟はアダルトチルドレンのロストワンタイプで、わたしの遊び相手、話相手としての対象としてはすぐに外れていったが…。

わたしは早くから一人称「わたし」を覚えて周りより早く大人にさせられた。周りで「わたし」や「お母さん」を使う子どもはいなかった。
周りの「ママ」と呼ぶ子とか、一人称が「(名前)ちゃん」の子は「親といつまでもベタベタしている、ガキ」と内心でバカにした。


でも、今Kくんは一人称で困っていそうだ。
ずっと「僕」を使ってきたはずなので、「私」は使いにくそうだ。お酒が入ると、それこそ自分のことを「Kちゃん」と言い始める。

Kくんは先日の母の日に、お母さんに手紙できちんと言いたいことは伝えたらしい。
今までコロナで会えなかったけど、久しぶりに会ったときにKくんはいつもの(女性の)格好で会い、その時に驚かせていた。
「ええぇっ!?うそ〜!?もう止めてよ〜」とお義母さんの第一声はそれだったが、あとはいつも通りに接してくれていた。
ほんのり羨ましかった。
ちゃんと、一人として認めてくれてるんだろうなぁ。

早く名前を変える手続きを進めてあげないとなぁ。。。

第一回目ホルモン療法も迫っている。
りゅうちぇるの件以来、女性ホルモンがKくんにどういう影響を与えるのか気になって仕方がないけど。。。


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