「面会」ではない母親の襲撃ー小学生で入院した時

小学校2年生になったとき、1ヶ月間入院治療(手術)をすることになりました。
わたしは先天性の内斜視があり、2歳からメガネをしていました。

6月4日、子どもばかりが集まった病棟に入院しました。

小学校2年生、ちゃんと院内学級もあり、教科書も持って行っていて、それなりに勉強は困らないはずでした。

小学校のクラスメイトから、手紙が届きました。
「はやくげんきになってください」
いや、元気だけど?
「よくなったらいっしょにあそびましょう」
あなたとそんな遊ぶような親しい間柄ではないよね?

クラスの隅っこで目立たないわたしのことをクラスメイトは知っているのかどうか。
むしろ、「メガネザル」と隅っこに追いやってるよね?
同級生の書く漢字や読みがなの間違いも気に入りませんでした。
激励の言葉を贈ってはくれましたが、心がこもっているようには全く思えず、冷めた気分で手紙というより文集のようになったソレを読みました。

それよりも母親です。
お店が休みの水曜日にいつもやってきました。
1ヶ月も休んで学校の勉強が遅れるから、と掛け算の九九をわたしに仕込みました。

2の段から始まり、次の週に次の段、詰まったり間違えたりすると何回でも繰り返し暗唱させ、国語の本読みも「朗読」をさせました。
小学校の国語の本読みなんて、「。」から「。」まで。俳優だか声優だかのナレーションみたいに心を込めて抑揚をつけて「朗読」するなんて、クラスから完全に浮くこと間違いなしです。わたしは「朗読」をすることを拒否しました。
母親は許さず、わたしは結局泣きながら掛け算の九九の暗唱と国語の教科書を朗読させられました。

周りに入院している同じくらいの年の子が、売店でお菓子を買ってもらったり、勉強など関係なく楽しそうに面会しているのを見ていました。

水曜日が恨めしくて仕方ありませんでした。
面会に来た親にお菓子や風船を買ってもらえている子が許せまでんでした。

なんでわたしの親は面会に来て勉強のことばかり言うのか。さっぱりわけがわかりませんでした。
あまりにも周りの子どもの親と、うちの親は違いました。でも、「かわいそうに。お母さんが変わってあげたいわ!」とはいつも言ってくれました。

家よりはるかに自由にテレビも見れて、ご飯も手伝わずともちゃんと提供されて、悪くはない入院生活のはずでしたが、家に帰れば母親も態度が違うはず、と早く家に帰りたくて仕方ありませんでした。
看護師さんの背中に「わたしはばかでーす」みたいな紙を貼ったり、風船を買ってもらった子に「ちょっと貸して」と風船を受け取り、針で穴をあけて返しました。
なんだかいろいろ無性に腹が立って仕方ありませんでした。
手術が終わったわたしは、看護師さんの手に余るようになってすぐ退院となりました。

実際のところ、入院していたこの間にどうやら妹ができていて(笑)、わたしはさらに苦しむことになります。



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