BTS【ON】のダンスを深掘る
2020年2月にリリースされたBTSの楽曲【ON】
以前アップしたnoteで、私はこの楽曲のパフォーマンスについてこの様に記しました。
個人的に、こちらのコレオはBTSの良さが何もかも詰まった素晴らしいコレオだと思います。
2020年までに培ってきたものの集大成がこのパフォーマンスには詰まっていると思います。
(BTSのダンスを1秒単位で深堀る - でぃ)
"何もかも"詰まっているとはどういう事なのか
このパフォーマンスについて詳しく深堀って欲しい
その様な声を複数頂きました。
一言では言い表せない。
振り付けから構成から全てイイ。
なので、本noteで深掘っていきます。
メンバーの個性だけ見れたら満腹!という方は
『ONに置ける"各メンバーの個性"を聞きたい方へ』
というセクションにまとめましたので目次からそちらへ。(でも全部読んで欲しい)
そして、それとは別に念頭に置いていただきたい文章を過去noteから引用します。
私はダンスに触れている経験者ですが
個人的にはダンスに正解はないと思っているので、答え合わせとして書く訳ではありません。
"それ分かる!"だとか"そういう観点があるのか!"だとか
このnoteを読んだ誰かが、BTSのダンスにより一層深く興味を持てる様になれば幸いです。
また、他の方のダンス解説は見たことがなく、インタビューの読み落としなどもあるかと思います。
既に伝えられている内容もあるかもしれませんが、ご了承ください。
ダンスと防弾少年団が好きな人の、個人的見解として楽しんで頂ければと思います。
それではONのパフォーマンスの魅力
ONのダンスが引き出すメンバーの個性について掘り下げます。
ONの魅力 ~ "2020年までの集大成"の意味~
"2020年までに培ってきたものの集大成"
まずは私がこの様に感じる理由をお話しします。
重要になってくるBTSのコレオのヒストリーを簡単に振り返ります。
【学校三部作】
ゴリゴリのHIPHOPスタイルが多い為、隙間ない"群舞"感が強い振り付けが多くなっています。
(No More Dream , N.Oなど)
【花様年華シリーズ】
感情的な振り付けや、"R&B" "Freestyle"に分類される様な"間"の多い振り付けが目立ちます。しかし、バッチリ合わせるカットも非常に多い為
持ち前の高いパフォーマンス力はしっかり見せつけています。
(I NEED U , Save MEなど)
【Wings , LOVE YOURSELFシリーズ】
今までのコレオと異なる点は激しく動く中でノリやグルーヴが大事になってくる要素が散りばめられている、という点です。
その影響から、Wings以降のパフォーマンスでは
以前よりもメンバーそれぞれの個性が際立ち、BTSならではのパフォーマンスが完成しています。
私の一意見としては、WingsとLOVE YOURSELFシリーズで個々の強みや個性がはっきりとパフォーマンスとして形になったのではないかと思っています。
(Blood Sweat & Tears , Not Today , IDOL , Airplane Part.2など)
【MAP OF THE SOUL : PERSONA】
2019年にリリースされたこのアルバム
今までよりもさらに余裕感のあるコレオ【Boy With Luv】と今まで同様に激しいコレオでありながら、今まで以上に個性が際立っている【Dyonisus】
こちらの2つのパフォーマンスではメンバーそれぞれが自分の強みを引き出せる様になった&技術が上がった事がよく現れていると私は思います。
そして、2020年にリリースされた【MAP OF THE SOUL: 7】の収録曲が【ON】
となります。
ヒストリーについて、もっと詳しく掘り下げた記事はこちら
高さや角度まで揃えた群舞 → 表現力が大事になる"間"がある難しい振付け
を経験している彼らの成長はデビューから順を追っていくと、とても分かりやすく現れています。
ソンドゥク先生(BTSのダンスの先生)どんな気持ち?ほんとすごい。
その着々とスキルを手に入れた末の【ON】のパフォーマンスは
群舞感がありながらも個性が際立ってると私は感じました。
美味しいとこどり!
そして、音楽に合ったジャンルや構成を取り入れている
高い技術、強い個性、音楽に合ったパフォーマンス
ONはこれらをどのコレオよりもしっかりと落とし込めていると私は思います。それが
"2020年までに培ってきたものの集成"
"BTSの良さが何もかも詰まっている"
と表現した理由です。
パフォーマンスの全体像を見ると、デビュー当時の群舞やIDOLの様なスタイルの振り付けよりももっとハードで難しいコレオになっている印象です。
にも関わらず、なぜここまで個性が際立つのか。
それが今回のメインテーマです。
振り付けを見ていく前に
ONのダンスを語るのに欠かせないポイントをお話しします。
ONの魅力 ~Sienna Lalau と BTS~
私が感じるONのパフォーマンスの魅力の最大の鍵は、振り付けを担当した若き振付師の仕事にあります。
ONを担当した振付師は Sienna Lalau
彼女は、J-hopeの【Chicken Noodle Soup】や【Dionysus】の振り付けも担当しています。
また、現時点で9.5億回の再生数を誇るBLACKPINK の【How You Like That】の振り付けにも参加しており、他にも数々のK-POPアーティストの振り付けに参加してます。
18歳にしてBTSの振り付けを担当した天才振付師です。
彼女が、K-POP界で大人気である理由は、グループパフォーマンスならではの揃った時に迫力がある振り付けを作りながらもメンバーの個性や特徴をしっかりと表現できる構成を作ることができる
という点にあると私は考えています。
(構成に関しては事務所側の調整なども関わってきますのでひとえには言えませんが彼女が参加した他のグループのコレオを見ていてもその様に感じます。)
彼女はインタビューでBTSとの仕事のことをこの様に語っていたそうです。
彼らは私が教えた動きをする時もあれば、違うやり方もしました。そんな時「オーマイガー、かっこいい!」となりました。見たことをない動きをとてもかっこよく見せてくれました。
【DANCE magazine 抜粋】
振付師と彼らの間に大きな相乗効果が生まれていたのではないかと私は感じました。
SiennaとJungkook
('ON' Kinetic Manifesto Film Shooting Sketch抜粋)
彼女は元々、コンサートに足を運ぶほどBTSのファンだった様なので、彼らの特徴をよく理解していたと思います。
そんな彼女が作ったコレオをさらに彼ら自身でも解釈して踊っていたともなれば、あのDionysusやONの様な個性溢れるパフォーマンスが完成されたは納得です。
そして、今回のONのパフォーマンスでいつも以上に大きな役割をになっているのはバックダンサー、マーチングバンドの存在です。
BTS本人達がある程度個性的に、個々で踊っていても後ろに常にいるバックダンサーはバッチリと揃っている。
この迫力は今までのBTSのコレオの中では見たことのない様なパッションだと私は思いました。
ダンスブレイクのシーンで、ダンサー達が大きく掛け声をしているのが分かります。
J-hopeのChicken Noodle Soupのセッションシーンでも、盛り上がりが伝わってきます。
ストリートカルチャー好きにはたまらない空気感...
このパッションもONの魅力の1つです。
黒い服でバックダンサーに馴染んじゃうヴィさん
('ON' Kinetic Manifesto Film Shooting Sketch抜粋)
ONのパフォーマンスを掘り下げる【冒頭】
~奇妙な構成~
私が初めてONのパフォーマンスを見たとき、強く思いました。
"なんだか奇妙な構成だな"
と。
構成というのは、フォーメーションの事でなくパフォーマンスの構成です。
ちなみにここで指している"奇妙"の意味は
『珍しくてすぐれているさま。』です。
BTSの過去のコレオを見ていても
メンバーが登場する時、最初からメンバーが1人で登場することはあまりありません。
DNA冒頭
IDOL冒頭
これらのコレオでは
まず、全員が揃った状態からパフォーマンスが始まっているのが分かります。(Airplane Part.2など、例外なパフォーマンスもあります)
ではまず、その点を踏まえながらサビ前までを見ていきます。
(0:27~)
ダンサーが作った花道の中からJIMINが踊りながら進んでいます。
JIMINは
しなやかで高いダンス力を持ちつつ、世界観が強いという特徴があります。
3歩歩く時の顔の角度や「sayin」の歌詞に合わせた顔の動きによる独特な空気感はJIMINならではの雰囲気になっており、さらにその後の強い動きとのメリハリ
JIMIN独自の華のあるダンスが1番最初に現れることで初見から見応えのあるシーンになっています。
そして(0:35~)
(((ク、ク、クオズーーーーーーー!!!※JIMINとVのコンビ名称)))
Vのダンスには、音楽へのアプローチをダンスに落とし込むのが非常に上手いという特徴があります。
JIMINの後に登場するVのシーンは、パワフルな印象ですが振り付け自体はあまり大きい動きにはなっていません。
また、歌詞というよりはビートの音どりがメインな印象です。
「ドンドンカッ」というドラム音に合わせ、ヒットと首を使って表しています。
そしてここ
首、ガンっの振り付け。(((顔が良すぎる)))
こちらについてなのですが、2つ別日の動画を貼ります。
Comeback Stage(0:56)
2020 MAMA(2:42)
これ同じ振り付けですよ....
BTSさん達、回数こなしていくと振り付けとかアプローチ方法が若干変わっているのは有名な話ですが
日によって音へのアプローチ方法を変えている
というのはVらしくてとても良い。
Vの音楽への表現スキルが生かされているぴったりの振り付けです。
(0:46~)
(((ラスボスの登場ですか?開始46秒で?)))
一列になっているダンサーを引き連れてRMが登場します。
RMのパフォーマンスの特徴は、内面の体現化が群を抜いているという点です。
こちらの振り付けでは、彼の内面が
威厳や貫禄として現れており、彼にしか出せない雰囲気になっていると私は感じました。
(ここの振り付けに関してはこちらのRM編でもう少しだけ詳しく書いています)
(1:04)
ここでJungkookとJIMINがダンサー集団とは反対から歩いて登場します。
ダンサーと反対から歩いてくることで、アーティストとダンサーの差別化がはっきりと出来ています。
ダンサーと合流してから、ダンサーは一定の振り付けをしつつ2人はあえて踊っていません。
しかし、最初に差別化をしているのでアーティストが目立ちます。それもダンサーがいることによっての効果になっている。
バックダンサー の人数が多い事を活かせている素晴らしい構成だと感じました。
(1:14)
JINが合流します。
ここ、4カウントしか踊っていないのですが
先ほどJIMINとJungkookが踊っていなかったところにJINが自然に合流して3人で踊り出すという構成になっているからダンスがハッキリと見えると、私は感じました。
JINがセンターのまま3人で移動した後、音に合わせて回りながら移動するという難しい移動の仕方でJungkookがセンターになります。
そして、ここでやっと全員が揃います。
ここまで、サビ前までを見てきました
私が奇妙だと感じた理由は
・サビまで全員揃わない
・出だしから連続で3人ソロ × ダンサー
・かと思えば、2人が歩いて登場する
例えば、ONで初めてBTSのパフォーマンスを見たとしたら
BTSが何人のグループなのかサビまでわかりません。
しかし、1人1人の個性が出ているパフォーマンスを散りばめることでしっかり見応えがあります。(JIMIN , V , RMパート)
そして、2人で歩いて登場して踊っていなくともダンサーのナチュラルな振り付けによりパフォーマンスが全く途切れません。
圧巻の振り付け、構成です。
ONのパフォーマンスを掘り下げる【サビ】
~全て別物~
ONのサビは全部で4回あります。
基本的にどの楽曲も
同じサビでも1番と2番で立ち位置や構成が変わるのは珍しくありませんし、見応えを強くするためにサビの振り付けが若干変わるのは一般的です。
例えばDNAでは
ここの(1:15)と
(2:30)では振り付けが異なります
ここの(3:08)では(1:15)と同じ振り付けと構成で、立ち位置が変わっています。
これは一般的です。
それを踏まえ、
ONはサビのお話ですが
4回全て違う形に作られています。
これには本当に驚きました。
1つずつ見て行きます
ここからは、このDance Practiceの動画を参考にします。
※ここからは特に動画の画質が低下したり少しの時間しか貼れていません。
◎1回目(1:12)
前のセクションでお話しした冒頭部分の後に続くサビです。
ここでは、真ん中の3人が移動してすぐに全員が一斉に踊り出します。
初めて全員が揃うシーンなので、迫力があります。
窓拭きダンスのカノンも最高です。
というかこれどうやって歌いながら踊っているんですかね...本当に疑問です...
◎2回目(2:25)
左にいるSUGA、V 、RMは振り付けを踊っていて
右にいる他のメンバーはビートに合わせて体を打っています。
そして、JIN → J-hope、Jungkook → JIMINの順番に左メンバーと合流しています。
JIMINの動きをを見てみると、すごくわかりやすいですが
ビート → 溜め → ビートという風に音どりを変えることで1回目とは振りの基盤が同じなのに違う雰囲気になっています。
(((ここのジンさんイケメンすぎやしないかい?)))
そしてここで伝えたいことが1つ
窓拭きダンス後のJIN
最後に首で取る音どりをしっかりと強く表しているのがすごく良いです。
JINのダンスの魅力は音と振り付けに誠実なところ
ここでは、2回とも同じ強さで音を取っており、JINの音と振り付けへの誠実さがわかるカットです。
これだけ全身を使っていても首にしっかり意識が入っているのは素晴らしいことだと私は感じました。
◎3回目(4:05)
3回目は、声の音だけをとって踊っています。
この様に動きを抑えながらもしっかり音を取っていることで、雰囲気はガラッと変わっていますがパフォーマンスが途切れていません。
1、2回目と同じ振り付けの窓拭きダンスもVだけが踊っていて他のメンバーは4カウント溜めて4カウント刻んでいます。
この振りの前まで、激しいダンスブレイクだったのでこれくらい雰囲気が変わるとグッときます。
◎4回目(4:23)
3回目からそのままの流れで進む4回目は全く違う振りになっています。
この振り付けは1回目のサビほど大きな振り付けではないですが最初の4カウントは1回目のサビよりもっと細かく足で音をとっています。
3回目は抑えていた分、グッと見入ってしまう上手い作りだと思いました。
これ、絶対めちゃめちゃ難しいです。
ましてやラストスパートです。足が縺れない体力に脱帽です。
そしてここ!JIMINの体の使い方
(ここだけ動画変えてます)
JIMINの長所である華のある世界観がこのたった4カウントに詰まっています。
JIMINはもちろん、JIMINにこの振り付けを渡した振付師には脱帽です。(さっきから帽子脱いでしかないな)
最後はラストスパートと言わんばかりの迫力で迫り、ONのパフォーマンスが終わります。
ONのサビを全て見てきましたが
全て違った雰囲気に仕上がっているのが分かりましたでしょうか。
そして、詳しくは取り上げませんでしたがバックダンサーの振り付けや構成も毎回ガラッと変わっています。
この様に、激しいダンスや溜めを使ったダンスなど、同じサビでもガラッと雰囲気を変えて作られているサビは
ONのパフォーマンスの見応えに繋がっていると強く感じます。
このサビの部分だけ見ても、技術だけでなく表現においてもかなりのレベルを求められています。
しかし、ハードな振り付けの中に個々の強みがしっかり出ており
BTSならではの揃ったときに迫力を感じる群舞要素と個々の個性によるシナジー効果はしっかりと現れているのがわかります。
彼らの適合能力の高さを改めて感じます。
ONのパフォーマンスを掘り下げる【ラップパート】
~ 個性 , ダンサーとの関係 ~
J-hopeパートとSUGAパートを順に見て行きましょう。
(1:31)
全員が同じ音をとっています。
ここの音どり、あまりにもおしゃれすぎませんか?
最初は全員でビートをとっています。しかし、すぐに声の音どりに切り替わっています。
ガンガンのラップではなく、相槌の様な抜きの声が特徴的なパートなので
シンプルな動きで耳に1番に聞こえてくる分かりやすい音をとっている事で、抜きと揃えのバランスが絶妙になっています。
かかとですか?そうですか。(頭を抱える絵文字)
そしてここ
全員で同じ → 左組と右組で違う動き
になっており、SUGA , V , J-hopeが合流します。
緻密な構成です。
さっきまであんなにオシャレに音を拾っていたのに
合流した途端『ボン ボン ドコドン ドコドン』と細かく音をとっています。
初めて見たとき、「うわっ」って声が出ました。"キャー!"とかではなく"うわっ"です
からの
(((あっ、ラスボスはJ-hopeだったんですか?そうですか失礼しました)))
まるで急にヒュッと手を差し伸べられて"ぶたれる?"と思ったら優しく頭を撫でられたって感じです(伝わる?)
急に音どりが早くなったのでバチコン踊るのかと思ったら溜めながら歩いてこっちに向かってくる構成になってます。
そして
音どり、あまりにもおしゃれすぎませんか?(2回目)
『ヒュッヒュッヒュッ』の音をあえて取る事で、見る側は視覚的に取っている音が見えますよね。ここの音はこの様な振り付けじゃなかったら人によっては気にならない音だと思うんです。
"音を表現する"というダンスの良さがわかる振り付けで非常にグッと来ました。
このシーンは総じてJ-hopeのダンス力の高さに目が行きます。
歩くときのグルーヴなんかは生粋のストリートダンサーだなと目頭が熱くなってしまいました。
J-hopeの強みである高いダンス力と音への高度なアプローチ
それらがよく見えます。
(1:49)SUGAパート
SUGAのパフォーマンスの魅力の1つである"ジェスチャー"
SUGAパートでのSUGAの動きはジェスチャーオンリーです。
SUGAのジェスチャーは大きいのでジェスチャーオンリーでも見応えがあり、ここのカットをジェスチャーだけにするのは非常に上手い作りだと私は思いました。
途中でメンバーが入ってきます。
いやなに、カッコ良すぎやろ。
これは、ダンサー寄りの目線になった時の私の考えに過ぎないのですが
この様な、ダンサーがいないと絶対成り立たない振り付けは非常に惹かれます。
メンバーの手の踊りとマッチしているダンサーのこの足の踊りなんか最高です。あと、振付師の引き出しの多さに今一度脱帽です。
そしてその後に、JIMINとVが歌っている後ろのマーチングバンド&ダンサーの動きも、綺麗ですよね。
この様な、ダンサーやマーチングバンドの方々がアーティストをいい意味で引き立たせつつも、ダンサーがいるからこその迫力があるパフォーマンスであるということがよく分かります。
ONのパフォーマンスを掘り下げる【ダンスブレイク】
~パッション~
最大の見せ場、ダンスブレイクを掘り下げて行きましょう。
最初このビデオを視聴してダンスブレイクをみた時、私は
長くない?(嬉しい)
と思いました。
"長ったるくて飽きる"的な意味ではありません。全く。
むしろ、こんなに踊ってくれるの?え、、かっこいい。見応え半端なくない?→長くない?
という訳です。
構成的には8カウント×2(V , JIMIN , J-hope) → 8カウント×2(Jungkook , SUGA , RM ) → 8カウント×4(全員)
全部で 8カウント × 8となっています。
あれ?そんなに長くもなかったな?
この半端ない見応えはなんでしょう?
そもそも授賞式のパフォーマンスとかではないのにこの様なわかりやすいダンスブレイクが入っている楽曲ってあまり多くないと思うのです。
もっとも、【Kinetic Manifesto Film : Come Prima】としてMVとは別に、コレオをメインとしたビデオを出していますし、ダンスブレイクがカットしてある時もあります。
そもそもビデオの出し方自体が特殊ではあるので、それだけを取っても"半端ない見応え"の理由にはなります。
とは言え、新曲であるButterのダンスブレイクは8カウント×4
2013年にリリースされたN.O以来の長さではないでしょうか。
いかに、この楽曲のパフォーマンスに気合を入れているかが伺えますね。
でも違うな。"半端ない見応え"にはもっと明確な別の理由が隠れているな!解明してみせる!(誰)
という私の決意(?)を前提に深掘り開始
(3:29)
JIMINをセンターにJ-hope,Vの3人が踊っているこの振り付け。
足を踏み、体を叩き、手を叩く
この振り付けを最初に見た時に"ストンプ ,クランプ "というジャンルが頭に浮かびました。
以前のnoteでもストンプ というワードを出しました。
その時に私はこんなTweetをしました。
まさにこのTweetで取り上げた部分が、このシーンです。
ストンプというのは、簡単にいうと身体を使って音楽を奏でるジャンルです。
もっと詳しく知りたいという方はこちらの記事がわかりやすいので是非↓
身体を使って音を奏でいるので、かなり強く足踏みをしたり、体や手を強く叩く為、動きが大きくなり多くの場合"発散"をするスタイルになります。
個人的にこのシーンは、ストンプ(またはクランプ)の様なスタイルからインスピレーションを得たのではないかと考えています。
なので、ダンスブレイクの一発目として非常にインパクトがあります。
2020年MAMAのダンスブレイクのJ-hopeもクランプやストンプからインスピレーションを受けてそう(予想)
そして、その後のその勢いのままのVのこの動きは特に痺れました。("の"が多くない?)
(3:36)
SUGAセンターだと...!?(心の声)
前のユニットとは打って変わって、重たいダウンを踏みながら登場する振り付けになっています。
そして
ストップ!!!
片足上げてるんですか?そうですか。(頭を抱える絵文字)
楽曲的な話にもなってきますが、先ほどのチームが『ドコドコドコドコ』とJIMINの音どりが素晴らしかったカットと対照的に、ピタッと音が止まっているのがわかります。
ここでストップする振り付け...
見てる側の息まで止まってしまいそうなシーンです。
ヘイ!!!
床に手をついて着地するのがとても良い。
音が比較的シンプルな分、高低差が生まれると見応えが増します。
そして全員合流(3:44~)
最初の8カウント×1の部分は足で刻んでいる振り付けになっていますが、1番最初に全員が両手を上げていることで
"はいっ、ここから全員!"とわかりやすく伝わります。
(((画質.....)))
釜山兄弟素晴らしい。
高くキックした後のここ
.....まるで急にヒュッと手を差し伸べられて"ぶたれる?"と思ったら頭を撫でられたっ.....これさっきも言いましたね。すみません。
たくさん刻んだ後に、急にヌルッと動いた後ビートを取る一連の流れが素晴らしい。
(((ダンサー最高すぎ)))
さ、次
特徴的な音や見えやすい音をとっています。
しかも、ヒットで。
ここも、音を視覚的に感じやすい振り付けが散りばめられています。
大きい動きではなく、手先の動きやヒットを使って音を取ることで
ここまでで8カウント × 6ずっと踊っているのを見ているにも関わらず、クドくなく胃もたれしない要素になっていると私は感じます。
そして最後の終わり方
全員で踊り始めてからの8カウントの終わりを見てみると
1回目
2回目
3回目
全部"発散"しているスタイルに見受けられますが
ラストは重たく、落ち着いた終わり方でしっかりまとめています。
次のラストスパートにつながった時に、見る側の感情を揺さぶる様な構成です。
"見応え半端なくない?"の理由、わかりましたか?
『緩急』です。
例えば、あなたは退屈な授業中に窓からグラウンドを眺めています。そこではイケメン揃いのクラスが体育の授業をしています。(スクロールしないでお願い聞いて)
そして、1チーム目が50mを走っています。めっちゃ速いです(JIMINチーム)ジッと見ていると2チーム目がめちゃくちゃ綺麗なフォームで走っている(SUGAチーム)その2チームが合流してガンダッシュし始めました。もう目は釘付けです。かと思えばクールにグータッチとかしていたり、突然艶やかに歩き出したり、かと思えばまたガンダッシュ。(全員パート)
もうその一連見ていたら、いちいち「ええ!?うわぁ!なに!?」となりますよね?
そういうことなんです。(どゆこと?)
つまり、緩急を使って様々な要素をこの8カウント × 8に盛り込んでいます。
バラエティパックです。
その為、見ていて面白く、見応えがあります。
これが"見応え半端なくない?"の理由だったのです。
イケメン揃いのバンタンクラス
そしてもう1つ。
このダンスブレイクの全員で踊るシーンは、Jungkookがセンターです。
Jungkookのダンスの魅力はスキルフルでパワフル。センターにふさわしいダンスと言えます。
ずっとセンターにJungkookがいることで見応えがありつつ、クドくない
それがよく分かるダンスブレイクです。
2回転も良いアクセントになっています。
ずっと同じ立ち位置で踊っていますが、この様にセンターの振り付けを変えることで見応えが上がります。
彼のフィジカルの強さ、技術力の高さが際立っています。
ONに置ける"各メンバーの個性"を聞きたい方へ
ここまで、順番にONのパフォーマンスを見て行きました。
ONに置いての各メンバーについてを見たくてこのnoteを覗いてくださった方のために、"メンバーの個性"をパフォーマンスと共に書いている箇所を
簡単にまとめます。
全部読んでくださった方は、飛ばしていただいて問題ありません!
- JIN -
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【サビ】~全て別物~ 』
・2回目サビ
- SUGA -
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【ラップパート】~ 個性 , ダンサーとの関係 ~』
・SUGAパート
- J-hope -
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【ラップパート】~ 個性 , ダンサーとの関係 ~』
・J-hopeパート
- RM -
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【冒頭】~奇妙な構成~』
・RMパート
・こちらのRM編
- JIMIN -
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【冒頭】~奇妙な構成~』
・JIMINパート
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【サビ】~全て別物~ 』
・4回目サビ
- V -
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【冒頭】~奇妙な構成~』
・Vパート
- Jungkook -
『ONのパフォーマンスを掘り下げる【ダンスブレイク】~パッション~』
・最後
メンバーそれぞれの特徴、個性について詳しく記したnoteはこちら
- J-hope , JIMIN , Vの個性について -
- JIN , SUGA , RM , JUNGKOOKの個性について -
BTSさんやっぱりすごい
ハードで難しいコレオになっているにも関わらず、なぜここまで個性が際立つのか。
を、今回のメインテーマとして冒頭に書きました。
ダンスブレイク編で、『緩急』とお伝えしました。
『緩急』は、ダンスブレイクだけでなくONのパフォーマンス全体的に散りばめられています。
緩急の"緩"の部分でそれぞれの個性が際立っています。
それぞれの音へのアプローチや体の使い方の違いを"緩"で表現しつつも"急"の部分ではバッチリ揃っている為、ONのパフォーマンスは
群舞感がありながらも個性が際立ってる、美味しいとこどりな楽曲
に仕上がっている、と私は感じました。
そして、このパフォーマンスについて掘り下げた後に今一度思うことがあります。
ジョギング(マラソン)を想像してみてください。
止まらない様にしますよね。信号でも、足踏みをしています。
それは、『止まると余計疲れるから』なんです。
そこまで極端な話ではないですが、私の経験上でも
ずっと同じ力で踊り続けるパフォーマンスをするより、抜きやグルーヴを使うパフォーマンスの方が疲れます。体幹を使った方がしんどいです。
ONのパフォーマンスは緩急の要素が取り入れられている為、めちゃくちゃ疲れるでしょう。絶対に。
それなのに、最後までこのパフォーマンスを踊り切る体力と表現力には本当にリスペクト&感謝です。
ONのメイキングで
JIMIN「僕たちができる多くのエネルギーをここに注いだんじゃないかと思います」
と語っていました。
また、MAP OF THE SOUL: 7の収録曲紹介でも
J-hope「音楽的変化を試みるアーティストとして改めて成長を見せる曲でもある」
と語っていたのも印象的です。
【ONの魅力 ~ "2020年までの集大成"の意味~】編でお話しした通り
音楽、パフォーマンス共に、彼らは様々なスタイルを通して大きく成長しており
ONは、それを強く実感できる素晴らしい楽曲です。
JIMINが先日のVLIVEで「ARMYに1番見せたいパフォーマンス」と言っていました。
そうだと思います。わかります。見たいです。本当に見たいです。
いつまでも待ってます。
一日でも早く、このパフォーマンスを彼らがARMYの前で披露する日が来ることを祈ります。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
誰かの楽しみが膨らんでいます様に...
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?