BTSのダンスのヒストリーを深掘る
BTSが紹介される時、いつもどんなキャッチフレーズが添えられていますか?
現在は、異例の結果を叩き上げ続けているBTSなので
"世界的を熱狂させる"というニュアンスのフレーズが多いと思います。
では、デビュー当初はどうだったのでしょう。
BTSが2014年MAMAでBlockBとのパフォーマンスを披露した際、密着映像でこんな風に紹介されていました。
『男らしさが魅力のアイドル 防弾少年団』
確かに
『おい、お前の夢は何だ?』
『お前の夢はそんなもんか?』
といった強いメッセージ性のこもった歌詞のデビュー曲
怒り混じりな歌詞、力強いラップパートが現在よりも多く取り入れられています。
そして、HIPHOPスタイルの群舞パフォーマンスが特徴的です。
一言で定義するなら"男らしい"となるのは納得です。
しかし当たり前ですが、デビューから8年以上経ち、彼らの楽曲のスタイルが変わると同時にダンスやパフォーマンスも様々な面で変化をしています。
今回はそんな変化してきたダンス , パフォーマンスのヒストリーについて徹底的に掘り下げていこうという企画です。
学校三部作 (2013~)
学校三部作のコレオの特徴は
・取っている音がビートメイン
・高さや角度までしっかりと揃えている群舞
・力強いダンス
まず、外せないのはデビュー作
【No More Dream】
そしてダンスブレイクが盛り込まれた【We Are Bulletproof Pt.2】
他にも、【N.O】【Danger】【ホルモン戦争】など楽曲に合わせてHIPHOP色がとても強いコレオに仕上がっています。
特徴を細かく見ていきましょう
【Danger】
(1:09 ~ 1:14)では、全員が同じ動きで分かりやすくビートを取っています。
(1:20 ~)のサビ部分で取っている音が声に切り替わりますが
高さや動きが揃っており、首を戻す動きも力強く、ビートにも合っています。↓
学校三部作のコレオの音どりがビートメインになるのは、ラップパートが多い為とも言えます。
韻を踏む影響でラップに合わせると自然とビートに合う様になるからです。
しかし、声を取っている場面でもビートをとっているかの様な強さを放っています。
No More Dreamのサビもわかりやすいです
(1:16~1:39)を見てみてください
特に印象的なのは(1:25)
声が力強い影響もありますが、ここでもビートを取っているかの様な強い動きをしているのが分かりますでしょうか。
声に合わせて踊る時も、ビートに合わせて踊る時と同じ強さで踊る事で、HIPHOPスタイルの持ち味が増加している様に感じます。
We Are Bulletproof Pt.2、そしてN.Oはダンスブレイクに長く時間をとっている事から、主観ですがパフォーマンスに力を入れているチームというメッセージの様にも思えます。
K-POPはパフォーマンスに力を入れているのは当たり前の様に思えますが、彼らの様なHIPHOPスタイルを披露しているグループでかつダンスパフォーマンスに力を入れているグループは珍しい印象です。
デビュー当時、つまり認知度が低い時期にバッチリ揃ったダンスパフォーマンスを披露するのはとても有効的だと私は思います。
パフォーマンスに置いて、メンバーの個性よりも見応えがある力強い振り付けと群舞感を際立たせることにより、初見でグッと目を引きやすいパフォーマンスになるからです。
揃っているパフォーマンスは、見ている側が何度も見たくなる
つまり癖になる要素になりリピート率も上がりやすいです。
実際にその様な戦力を立てていたのか、効果があったのかなどは分かりかねますが
バッチリ揃った力強いパフォーマンスをしていることにより、彼らの長所とも言える圧倒的なパフォーマンス力が色濃く浮き彫りになっているのではないでしょうか。
花様年華 (2015~)
この時期のコレオの特徴は
・歌詞やコンセプトに合わせた切なさや悲しみの表現
・表現力が求められる中でのパフォーマンスのクオリティの高さ
・学校三部作とは少し違うHIPHOPスタイル
学校三部作は高さや角度などを合わせた群舞が特徴ですが、この時期から楽曲に合わせた感情的な動きが増えています。
まずはこちら
【I NEED U】
特に(0:25~0:47)のJ-hopeパートとVパートは1人感情を見せるシーンです
しかし、Vパートでは歌っていない他のメンバーが顔の動きや細かいジェスチャーなどは合わせて踊っているのが分かります。
この様に、ゆっくりと動くシーンや感情的なシーンでも全くパフォーマンスのスピード感は落とさない"群舞要素"は健在に作られているのがよく分かります。
その観点で見て頂きたいのは
【Save ME】
冒頭からソロパフォーマンス~サビまでが、今までと少し違い"間"がある振り付けになっています。全員で踊り始める場面も以前よりは少し緩く作られている印象ですが、(1:23)からかなり揃っているパフォーマンスになっているのが分かります。
"間"のある振り付けの中に群舞感を残すことで今までと同様のパフォーマンス力をしっかりと見せつけている振り付けに仕上がっています。
ここで、"Save MeのサビはEDM感が強くなっているので踊りやすいからでは?"と思う方もいると思います。
しかしこちら
【Butterfly】
(0:13~)
声(歌詞)のリズムに合わせ、細かい動きを取り入れていますよね。
例えば曲調が少し近い、後にリリースされるSpring Dayなどと比べてみると、Butterfly冒頭ほどの細かい動きはあまりありませんし、個人的には曲調を考えるとSpring Dayのコレオの方が自然に思えます。
Butterflyも感情的な要素が多いですが、細かい振り付けを取り入れる事で持ち味であるパフォーマンス力を活かす群舞要素を取り入れてるのではないでしょうか。
そしてもちろん、学校三部作に通ずるHIPHOPスタイルのコレオがあります。
【FIRE】
【DOPE】
花様年華編冒頭で"学校三部作とは少し違うHIPHOPスタイル"
とお伝えしました。私がそう思う理由をお話しします。
この2つのコレオの振付師は【Keone Madrid】という方が参加されています。
"トップレベルのHIPHOPの振り付け師"と言われているダンサーです。
FIREやDOPEの振り付けは私の主観だとK-POPっぽさがあまりないと感じていました。
理由は、キャッチーで真似できる振り付けが少ないからです。
言ってしまえばダンスに触れていない方が真似しやすい様な振り付けはこれまでも少ないです(笑)
なので一概には言えませんが、例えばTWICEのTTなどは当時"TTダンス"と呼ばれ親しまれました。
日本ではNiziUのMake you happyサビのダンスも"縄跳びダンス"と呼ばれ、SNSで流行したのが記憶に新しいです。
男性グループのコレオでも印象に残るダンスは多々あります。
BTSの学校三部作から抜粋すると
【No More Dream】のサビ
インパクトがあり印象に残りますよね。
また、【Danger】のサビも真似しやすい振り付けになっている印象です。
DOPEサビ
むずかしい〜....はや〜〜い...
前述した通り、個人的にK-POPは特にサビに置いて真似しやすいキャッチーな振り付けが特徴だと思います。
しかし、これらの楽曲はキャッチーな"動き"というよりは"楽曲全体を通して"パフォーマンスが印象に残りやすいというイメージです。
学校三部作と少し似たスタイルであるこの2曲は、過去のHIPHOPとは振付師を変え、振り付けのニュアンスを変えることで今までとは違う雰囲気を作り上げていると思います。
学校三部作と比べ音どりが高度で動きや音のはめ方も遊び心があります。
表現の幅が広がったBTSの新たなチャレンジだったのではないかと私は思っています。
この時期のコレオは"群舞"とまでは行かないものの、スローテンポの楽曲でも細かい振り付けを取り入れています。
パフォーマンス力やダンススキルは極めて高い、という特徴はそのままに、楽曲に合わせた雰囲気をしっかりと表現できています。
この表現力という要素は、今後のBTSのパフォーマンスにおいて非常に大切になってくる要素です。
ダンスだけでなく楽曲においてもここまでの差があるスタイルを2年や3年で披露しているのは、様々な方面での努力が伺えます。
Wings (2016~)
この時期のパフォーマンスは、今までのBTSが表現してこなかった部分で、のちに大切になってくる要素をふんだんに取り入れ始めている印象です。
まずは【피땀눈물 (Blood Sweat & Tears)】
こちらの振り付けも先ほど紹介したKeone Madridが参加されています。
この楽曲のMVのメイキングでVが
「セクシーにやってと言われました」
と語っていました。
MVの雰囲気の話だとは思いますが考えて見ると、花様年華シリーズは表現力が求められるコレオが多かったものの、ここまで分かりやすく色気や貫禄を見せる要素が入ったコレオはなかったのではないでしょうか
後の【Black swan】に通ずるコレオだと私は感じます。
そして、個人的にはこの様な貫禄のこもったセクシーさを見せるには群舞では難しいと思います。
しかし群舞的なスタイルは彼らの持ち味であり、このコレオにもしっかり盛り込まれています。
ではそこをどう表現したかというと、『構成』が大きな要素となっています。
この楽曲の構成は、個人個人で動き方が違い、とても細かいです。
極端に言うと、1人だけを見ると分からないけど全体を見てやっと見えてくるパズルの様な構成になっています。
例えば冒頭(0:09)でも
構成をうまく使い音を細かく取っていますが、センターにはこちらを向き怪しい目つきをしたJungkookが見つめています。
そしてラップパートの、周りのメンバーの動きに注目してください。
SUGAパート
RMパート
そしてJ-hopeパート
ラップをしているメンバーは感情的なジェスチャーをしており、他のメンバーは凝った細かい振り付けや構成で動いています。
(これはVパートも同様なことが言えます)
パートが変わる時のVとJungkookの移動量を見るとどれだけ凝った構成になっているのかが分かります。↓
構成をうまく使うことでパフォーマンスは非常に見応えがありますし、メインとなる1人が感情的な動きやセクシーな動きをすることでこれまでにはなかった色気のこもった雰囲気がうまく表現されています。
1人が雰囲気を出し、周りが細かい構成でさりげなく大きな見応えを残しているというわけです。
雰囲気を出しつつ見応えのあるパフォーマンスのコレオとして、完璧だと私は思いました。
現在だったらもう少し違う切り口で考えられそうですが、この時期はスキルで魅せるレベルの高いスタイルを見せつけており、パフォーマンスとして見応えのあるコレオに仕上げている印象です。
【Not Today】
Not Todayはバックダンサーがパフォーマンスの大きな要素になっています。
確かに、FIREなどはバックダンサーが多かったですがNot Todayは、よりバックダンサーが目立つ、むしろバックダンサーなしでは成り立たない構成になっています。これも今までとは違う新たなチャレンジですよね。
【Spring Day】
先ほどもお伝えしましたがSpring Dayは、Butterflyの様な感情に訴えてくるコレオではあるものの、Butterflyに比べて細かい振り付けが少ない印象です。
「へ〜バンタンってこういうこともできるの?」
と思わせるかの様な、あまりこれまでにはないパフォーマンスだと思います。
もちろんこのコレオにも、しっかり合わせた振り付けは多いですが今までより少し緩めに作られていますよね。雰囲気が大切になってくる作品です。
Wings期では、学校三部作や花様年華ではあまりしてこなかった様なスタイルを積極的に取り入れていると感じるコレオが多いです。
完全に主観ですが「こんな事もできるんだ!」と思わせるチャレンジをしていたのではないでしょうか。
LOVE YOURSELF (2017~)
LYSシリーズは全体を通してかなり楽曲数が多いので、取り上げ切れませんがこの時期の特徴は、個性の見せ方が多様という点です。
メンバー1人1人が自身の個性を自覚し、それがパフォーマンスに落とし込まれていると私は感じます。
まずは【DNA】
個人的にはDNAではメンバー1人1人の個性を強く表すことに成功している印象を受けました。
例えばVパート
声に合わせた滑らかな動きですが彼の踊りからはビートも感じることができます。
音を体現することに長けているVの良さが表れていると私は感じました。
そして最後のサビ
DNAの見せ場とも言えるこのパートはJ-hopeがセンターになっています。
首→肘→手と順番に動かしていくアイソレーションを使った振り付けを、繊細でスキルが高いJ-hopeがセンターで魅せてくれる事で見応えが増します。
まだまだピックアップしたいシーンはありますが、この様に彼ら1人1人の個性が分かりやすく映し出されている構成、振り付けが増えたのではないでしょうか。
【IDOL】
日本人ダンサーRiehataさんが振り付けを担当しています。
RiehataさんはHIPHOPの中でもSwagと言うスタイルを踊る方です。
IDOLのコレオでもSwagの要素は多く取り入れられていると感じます。
IDOLについてはメンバーからも
「これはライブでできるかな?と思ったほど体力の消耗が激しいダンスです」といった声や
「歴代級のダンスです。これは1番難しいダンスだと思います」という声が上がっていました。
IDOLの振り付けが以前よりも難しいとメンバーが思った理由のひとつは、激しく動く中でノリやグルーヴが大事になってくる要素が散りばめられているからだと思います。
グルーヴを重要視することで音楽へのアプローチや体の使い方、踊り方が踊る人によって大きく変わります。
その為、激しいコレオの中でもメンバーそれぞれの個性が際立つパフォーマンスに仕上がっている印象です。
先ほどのDNAでは
『このDNAという作品(コレオ)自体が、それぞれの個性を生かした構成になっている』
という印象を受けましたが、IDOLは
『同じ振り付けを踊る中で、個々の個性が出ている』
というイメージです。
個人の個性を引き出す方法を楽曲ごとに、微妙に変えているのではないかと私は考えています。
また、【Anpanman】や【Airplane pt.2】などのコレオもRiehataさんが振り付けを担当されています。
【激しく動く中でノリやグルーブが大事になってくる要素を散りばめる】
という、群舞が強みだったBTSが今まではっきりとは表現してこなかった部分を引き出す振り付けを作り出している振付師だと私は思います。
Riehataさんが振り付けを担当された中でも【Mic Drop】が特に印象的です。
この曲のコレオはやはりグルーヴィーな動きが多く取り入れられており、今までのHIPHOPスタイルよりも深みのあるコレオになっているのではないでしょうか。
冒頭では、今までの様な細かい構成や細かい振り付けではなく、深く重い動きで音楽の重い雰囲気を表現しています。
Mic Dropのパフォーマンスそのものをデビュー当時の様なスタイルで作るならば、固く強くビートを取ったり複雑な構成にしたり充分できる音数です。
(ちなみにここでは優劣をつけたいわけはありません。あくまで例えの話です)
これまでのBTSのコレオでは、8×3カウントも自由に音に乗るだけということはなかったかと思います。
しかしこのタイミングで、今までも踊ってきたHIPHOPで、今までとは違う魅せ方をしています。
今までより表現の幅が広がったことや、ダンススキルが上がったことが伝わるパフォーマンスを見せているのではないかと私は感じました。
他にもFAKE LOVEの様な強く表現力が求められる楽曲や、GoGoの様なHIPHOPでありながらも少しだけ緩めに作られた楽曲など、できることの幅が広がった"BTSの良さ"が様々な形で盛り込まれています。
私が個人的に好きなコレオはBest Of Meですのでこちらも貼っておきます。
LOVE YOURSELFシリーズでは、今まで培ってきた技術や表現力そしてメンバーの個々の強みがうまく融合した作品がパフォーマンスとしてしっかりと形になったのではないかと思います。
また、その個性の活かし方を毎回変えてきているという印象を受けました。
MAP OF THE SOUL:PERSONA(2019~)
タイトル曲【Boy With Luv】
このコレオはSave MEやBlood Sweat & Tearsの振り付けにも参加した【Quick Style】というチームが参加しています。
このコレオの特徴は今までのコレオの中でも最もノリや間が多く、自由に動く時間のあるという点です。
例えば(0:16~)
3Jから始まるこの冒頭でも3人が自由に動きつつ肩の動きを合わせた後、同じ振り付けを踊り始めます。
雰囲気が若干ゆるっとしていて、見ている側が構えずに見れるコレオになっていると私は思います。
(0:31)でVとJINが合流してからも肩の動きを合わせて後ろ向きに移動するノリがメインの振り付けになっているのが分かります。
サビもキックや体をポンポンたたく様なキャッチーな動きを取り入れつつ、ここでもノリが重要な振り付けです。
全体的な印象はゆったりしているもののダラけて見えないのは、彼らのスキルあってこそと言えます。
ここにきてまた、「BTSってこんな事もできるの?」な、パフォーマンスを持ってきています。
彼らのスキルはもちろん、制作陣の引き出しの多さは計り知れません。
そして【Dionysus】
激しいコレオでありながらもメンバーの個性を活かしているコレオですが、Not Todayよりももっとバックダンサーがいないと成り立たないパフォーマンスです。
また、メンバーの2人でパフォーマンスをしたり、3人で振り付けを踊る場面が多く、展開に変化があります。
全体を通してパフォーマンス内でメリハリがついており非常に見応えがあるコレオです。
この2つのコレオは、BTSというパフォーマンスに力を入れてきた集団が個々でもそれぞれスキルがあるというのが分かりやすいコレオです。
何より、Boy With LuvとDionysusのスタイルの違いの高低差が分かりやすくなっています。
"あんな事も表現できるしこんな事も表現できちゃう"
ここまでで様々なスタイルを踊ってきており、表現力やスキル共に成長し続けている彼らなので、様々なアプローチができることは考えれば分かるものの、同じアルバム内でそれを知らしめている点に大変惹かれます。
MAP OF THE SOUL:7(2020~)
【Black Swan】
そして【ON】
こちらの2つがこのアルバムの収録曲のパフォーマンスです。
【MAP OF THE SOUL: PERSONA】と同様、Black SwanとONスタイルの違いによる高低差が分かりやすいパフォーマンスになっていますが
【Black Swan】の様な少し暗い"陰"の表現は今までのコレオの中でも珍しい作りだと感じます。
先ほど、Blood Sweat & Tearsのコレオに触れた時に
" 後の【Black swan】に通ずるコレオだと私は思いました。"
とお伝えしました。
Blood Sweat & TearsとBlack swanは雰囲気やスタイルがBTSのコレオ内では比較的近いと感じます。
(もちろん全然違いますが、あくまでBTSのコレオ内で比較した時のお話です。)
しかしBlood Sweat & Tearsは、サビでジャンプをしたり大きくステップを踏んでいます。どちらかと言うと力を"発散"しているとイメージしてください。
一方、Black swanは全体的に、"発散"より"溜め"が使われているのが分かります。
独特な雰囲気の表現、そしてそれに伴うインナーを使うスキルが求められるこのコレオは、かなり印象に残りました。
【ON】についてはこちらに詳しく詰め込みましたので興味があればご覧ください。
【Black swan】についてはこちらの『Black swan~世界観と個々のスキル~』セクションに記しましたので興味があれば目次からそちらへ
【MAP OF THE SOUL:PERSONA】と【MAP OF THE SOUL:7】の振り付けの違いを見ると分かりますが
Boy With Luvは"ノリ"がメインに作られていますがBlack swanは"溜め"がメインの振り付け
という点が大きな違いです。
DionysusとONはメインの振付師が同じな為、バックダンサーの動き方やスタイルそのものは似ていますが、ONは長いダンスブレイクが入っていたりサビの構成などがより高度になっています。
似たスタイルの中でも、様々なテンションの違いを様々な表現方法で表すことが出来るという事を、再確認させているかの様です。
Dynamite , Butter , PTD (2020~2021)
まずは、2020年8月にリリースされた【Dynamite】
この曲は、英語曲なのもあり、ダンススタイルに関して今までのHIPHOPスタイルやR&Bとは違うジャンルや雰囲気を取り入れています。
親しみやすい音楽に、見ている側も自然と踊ってしまう様なキャッチーな振り付け、楽曲に合った楽しい動き
パンデミックで全世界が暗い雰囲気の中で、楽曲においてもコレオにおいても、とても意味がある作品だと思います。
DynamiteについてはこちらのDynamite編に詳しく書いています。
2021年5月にリリースされた【Butter】
ButterはDynamiteに次ぐ英語曲であり、サマーソングです。
Dynamiteはディスコを彷彿とさせるノリノリな振り付けでしたが、Butterはそのイメージとは若干違います。
サビの振り付けは盛り上がりが見える動きになっていますが、全体を通して爽やかで気張らなくても見やすいパフォーマンスである中、ユニットの振り付けやダンスブレイクなど、しっかりと"ダンス"を見せる場面や、繊細な音どりが散りばめられています。
楽曲に合ったポジティブな印象はそのままに、スキルフルなパフォーマンスになっている印象です。
そして、2021年7月にリリースされた【Permission to Dance】(以下PTD)
振り付けにはVinh Nguyenという方が参加されています。
余談ですが、こちらはVinh Nguyenが過去振り付けに参加されたMVの再生リストです。
覗いてみたらとても面白かったので皆様も是非覗いてみてください
PTDのコレオは振り付けの巧妙さや難しさやパフォーマンス力が求められるものとは少し違い、親しみやすいコレオになっていると私は感じました。YouTubeのShorts Challengeとして踊っている動画を募り、公式チャンネルで動画を公開していたのも印象的です。
みんなが真似できる、親しみやすい振り付けやストーリー性の表現
まだまだ、世の中で問題が山積みな状況の中、歌とダンスで前向きなメッセージを伝えてくれる作品です。
しかし!!!
さすがBTSさん。このコレオの中に私のダンスオタク魂をくすぐるスパイスがありました!
そのお話はこちらのPTD編をご覧ください...!PTDのダンスについて少し細かく書いています。
Dynamite , Butter , PTDの3曲は、このパンデミックの状況の中で、人々にポジティブな影響を与えたいという想いがビシバシとパフォーマンスからも伝わって来ます。
しかしこの3曲は今までBTSが表現してきた、力強いパッショナブルな表現方法は少ない為、個性や表現力がないと、見応えに欠けてしまう作品かと思います。
今までBTSが積み上げて来たスキルや表現力があってこその、何回ステージを見ても飽きない作品だと私は感じました。
さいごに
BTSのパフォーマンスがどの様に変化してきたか、順番に見てきました。
振り付けやスタイルはもちろん、個々の個性も変化していき、その都度それに沿ったスタイルでアプローチしているのが分かります。
そして彼ら自身が常に成長しており、出来る幅が広がった事はこうして細かく見ていくと一目瞭然です。
2015年にリリースされたI NEED Uのパフォーマンスを2020年の年末に披露していました。
【2015年】
【2020年】
この2つの動画を見比べてみると、2015年は体に力を入れ、強く踊っている印象です。
一方2020年は、どちらかと言うとリラックスした様子が見受けられます。
ウェーブは滑らかで、ヒットはさりげないのに分かりやすいです。
同じ楽曲で見比べるとよく分かりますが、確実にスキルがついており、心にも身体にも余裕が生まれています
今のBTSは、余裕を持ちながらもしっかりと見応えのあるパフォーマンスをすることが出来る為、2020年以降にリリースされた楽曲のコレオに繋がっているのだと感じます。
そして何より、貫禄が全然違います。
多方面での努力や、数々のステージをこなしてきた経験による成長は計り知れません。
次はどんなアプローチを見せれくれるのか、今後のステージやカムバックが楽しみです!
ここまで読んでくださりありがとうございました。
ここに記した内容は私自身の
個人的見解、個人的な考察となります。
誰かの楽しみが、膨らんでいます様に...
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