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連載 #夢で見た中二物語 64

約100年ほど前まで存在していて、環境問題による海面上昇によって水中に没して崩壊したかつての巨大文明の地。


その都市に関しては現在も興味本位の取材が入ったりしていたのだが、さすがに人がいなくなって100年も経つ歴史的遺物に対する人々の関心も薄れてきていた。


その都市の存在すらも忘れられようとした頃、一人の女性記者がネタ探しに尽き果てて、例の都市の取材を一人で行なう事を思いついた。


記者は小さな船を雇い入れ、危険地帯であることを示すフェンスに周囲を囲まれた、かつて大繁栄を極めた大都市を有する島の跡へと向かった。



島は全てがフェンスに囲まれていて侵入出来ないようになっていたが、そうでなくとも大都市の残骸である瓦礫やゴミ類が集積するその内部に侵入する事は記者に躊躇いを感じさせた。

その都市は沈む前から多くの問題を抱えていたと聞くが、環境問題もその一つだったのだろう。


船に乗ったままそう考え、フェンスの周りを回っていた記者は、ふとフェンスに人が一人通れるくらいの穴を見つけた。


船頭が止めた方が良いと言うのも聞かず、記者はその穴からフェンス内部へと侵入した。


板切れなどのゴミの上を歩きながら、ふとまだ新しそうな人の生活の跡を見つけた記者は、なおも先へと進むことにした。



だいぶ進んだところで突如人の姿とゴミで出来た家を発見した記者は、驚きながらもその住民のほとんどが子供である事に気付いて疑問を抱く。


この子供達はどこからやってきたのか、どうやって生活しているのか。


親はどこにいるのか、そもそもこの子達は何者か?


しかしその子供達は記者を警戒するわけでもなく、自由に空を飛び回ったり海中を泳ぎ回ったりして一層記者を驚かせる。


それ故に記者はここが既に神がかった場所になっており、自分が踏み荒らして良いような場所ではないと考え、何も見なかった事にして帰ろうとした。


だがいざ船があるはずの場所に戻ってみると、待っていたはずの船が全く見当たらない。


船頭に逃げられたのかと思った矢先、近場に例の船の名前が刻まれた板切れを見つける。


その板切れは確かに先程まで記者が乗っていた船のもので、何か巨大な怪物にでも襲われたような鋭い爪痕がついていた。


ただならぬ状況を感じた記者が子供達に尋ねると、それはこの場所のすぐ下にある海底洞窟を住処としている存在の行ないではないかと言う。


その存在はこの子供達に特殊な力を与えてくれた親代わりのようなものらしいが、気に入らない者には容赦ないらしい。


それを聞いた記者は、もしかしたらこの大都市の崩壊もその怪物の行ないかもしれないと考えた。


それ故に記者は強い恐れを感じたが、このままでは帰るすべもないので、子供達に導かれるままに例の海底洞窟へと向かうことにした。



☆☆☆



今までの夢物語でも何度か書いたようなお話ですが、環境問題と都市伝説が合わさったような夢をよく見ます。


ただ実際は環境問題は夢などではなく、都市伝説の怪物の所為にして放っておいて良いような代物ではありません。


実は次回作シリーズにも環境問題云々のお話が少し出てくるのですが、それらは社会的な問題提起というわけではなく、「著者の自分自身への戒め」といった意味合いがかなり強いです。


なにせ自分も人間なので、何か他の存在の所為にして自分は知らんぷりというわけにはいかないのです。




今回はシリアスなお話になってしまいましたが、いつもご愛読いただき誠にありがとうございますm(_ _)m


これから仕事が忙しくなるシーズンであるのと、次回作シリーズの校正を進めていきたい(改めて見直してみると、想像以上に修正点が多かった)ので、こちらへの投稿数が大幅に減少する可能性があります。


それでもちまちまと投稿していくつもりですので、今後とも宜しくお願い致します ( ^^ )ゞ










中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。