月光

暗くなった空

寂しく浮かぶ月


ちょっとだけ
優しくなった風を
体中に浴びたくて

開け放たれた窓まで
猫のように
はいはいしながら
窓辺へといく

猫の視界を感じながら
そっと
寝そべってみる

背中に感じるヒヤリとした感触

真っ暗な空に
月がひかる

あー、ここは深海だ

そっと
目を閉じる

静まり返った世界

私は今
深海を旅してる

私が吐いた息が
ぷくぷくと水泡になって
登っていく

シャボン玉のように広がった水泡が
一つ
また
一つと割れていく

割れるたびに
音が流れ出し

最後の一つが割れた時
私の視界は明るくなった

一筋の光が
私を照らし出した

閉め忘れたカーテンから
月の光がもれ
私を照らしていた

月の光が見せたまやかし

私は再び
目を閉じた

そこに広がる世界は…