好奇心

好奇心と負けん気が強かった

幼稚園児だった頃

友達と、教室で遊んでいて
ふと、思った。

『この椅子の背中の穴に入ってみたい』

入れないだろうと思っていた。

いや、もし入れてもすぐに抜ける
そう思った。

次の瞬間

「ねぇ、みてみて!」

椅子の背に首を突っ込んで
私は得意げに微笑んだ

「もゆらちゃん、凄い〜」

クラスメイトの声に鼻高になった。

だが、暫くして
私はとんでもないことに気づく

く、首が抜けないのだ。

幼い私は必死に首を抜こうとする
が、どうしても抜けない

「先生!もゆらちゃんが!」
クラスメイトが先生を呼びにいく。

なになにとヤジウマが教室の外に集まる。

鼻高だった私の鼻は折れた

痛くはなかった。
ただただ、恥ずかしくて涙が出てきた。

「大変!」
先生がやってきて、首を抜こうと必死になるが、
私の首は『大きなかぶ』並に抜けない。

「困ったわね」
先生の声に

私は一生、このイスから抜けれないんだ

そう思ったら、涙が溢れてきた

「そうだ!」
集まった先生の中の誰かがいい、
バタバタと教室を出て行った。

その間にヤジウマは増えていく
恥ずかしくて涙が後から後から溢れ出した。

「こちらです」

しばらくすると
先生が誰かを連れてきた

「お!こりゃ、また」
知らない人の声がする

「いいかい、今から、椅子を切るから、
動かないでね。じっとしてたら、すぐ済むから」

そう言って
おじさんはノコギリで切り出した。

「はい、終わり、もう動けるでしょ?
もう、無茶なことしちゃ、だめだよ」

そういうと頭を撫でて、教育を出て行った。

おじさんは幼稚園の隣の製材所の人だったと後で聞いた。

怒られたかどうか、覚えていない

怒られることより
首が抜けなくなるということの方が
ショックだったから。

あまりに昔の事で記憶が曖昧だけど、

みんなが色んな事ができるのが羨ましくて
みんながやらないような事をしたいと思った記憶、ほら!私はできたよ!

そもそも、こんな馬鹿げた事をする子なんていないのだけど😅

幼稚園では暴れまくり、同級生と、廊下に立たされたこともあった。

お母さん、心配して、しょっちゅう、みにきていたのよ。

何年後かにあった担任の先生に言われた。

そんな私は
今や、冒険などせずに暮らしている

あの頃の、クラスメイトにあったら

ほんとに?

と言われるくらいに大人しくなってしまった。

暴れまくるのはもういいが

せめて、好奇心は持ち続けていたかったなあ

その後、
椅子の背に首を突っ込まないように!
と入園した園児に警告が出たらしい。

そして、
その幼稚園は数年前に廃園になってしまった。

幼稚園、小学校、中学校

みんな廃校になってしまった

中学校の、卒業アルバムも、行方不明。

思い出は心の中だけになってしまった。

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