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魔法の一粒

「ひと粒で2度美味しい」
とか
「一粒300メートル」
とか

あるお菓子のキャッチのコピーにのせらて
食べまくり、そんな事ないじゃん、と
徒競走で早くなりたかった私は
ふん!と捻くれた

時は過ぎ
私も親になり
歩かない娘に手を焼く事に…

幼稚園の入園面接
当時3歳

引っ越しが決まり、隣町まで行かなくてはいけない
車なら楽だが、生憎、免許がない

バスに乗れるのを喜ぶ娘

だが、
歩くのは嫌い

数メール歩くと
「疲れた、」と座り込む

困ったなぁ

何げなくカバンに手を入れた

「‼️」

私は魔法の道具を見つけた

それは
未開封の「チョコボール」

えーーい!ダメ元!

私は娘に
「元気が出る、魔法のお薬あげようか?」

「えっ?何何?」

食いつく食いつく

「これ食べるとね、元気が出て、一杯歩けんだよ」

私は子供に暗示をかけてみた

ちょうだいと言う娘の手に
一粒置いた

「元気出た!歩く」
元気よく歩きだす

だが
暫くすると

「元気なくなっちゃった、元気の元、ちょうだい」

「これはね、いっぺんに食べると
かえって疲れ(鼻血がでたり)ちゃうから
気をつけないといけないから、本当に動けなくなるまで頑張ろうね」と簡単にあげなかった。

意地悪だよなぁと思いつつ
歩けるのはわかってたから
ちょっとだけ
厳しくした

もうダメ!本当に歩けない

娘が座り込んでしまったので
はい、と一粒

幼稚園は目の前

ただ最後に
難関が待っていた

幼稚園は急な坂道の上

(これ、チョコボの力だけでは無理かも)

私が思った瞬間

園の門があき
先生が出てきた

そして
大きく手を振って
「もう少しだよ!頑張れ!」
と大きな声で応援してくれた

その声で娘は
しゃきっと背筋を伸ばして

「もうすこし、もう少し、頑張れ」
と呟きながら
坂を登り始めた

は、はやい…

私は息を切らしながら
必死に追いかけた

「歩いてきたの?すごいね!
よく頑張ったね」
先生に頭を撫でられながら
「魔法のお薬を食べながらきたの」
にっこり笑う娘に
笑い返しながら、私をみた先生に
チョコボールの箱を見せた。

ああ、という感じで
先生がにっこり笑った

幼稚園の面接では
ご機嫌で
来るまでの道のりでのぐずぐずは
嘘のよう

帰りも「魔法のお薬」
必要かな
と思いつつ
残りわずかで心配になった

だが!
「帰りはね、いらないよ、魔法の薬、
ちゃんと歩けもん」

娘が言ったのだ!

びっくりした

先生達に褒められたのが
きっと嬉しかったんだろう。

バス停までの長い道
(大人の足で15分くらい)を
ニコニコ歌いながら歩いた

流石に
疲れたのか
バスでは熟睡していた

娘の成長に驚いた日だった

娘が小学生になった時
その話をしたら
「恥ずかしい🫣」と言っていた

小学生になった時
ちょっとだけ
暗示をかけた

その話は…
また
別の機会に気が向いたら
という事で…

因みに
何故、チョコボだったか
たまたま、カバンに入ってたのはあるけれどチョコレートは疲れが取れて元気になるというプラシーボを私が信じていたから。
私にとってチョコレートは「魔法の薬」
だけど、食べ過ぎると逆効果。だから、
いっぺんにあげずに一粒ずつだったわけです。

ここまで、読んでいただきありがとうございました😊

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