夜遊び

遠距離恋愛中だった20代前半

東京と新潟と離れていて
会えるのは月に2回程度

ちょうど
JRの「シンデレラエクスプレス」のCMが流れていた頃でCMを見るたびに
寂しさを覚えていた

私達は彼が学生の頃から付き合い
私は社会人
二人のデートはもっぱら「映画」だった

アーノルドシュワルツネガーの新作が公開と聞けば見に行った。

公開されるとすぐ見てしまうので
見るものがなくなる、なんて事もあった

衝撃的だったのは
キアヌリーブスの「ハートブルー」
キアヌリーブスというまだ、私の中では無名だった俳優さんに一目惚れした

遠距離恋愛中の彼が新潟から
帰ってきた時は
一晩中、映画を見てたこともある

新宿の映画館、横浜の映画館
などなど…

会話が苦手で
お互い無口になってしまい
食事中、あまり喋らないので
もっぱら映画を見に行った。

映画なら
時間を持て余す事もないし
お互いに気を使わないでいられる

映画は二人の潤滑油だった

別れのホーム

映画のような…

とは、いつもならず…
「またね〜」と手を振る

スマホのない時代
お互いの連絡手段は「家電」

夜中にこっそりと電話して
「今度〇〇に帰るから、〇〇見にいこうね」
と次の映画の予定をコソコソと話す

あの時みた映画が
テレビで放映されると
あの頃が懐かしく思い出される

あの時見た映画の俳優さんが
テレビに出演していると
時の流れを感じてしまう

あの頃のように
隣で笑う彼も
歳をとったけど

あの日見た映画の話をする時は
二人ともあの日に戻る

年齢的に映画館の割引がきく歳になってきたから、また、二人きりで
見に行きたいな。

「あぶない刑事」を(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?