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#24 読書記録:ビジネス書として読む「失敗の本質」—失敗の本質Vol.2

「失敗の本質」読了。
時間かかるなとは思っていたけど、413ページで、読書時間は13時間。使われている言葉も内容も簡単ではない。少し読んでは考え…を繰り返すから、どうしても時間はかかる。だけど、このわかりにくさがいいのだ。ゆっくり考えさせられる。
本は傍線とミミズがはったような文字で書き込みが多数。だいたい電車の中の不安定なところで読んでいるし、鉛筆が思考の速度に追い浸からないから、どうしても乱雑な字になる。電子書籍ではこれができないから、じっくり読むなら紙の本がいいなぁと思う。

「失敗の本質」
Vol.1でもふれたとおり、太平洋戦争(本書では、大東亜戦争を使用)の6つの敗れた作戦の詳細を通して、日本軍の失敗から何が学べるかについて論じた本書。
第1部は、6つの戦闘(ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄)についてその経緯と分析し、第2部では、第1部の総括として組織・戦略的にどのような点が、失敗の要因となっているのかを分析している。第3部では、そこからもう一段深めて、米軍と日本軍の相違点を中心に何が本質的に良くなかったのかを分析し、今後(1984年時点の今後)の日本についての提言としてまとめられている。

本書を読んでの感想は、こんな極限状況でなくても、類似の状況がビジネスや日常では、よくあるということだ。帯に掛かれているような、政府が云々…という遠い話ではなく、かなり身近な問題として、よく行き当たるように思う。勝つか負けるか、負けたら死ぬという状況でないだけで。

正直、自分自身、第二次世界大戦については、いろいろ思うところがあるし、多数の命が奪われた戦闘の内容について、軽々しくビジネス的に扱っていいのかというもやもやはある。ただ、そこを意図的に切り離せば、ビジネス書として、とても学びが多い内容だった。

例えば、最前線にいる現地(支部)と本部の間に、距離的にも心理的にも隔たりがあり、現地支部は本部に不信感を抱いている。
というのも、作戦に備えて訓練していたリソースを他に回せと言われ、一度決まったはずのリソースの補填は、掌を返すようになしになり、作戦が始まってからも本部が言っていたように進まない…ここまでくれば、本部は信じられないから、自分の身は自分で守るしかない。と思っても当然のように思えてしまった。
こんな生死にかかわるようなことに出会ったことはもちろんないが、時々同じような状況の話を聞く。上にはのらりくらりとした返事ばかりして、実際にはそんなに前に進んでいない…のような。生き死にに関わることではないから、流されてしまうことの方が多いが、こういったことで溝が深まると、どこかで致命的な破綻が来るのではないかと思う。

こういう状況に陥らないことが必要なのだ。そのために、このような状況があり得るということをケーススタディとして知っておくことが重要になる。自分の組織にその前兆がないか、知らなくては対処もできないし、そもそも感じる取ることすら難しい。

書かれている内容が内容だけに、自分にとっては、苦しい読書だった。しかし、発刊後、40年経っても版を重ねている理由がよくわかるし、もっとビジネス書としても読まれていいのではないかと思う。


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