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思春期と、「なんで私だけ」

思春期、友達がいるにもかかわらず、なぜ孤独感を抱いてしまっていたのだろう。

その理由は、一見複雑そうに思えるが、実は非常にシンプルな心理的要素が絡んでいる。

「私だけ」を紐解く


「私だけ」と感じることは、自己意識の高まりと、他者との距離感の取り方に深く関係している。

思春期は、自己アイデンティティの確立が進む時期であり、自分と他者の違いを強く意識するようになる。

その結果、たとえ友達と一緒に過ごしていても、「私だけが違う」「私だけが取り残されている」という感覚が生まれやすい。

この感覚は、集団の中で自分がどのように見られているか、他者とどう関わっているかを過剰に意識することから来る。

特に、奇数人数のグループでの活動や3人組での行動は、この孤独感をさらに強める要因となる。

例えば、3人で歩いているときに、自分だけが2人の少し後ろを追いかけるように歩いていることに気づくと、その瞬間に「私だけが孤独だ」と感じてしまう。

この「後ろを追いかける」感覚は、物理的な距離が心理的な距離感を強調し、孤立感をさらに深める。

一緒にいるのに一緒じゃない


また、友達と一緒に笑い合っているときでも、ふと「自分だけが本当には楽しめていないのではないか」と感じる瞬間がある。

このとき、心の中で「私だけが違う」と思い始めると、その感覚がどんどん強まってしまう。

こうした「私だけ」という感覚は、自己防衛の一環として、自分と他者を無意識に区別しようとする心の働きによるものだ。

さらに、思春期は感情の揺れが激しい時期であり、一つの出来事に対して過剰に反応してしまうことが多い。

このため、他者と同じように楽しんでいるはずなのに、心のどこかで「自分だけが寂しい」「自分だけが浮いている」と感じてしまう。

これらの感情は、周囲との共感が欠如しているように感じられる瞬間に特に強く現れる。

また、他者との関係性において、自分の役割や存在価値を常に意識するようになるのもこの時期の特徴だ。

そのため、たとえ友達と良好な関係を築いていたとしても、「自分だけが本当に理解されていないのではないか」「自分だけが孤独だ」と感じることがある。

これは、自分が集団の中でどのように見られているかを絶えず確認しようとする思春期特有の不安感に起因している。

このような「私だけ」という感覚は、時に非常に辛く、孤独感を強める要因となる。

しかし、この感覚を持つこと自体が悪いことではない。

むしろ、それは自己理解を深めるためのプロセスであり、自分と他者との違いを受け入れ、より成熟した人間関係を築くための一歩なのだ。

思春期の孤独感は、自己の内面と向き合い、成長するための重要な経験であるといえる。

大人になってみると

思春期を過ぎ、大人になってから振り返ってみると、あの頃の孤独感や「私だけ」という感覚は、自分をより深く理解するための重要な過程だったと気づかされる。

そして、その経験があるからこそ、他者との関係性をより良く築き上げていくための指針とすることができるのだ。

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