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突然の、ひとり鉄道の旅 #3

 寝覚の床(ねざめのとこ)
父からLINEで教わったその名前は、読み方も分からず、検索してみると、見ごたえのありそうな大きな岩の写真が出てきた。電車の左側の窓から良く見えそうだということも教えてもらう。私の座席は、右側。
 マップを見ておき、近づいてきたらデッキへ移動し、左側の扉の窓から見ることに決めた。

 木曽川沿いをどんどん北上する特急しなの15号。このペースなら、寝覚の床まであと15分くらいかな?と、グーグルマップでの進み具合と照らし合わせる。のんびり座っていれば良いのだけれど、なんだか落ち着かない。

 そう、私は、自分の目的が無事に達成されるかどうか、ドキドキ、そわそわしてしまうのである。「もし、見逃しちゃったらどうしよう」「本当に左側に見えるのかな」「ちゃんと、これだ!って分かるのかな?」などと考えだすと、もう止まらない。

 そろそろだな!と思い、座席を立ってデッキへ。車内とはいえ、扉の側は、すき間風も入ってきて、冷える。だけど、窓に近づくと、外の景色の見え方も違う。座席にいた時よりも、空が広く見え、川も端まで見える。風景を写真に収めながら、グーグルマップとにらめっこ。
 ・・・スタンバイが早すぎたようで、結局7、8分はデッキにいただろうか。さすがに寒くなってきたが、もうここまで来ると、いよいよ座席には戻れない。半分意地になりながら、寝覚の床の登場を待つ。


 そしてついに、その瞬間が!さっきまでの不安とは裏腹に、圧巻の景色に目を奪われた。自然が作り出したこの光景、不思議で、神秘的。見れて良かった。その一言に尽きる瞬間だった。

連写の中の比較的綺麗に撮れていた一枚。

 その後、座席に戻り、ほっと一息。大きなミッションをやり遂げた感(笑)
長野駅への到着まで、あとまだ1時間半程あるし、少し寝ようかな~と、ぼーっと窓の外に目をやる。景色は大きく変わらないけど、なんだかずっと見ていられる風景。この先、もしかしたら、もう見ることのない景色かもしれないと思うと、つい目をやり、写真を撮らずにはいられなかった。そうしているうちに、遠くに見えてきた大きな山(調べると、たぶん穂高岳)に、また目を奪われる。

 結局、眠りにつかないまま、長野駅に到着した。初めて降り立つ駅で、乗り換えのミッション!次は、北陸新幹線 かがやきに乗車する。かがやきが走ってくるところを、ホームから見たいという一心で、急いで乗り換える。無事に成功し、かがやきをホームで迎え入れ、乗車した。東京まで、もう一息!

かっこいい、北陸新幹線かがやき


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