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「高級コンデジ」とは?

皆さんは「高級コンデジ」と言うカメラがあるのはご存じだろうか?

「え? 高級? コンパクトデジタルカメラに高級とかあるわけねぇだろ😒


まぁ一般の方から見ればそう言うことになる訳ですが・・・。
この「高級コンデジ」とは、一般的にこの様なコンパクトデジタルカメラを指します。


「大型センサーを持つコンパクトデジタルカメラ」


一般的な普及価格帯(1万~3万円台)のコンパクトデジタルカメラは、イメージセンサーサイズが殆ど1/2.3型と言う小さいタイプを使用しているのに対し、「高級コンデジ」はこれよりも大きい1型等のセンサーを使用します。
「高級」を謳うだけあり、価格帯も5万~10万円台と一眼レフやミラーレス一眼の入門機が購入出来るぐらい跳ね上がります。

それでは「高級コンデジ」を説明していきましょう。


高級コンデジで使われるイメージセンサーサイズ

まず、イメージセンサーとは従来のフィルムカメラにおける「フィルム」に相当します。
一般的にイメージセンサーが大きいと画像の容量が大きくなる上に解像度も高くなりますが、小さいと画像の容量も少なくなり解像度も低くなります。

高級コンデジでは、普及価格帯のコンデジで使用される1/2.3型より大きい1型や1.5型、一眼カメラでも使用されるAPS-C等が用いられます。
(数こそ少ないですが、フルサイズセンサーを用いるものもあります)

高級コンデジにおいて市販されているものは大半が1型センサー(横13.2mm×縦8.8mm)が用いられています。
このセンサーサイズはマイクロフォーサーズで用いられる4/3型より小さく、普及価格帯のコンデジで用いられる1/2.3型より大きいサイズ。
その為、一眼までは解像度は及ばないが普及価格帯のコンデジより綺麗に撮影出来るのです。

「高級コンデジ」であるPowerShot G7 X Mark IIIで撮影

例えば夜など暗い場所になると、センサーサイズの小さいコンデジではISO感度によるノイズだらけでザラザラした感じになりますが、高級コンデジでは大きなセンサーサイズによりノイズが抑えられ、きれいな写真に仕上がります。


このようなコンデジが出た理由って?

「高級コンデジ」は1型センサーを搭載したものが出る前からいくつか登場していますが、2010年ぐらいまではまだ普及価格帯のコンデジが出回っていた時代でしたので、影が薄い存在でした。

例えば、ソニーの「Cyber-Shot DSC-R1」は、まさしくそのきっかけと言っても良い機種だったのでは無いかと思います。

コンデジと言っておきながらボディは一眼カメラ並みの大きさがあり、センサーサイズも大判のものを使用していたようです。
普及価格帯のコンデジぐらいの大きさで登場したのは、2012年の「Cyber-Shot DSC-RX100」からになります。ここから「高級コンデジ」がソニーを始めキヤノンやパナソニックなどで発売されるようになりました。

このようなコンデジが出た理由として、最初に私が挙げられるのは、


スマートフォンの普及


これになるかと思います。

スマートフォンの登場により、それまでカメラ業界の牙城を築き上げてきた普及価格帯のコンデジの販売が低迷し、次々とメーカーが撤退し始めたのです(例:カシオ)。
その後、カメラメーカーは普及価格帯では生き残れないと判断したのか、次々と高価格帯のコンデジ、所謂「高級コンデジ」を販売するようになったのでは無いでしょうか。

普及価格帯のコンデジが低迷した理由は、スマートフォンに搭載されているカメラのセンサーサイズが1/2.3型であった事が挙げられるでしょう。
もし、1/2.3型では無くこれより小さいものであれば、普及価格帯のコンデジは低迷しなかったはずです。

2番目の理由としては、


スマートフォンのカメラだけでは物足りない方向け


スマートフォンのカメラは先ほど申し上げた通り、センサーサイズの大半が1/2.3型となっています。
高級コンデジは更に大きい1型や1.5型、はたまたAPS-C程度のセンサーサイズになりますので、「スマートフォンのカメラでは画質がイマイチだからもっときれいな写真が撮りたい!」という方向けにステップアップとしてこの高級コンデジが登場したのでは無いかと思います。
ただ、スマホからステップアップする方は高級コンデジをすっ飛ばしてミラーレス一眼に行く方もいるので、実際は微妙なところですね。

3番目の理由は、


一眼カメラユーザーのサブ機


一眼カメラ(一眼レフ、ミラーレス一眼)は、普及価格帯のコンデジやスマートフォンのカメラよりセンサーサイズが大きく、4/3型・APS-C・フルサイズの3つがメインで販売されています。
(中には「中判」と呼ばれるサイズのものもあります)

一眼カメラユーザーは、私のように写真撮影を趣味とする方や作品づくり、はたまた仕事としている方が使用している事が多いです。
一眼カメラは大型のボディが多く、交換レンズまで含めるとかなりの重さになりますよね。そんな中で軽量のコンデジがあると何かと便利・・・でも出来れば一眼カメラに近い画質や操作性が良いなと思いますよね?

それを叶えてくれるのが「高級コンデジ」になる訳です。
一眼に近い画質でかつ軽量・コンパクト。すぐにサッと取り出して撮影出来ちゃうと言う便利さ。加えてメニュー表示も一眼カメラに合わせているので難なく操作もしやすい。
このことから一眼ユーザーのサブ機として高級コンデジを選んでいる方もいるようです。


各社の高級コンデジ

現在、日本で販売されている高級コンデジは5社となっています。

キヤノン(PowerShot)

・PowerShot G1 X Mark III(APS-C)
・PowerShot G5 X Mark II(1型)
・PowerShot G7 X Mark III(同上)
・PowerShot G9 X Mark II(同上)

ソニー(Cyber-Shot)

・RX1RII(フルサイズ)
・RX10IV(1型、ネオ一眼スタイル)
・RX10III(同上)
・RX100VII(1型)
・RX100VI(同上)
・RX100V(同上)
・RX100III(同上)
・RX0 II(1型、コンデジとしては小さめ)
・VLOGCAM ZV-1(1型)※ただしCyber-Shotシリーズではない

富士フイルム(Xシリーズ)

・X100V(APS-C)
・X100F(同上)
・XF10(同上)

パナソニック(LUMIX)

・DC-TX2(1型)
・DMC-LX9(同上)
・DC-LX100M2(4/3型)
・DC-FZ1000M2(1型、ネオ一眼スタイル)

ライカ

・Q2(フルサイズ)
・V-Lux5(1型、ネオ一眼スタイル)
・D-Lux7(4/3型)
・C-Lux(1型)


高級コンデジを販売する予定だった会社

ニコン

「DL」と言うシリーズで2016年6月に販売予定でしたが、IC不具合で販売が出来ずしばらくは未定の状態に。その後2017年2月に正式に販売中止が決まり高級コンデジ競争から外れる形となりました。

原因は
・当時のデジカメ市場が不振であった。
・画像処理のICチップ開発に費用がかかってしまった。

その後ニコンで高級コンデジは一切発売されておらず、2019年に発売されたミラーレス一眼の「Z 50(APS-C・DXフォーマット)」が軽量かつ高画質なカメラの位置づけとなっています。
過去にニコンでは、DLシリーズ発表前に「COOLPIX A」の名前でAPS-Cセンサーを搭載したコンデジを販売していたことがありました。


ユニークな高級コンデジ

高級コンデジの中には、他では例を見ないタイプのものが存在している(いた)ので、ここで取り扱う事としたい。

キヤノン

PowerShot G1 X Mark II

2014年3月発売。キヤノン「PowerShotシリーズ」としては珍しい1.5型のセンサーを持ち、外付けの電子ビューファインダーにも対応した。
後継のMark IIIではAPS-Cセンサーを採用する事となったため、1.5型はこの機種限りで終了。

撮影例


PowerShot G5 X

2015年10月に発売。キヤノンとしては初めて電子ビューファインダーを搭載した機種となり、見た目はまるで小さな一眼カメラ。
後継のMark IIでも電子ビューファインダーは搭載されているが、ソニーRX100シリーズの様なポップアップ式に変更。

撮影例


PowerShot G7 X Mark III

2019年8月に発売。「PowerShot G7 X Mark II」の後継機種であり、キヤノンとしては初めて積層型CMOSセンサーを搭載したことと、コンデジとしては珍しいマイク端子を搭載。静止画だけで無く動画撮影も強化したカメラとなった。
その他にはライブ配信サービス(YouTube Live)にも対応しており、Vlogにも特化している。



ソニー

RX1シリーズ

ソニーの「Cyber-Shot」シリーズとして初めて35mmフルサイズセンサーを搭載した機種。
日本のメーカーでフルサイズセンサーを搭載したコンデジはソニーのみで、他のメーカーは一眼レフやミラーレス一眼として販売している。
(フルサイズコンデジは他にライカQ2が該当する)

価格は40万円台とお高い。


RX0シリーズ

「Cyber-Shot」で最も小さいカメラがこのRX0シリーズ。
アクションカメラ「GoPro」にも近い形ではあるが、センサーサイズはこちらの方が大きい(GoPro : 1/2.3型、RX0 : 1型)。
防水・防塵・耐衝撃・耐荷重性能を備えたある意味強固なカメラと言っても良いだろう。


VLOGCAM ZV-1

「Cyber-Shot」シリーズの位置づけでは無いが、RX100シリーズをベースにVlog(ビデオブログ)仕様にしたコンパクトデジタルカメラ。
RX100シリーズと異なる部分は、液晶ディスプレイがバリアングル式であることと、大型のマイクを搭載していること。
ソニーでは「VLOGのために生まれたカメラ」としており動画機能をメインに紹介しているが、1型センサーを搭載しているので静止画もきれいに撮影出来る。

後にミラーレス一眼のαシリーズとして「ZV-E10」が登場しているが、こちらはセンサーサイズがAPS-Cとなった。
(ZV-E10は2021年12月現在、半導体不足の影響で販売休止中)


パナソニック

LX100シリーズ

高級コンデジとしては無二の存在である「4/3型MOSセンサー」を搭載したコンパクトデジタルカメラ。
4/3型はパナソニックのミラーレス一眼にて「マイクロフォーサーズシステム」として既に導入されているが、そこで使用している4/3型センサーをそのままコンパクトデジタルカメラに移行したものと思って良い。
OEM製品としてライカの「D-Lux7」がある。


最後に

ここまで「高級コンデジ」をお送りして来ましたが如何でしたでしょうか?
高級コンデジが出回った理由等やユニークな高級コンデジも紹介しましたが、当記事をご覧頂き購入のきっかけとして頂ければ幸いです。

スマホのカメラに飽きたあなたも、是非高級コンデジの購入を検討してみてください。




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