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グラフィックデザイナーから見た、クラシルのブランドリニューアルについて

こんにちは。
delyのグラフィックデザイナー、はしもんです。

10月1日に、クラシルはブランドリニューアルをしました。

ブランドリニューアルのために、クラシルの新たな方向性の模索、ロゴデザイン、メッセージ開発、キービジュアルのデザイン等、代表の堀江と小林を中心に、チームでさまざまな準備をしました。
プロジェクトの流れやロゴのデザインに関しては小林がとてもわかりやすくまとめているのでそちらを読んでいただければと思います。

私は当時の思考を残しておきたい!という超個人的な気持ちから、クラシルへの想いやクリエイティブのディティールの部分について、noteに書きたいと思います。

もくじ
1.プロジェクトのはじまり(クラシルの魅力の模索)
2.あたたかさを表現するために
3.ブランドリニューアルページに込めた想い
4.今後について

1.プロジェクトのはじまり(クラシルの魅力の模索)

プロジェクトの始まりは、クラシルがサービスとして急成長してくる中で、◆社内で「ブランド」という言葉自体は浸透しているが、イメージが統一されておらず、「クラシル」に対する共通認識を持てていない。
◆プロジェクトが多岐に渡り、社長一人ではブランドという軸に沿った判断を下すことができない。
といった問題が起きていた事を発端としていました。
小林のnoteより

クラシルはスピード感を持って進んで進んで進んできたところだったので、ロゴのリニューアルを機に一度クラシルを振り返り、新しく変えるというよりは、潜んでいる魅力を引き出して、今のクラシルを正しく表現するということを目指しました。

そのためにも、そもそもクラシルとはなにか、クラシルの魅力はなんなのか、クラシルはどの方向へ進んだほうがいいのか、という部分を洗い出していきました。

・クラシルとしてやっていきたいこと
もともと「クラシルを生活に密着したサービスにしたい」という思いがあり、くらしをよくするということから「クラシル」という名前がついています。
クラシルはレシピ動画サービスですが、クラシルが使われる部分はキッチンだけではありません。
移動中に今日のごはんを考えたり、暇な時間に娯楽としてレシピ動画を見てみたり、大切な人のことを考えて開いてみたり、寝る前に明日はなにを食べようかなと考えてみたり。
今までの料理だけでない、生活に寄り添ったサービスに今後なって行くということを表現できるようになっていく必要がありました。

・料理というものを考える
料理そのもの

当時はレシピサムネイルの改善を進めていた時期で、クラシルの料理ってもっとおいしそうに見せられそうだよね、という話がありました。
「おいしそうだな」「食べたいな」そう感じる料理ってなんだろう。
そのものらしいこと(シズル感)、温度が伝わること。特にクラシルのような家庭料理は「あたたかそうに見えること」なのではないかと考えました。

料理をすること
毎日料理することが楽しい!という方もちろんいますが、「好きだけれど毎日作るのは疲れる、仕方なく作っている、できれば作りたくない・・・」そんな声もよく聞きます。
でも仕方なくても毎日作るものだから、少しでも料理をすることがポジティブになってほしい。クラシルを開くことで少しでも明るい気持ちになってほしい。そんな気持ちがありました。

・クラシルを客観的に見る
クラシルってどう捉えられているのか。
おいしい、わかりやすい、使いやすいと言っていただけることが多いのですが、
「クラシル」をTwitterで検索すると、たまにコメント機能に対して「やさしくて丁寧だね」とお褒めの言葉をいただくことがあります。
クラシルのCSは、コメントをした人がコメントをする前よりもクラシルを好きになってもらう、もっと使ってもらえることを目指していて、そういったあたたかい気持ちがユーザーさんに響いているのだなと再認識しました。

・社員のサービス愛、ユーザーさん愛
70億人に1日3回の幸せを届ける」というクラシルのミッション。それを果たすために社内では常に新しいアイディアや改善を行なっています。
入社したばかりのころ、社員のクラシルへの愛には毎日驚かされていました。
「クラシルを使ってくれているユーザーさん、ユーザーさんだけでなく、料理に関わるすべての人が幸せになるようなプロダクトにしていくぞ」ということを社員のみんなが持っていて、
この社員共通の気持ちがクラシルのコアな部分なのではないか、と思いました。
幸せって、人それぞれ感じるポイントは違うと思いますが、クラシルの言う幸せとは「他人と比較したり見せびらかしたりしない、あたたかい気持ちを感じる幸せ」と堀江が大事にしている価値観です。

そうして「クラシル」を考えていくと、クラシルは料理、気持ち、生活の「あたたかさ」を大事にしたサービスだ、というところに行き着きました。

2.あたたかさを表現するために

行き着いたクラシルの魅力、「あたたかさ」を表現するために、ロゴデザインと並行してクリエイティブのトーンの模索をしました。
小林の記事にも出てきますが、ピンタレストやさまざまな書籍から「クラシルの目指す方向性としてありえそう」というものをひたすらにピックアップして分類し、目指すあたたかさの方向性を探りました。
(グラフィックに縛られず、インテリアやプロダクト、料理写真などもとにかく量を集めて、クラシルの世界観、クラシルがある生活ってどんなものなのかを探っていきました)

(ピックアップしたものの一部)

暑苦しくないあたたかさを表現するために最適なフォントを探したり、カラーを探ったり、写真のトーンを決めたり。

クラシルではあたたかさを表現するために、
スマホ実機ではなくやわらかいイラストを使用したり、丸明Fujiという、丸明朝体の中でも手書き感がありがならもディティールがシンプルなフォントを使用していたり、背景に画用紙のテクスチャをいれています。
写真は自然な光を意識しつつ、食事がおいしそうに見えること、写真から会話が聞こえてきそうなものになるよう、ポージング等も(カメラマンが)工夫を凝らしています。
そういったディティールで、食や生活というリアルな質感を表現し、従来のインターネットサービスらしい表現とは違う表現に挑戦しています。

また、デザインだけではなく、より「あたたかさ」が伝わるよう、コピーを開発しました。

(提案当時のコピー)

他にもたくさんのコピーを開発しましたが、リニューアルを表現するコピーとして、「くらしをおいしく、あたたかく」を採用しました。
「くらしをおいしく」には料理をおいしくという意味もありますが、くらしを便利にするサービス、便利なサービスという意味も込められています。

ロゴができてから、実際にリニューアルするまでに3ヶ月ほど時間があったので、その間は新たに決めたクラシルのイメージ「あたたかさ」の社内浸透を図るためのブランドガイドを作成しました。

内容としては「初めてクラシルに触れる人がガイドを読むことで、大事にしている価値観を共有できる」ことをゴールとし、ブランドコンセプト全体からブレイクダウンした、
働いている人が大事にしている価値観やユーザ属性、ペルソナ、クリエイティブガイドなど、クラシルというサービス全体を総合的に様々な角度から理解/運用できる資料を目指して制作しました。
小林のnoteより

社内各部署に1人に担当者になっていただき定着を手伝ってもらったり、各部署のMTGで時間をいただき説明をしたり。。
全60ページあるので、あまり読んでもらえたりしないかな・・・と正直思っていた部分もあったのですが、積極的に質問していただいたり相談いただいたりと、社内一丸となってクラシルらしさを追求しようとしています。

3.ブランドリニューアルページに込めた想い

↑上の画像からページを見ることができます

ブランドリニューアルページは、あえて、旧ロゴを載せない構成に踏切ました。
旧ロゴを載せないとどういった変更かわかりづらい、リニューアルページとわかりづらいいう懸念がありましたが、
それよりも「新しいクラシルへの没入感」を大切にしました。
クラシルの世界観を表現した動画と、クラシルの新しいメッセージ、クラシルを介してあたたかな気持ち、前向きな気持ちになった人の物語が書かれています。

クラシルの世界にまず入り込んでもらい、メッセージがスッと心に入ってくるような感覚を目指しました。
そのためデザインは、世界に入り込めるよう余白を多めにとり空間の広がりを意識しつつ、物語がリズミカルに読めるようなレイアウトにしています。

ブランドムービーも、ページの中で空間の広がりを見せられるような工夫を動画編集者がしてくれました。

(背景と馴染んでふわっと消えるような演出)

メッセージは、クラシルの裏に人がいるというよりも、“クラシル自身が人格となって語りかける”ようなイメージで制作しました。
形式的な硬いものでなく、このようなメッセージにすることであたたかな気持ちがこもったものに見えることを期待しています。

正直なところ、メッセージが正しく伝わるのか、読み取っていただけるのか、そもそもリニューアルページとして成立しているのかとすごく不安でそわそわとしていたのですが、、、
エゴサしたところ伝えたいメッセージを汲み取ってくださった方、受け入れてくださった方が多くとてもほっとしました。

4.今後について

クラシルは今後も「くらしをおいしく、あたたかく」を表現するために、さまざまなコンテンツを配信していこうとしています。
新たに始まった特集タブで見られるコンテンツも、その一つです。
今はクラシルのブランドの地盤を固めた状態なので、今後はグラフィックデザイナーとして、一つひとつのクリエイティブを丁寧に作り積み上げて、新しくできそうなことをどんどん試していければと思っています・・・!
そして、できたクリエイティブで、よりクラシルがみなさまのくらしをあたたかく支えられる存在だと伝えていきたいです・・・!

ここまで読んでくださりありがとうございました。
これからのクラシルも、どうぞよろしくお願いします。

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