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ムーミン本読み方のすすめ⑤『ムーミン谷の仲間たち』

読み方のすすめ、ようやく5回目です。今回は、7作目『ムーミン谷の仲間たち』をおすすめします。

1. ページ数(講談社文庫の新装版のページ)や章の数や構成の特徴

270ページ(9つの作品からなる短編集で、1話につき30ページ弱)

9つの短編は、下記のとおりです。

春のしらべ
ぞっとする話
この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ
世界でいちばんさいごの竜
しずかなのがすきなヘムレンさん
目に見えない子
ニョロニョロのひみつ
スニフとセドリックのこと
もみの木

各作品はそんなに長いものではありません。各作品に明確な関連はなく、ひとつひとつが独立したお話です。

春のしらべ」「世界でいちばんさいごの竜」「目に見えない子」「もみの木」は読みやすいです。ちなみに「もみの木」は、『ムーミン谷の冬』を読んでから読むとより良いです。

2. 主な登場人物

登場人物は短編によって異なります。ムーミントロール、パパ、ママ、スナフキン、リトルミイ、スニフ、スノークのおじょうさんといったアニメでもおなじみのキャラクターはいずれかのお話に登場します。また、すべての作品にムーミントロールが登場するわけではありません。この作品だけの登場人物もいます。

3. 内容の簡単な紹介(ネタバレに注意しながら)

講談社文庫の裏表紙には「ムーミン谷にすむ仲間たちの楽しい生活を描いた九つの短編集」とありますが、かならずしも「楽しい」ことばかりではありません。登場人物が抱える悩みや作中で生じる問題が解決される様子がさまざまに描かれているお話たちです

4. 挿絵の雰囲気(作品によって違います)

挿絵は、これまでの作品と同様に細い線で描かれた背景と人物もありますが、太くて勢いのある線で人物の輪郭を描くものもあります。

ムーミンやヤンソンの展覧会に行くと、この本の挿絵のスケッチがたくさん展示されているように思います。10月に行ったムーミンコミックス展では「世界でいちばんさいごの竜」の挿絵スケッチが印象に残っています。

5. 小林の「ここが好き」

ひとつひとつの作品に好きなところがあってどのように書くか悩みます。

他の投稿で書いたことと重なるかもしれませんが、何かを理解したりしなかったり、登場人物の内面が変化したりしなかったり、作品により描かれる主題がさまざまです。

いろいろな登場人物の感情とその変化(不変)に触れることができるところが好きです。

6. 小林は「こんな時に読みたくなる」

自分のことや他人のことで悩んでいる時と、ムーミンの世界に唐突に入っていきたい時に読みたくなります!

まず、前者について。登場人物が成長など変化を遂げた時は勇気をもらい、登場人物が変わらない時はありのままの自分でも良いのだと安心します。他人に対しても同じように良い変化も変わらない部分も認められたら、と考えさせられます。

後者について。短編集ということもあって、ムーミンの世界への入り口にもいろんなパターンがあり、その時の気持ちや気分によって、好きな入り口からムーミンの世界に入っていくことができます。ちょっとムーミンたちを覗きたい、という時にはまずこの本を手に取ります

7. 結び

『ムーミン谷の仲間たち』は、おなじみのキャラクターやこの本のオリジナルキャラクターの物語からなる短編集です。登場人物たちが抱える悩みや問題が解決される過程で、彼らの心情の変化あるいは不変に触れることができます。1.では読みやすい作品を挙げましたが、少し難しい作品もあります。各短編はつながっていないので、興味のあるものや読みやすいものから読んでもいいと思います。


ムーミン本読み方のすすめ④はこちら


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