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UNDERTALEと私 #4:ヒーローに成敗された悪党


やるのか、悪党の本番を

2023年2月23日、サンズ戦を諦めて即座にリセット。訝しむフラウィのセリフに、むしろこれからが本番なんだよとばかりにセーブデータも上書き。

しかし覚悟が決まらない。「アンダインとアルフィーの死別ビターエンド」ことアルフィーエンドを本当に目指すのか脳内討論会が勃発。思考や解釈、妄想(音ゲー絡みを含む)を延々とこねくり回していた。

「これ以上なく悲惨な状況で純度を極めたケツイが、正反対かつ強い絆で結びついたふたりの間で受け継がれるシチュエーションはさぞ美しいだろう」とぬかす悪党に対して「悪党に酔ってんな」「言うほど澄みきってるか?」「ゲームの想定内からはみ出せるぞとドヤるの恥ずかしいからな」などとちくちく刺していく良心。良心とは。

各種ネタバレ、解説動画、考察などに触れては、「ポップンのサンズ」の解釈やらフリスクとキャラの辻褄合わせやらも自己流でこねる。ただ、ここでは割愛。

「確信犯」の意味を正確に把握しようともしていた。下記ブログは参考になったが現実世界の法にまつわる話なので、ここでゲームに沿わせて雑にまとめるのは避けておく。

“正義の槍”が突き刺さっておしまいになる人

いつまで経ってもケツイを固めない悪党が、決定打を食らう。
UNDERTALE 生誕5周年コンサートのアーカイブを初めて見た、2023年3月5日のことだった。

Spear of Justiceのオーケストラアレンジが、あまりにも勇壮で凛々しくて煌びやかで、すっかりタマシイを射抜かれてしまった。槍だけにね!

アンテで一番好きなキャラクターはアンダインだとの自覚はあった。コンサートのアーカイブがあることは把握していて、キリがいいタイミングで見るつもりだった。特にSpear of Justiceはトランペットが映えるだろうなと期待していた。――期待以上だったのだ。
オーケストラ全体から放たれる音の力強さは彼女の気迫とカリスマ性、威風堂々たるトランペットは強靭な覚悟の元で輝く槍……あぁ、語ろうと思えば記事が一本できてしまう。

「この曲の魅力はアンダインというキャラクターの魅力そのものだ!」

大っぴらにそう言えてしまう状況は曲のオタクとして生きてきた人間に効く。致命傷。もうこんなに惚れ込んでしまったキャラクターを、彼女が確かに存在する世界の中で自ら手にかけるなんて、たとえロールプレイでも無理だった。

その後、GROOVE COASTERに収録されているSpear of Justice(表記は「正義の槍」)があまりに楽しくて血湧き肉躍る。ちなみにスマホ版でもつい先日配信された。今なら2024年5月6日までリポストキャンペーン中!(宣伝)

私は音ゲーマーとしてUNDERTALEに触れ、Gルートを進むもののサンズ戦で諦め、目指したい悪党を実行するルートはアンダインのケツイを表現するSpear of Justiceに打ち砕かれた。仮に私が音ゲーマーでなかったら、このゲームをこのようには受け取らなかっただろう。
これはサビなので一生擦る予定である。

もしかしたら、UNDERTALEというゲームがたくさんの人に愛されて、ゲームの外まで世界が広がることで、サンズが言っていた「不満を解消する手段」が増えたのではないだろうか?

4周目(TP)

2023年3月19日。心機一転で再リセットしたが、Gルート未完遂リセットと同じ扱いだったようだ。
動機に音ゲーが絡んでおらず、アンダインにベタ惚れでアンダインとアルフィーのカップル(通称Alphyne)を推すプレイヤーとしてまっすぐ目指すTPルート。「4周目はすべてが幸せな茶番」と当時の私は書き残していた。「おちたニンゲンのなまえ」もこれまで共にしていた「アオ」で続行。

見えてくるものが全然違うぞ

素でトリエルさんの攻撃でゲームオーバー。これ以上主人公の前に立ち塞がっても意味はないと悟るトリエルさん……に対して「たたかう」選択肢が消えないゲームなのだなぁ……。

サンズに柔らかくも強烈な圧をかけられたパピルス戦、まさかの一発突破。青くなった直後の骨の避け方に経験が出ていた。

アンダインが放つ殺気で大はしゃぎ。推しに圧をかけられたいオタクで申し訳ございません。槍を出すエフェクトがあまりにかっこいいため、ロードして3回見る。主人公特権の濫用。

懺悔。実は一度モンスターの子を助けず見過ごしてしまった。時間制限があったんだね……それはそう……。罪悪感がすごい。自らゲームオーバになってやり直す。

アンダイン戦。曲が!!!かっこいい!!!!!(曲のオタク)

デート。アンダインの葛藤、負けず嫌いっぷり、勢いの良さ、アズゴア王への信頼の厚さ、部下への配慮、眩しい笑顔、いろんな面が見れて嬉しいね……好き……。

目的のひとつ、電話魔

パピルス&アンダインへの電話魔がとても楽しい。アンダインの話がいっぱい聴けて嬉しい。現実の私は電話が苦手だというのに!
個人的には「アルフィーを心配して『何かあったら私に言うように』と言いかけて取り消すアンダイン」が好きで好きで仕方がない。あんな勢いのお料理レッスンをしていたお方が、アルフィーを大事に想うからこそ干渉しすぎず尊重しようとしているということか……!? 大人だ……好き……。今の付かず離れずの関係を壊したくないパターンだとしてもおいしい……たまらん……。

それにしてもアンダインからアルフィーへの矢印がデカい。初見でこれをじゃぶじゃぶと浴びていたら「Alphyneのビターエンド」なんて気の迷いは起こらなかったのでは?

戻ってウォーターフェルでも電話魔。ちょいちょい小学生みたいなノリになるアンダイン。ピアノのパズル絡みでツンデレになるアンダイン。かわいいね。

滲むGルートと綺麗事

サンズとの食事イベント、Gルートを経由すると思い当たる節が増えすぎて……。「トリエルさんとの約束がなかったら『プレイヤーに』好意を抱かせる努力をこんなにもしなかっただろう」的な意味合いを感じてしまった。

メタトンEX戦も視聴率は至らないながら一発。散々こちらを煽るけれど、しっかり強さを認めてもくれる。根底にニンゲンへの強い憧れや信頼があるからこそなのだろうか。

電話魔をしていたからか、ニューホームへの道が心細い。初見の寄る辺ない不安さとはまた違う。
最後の審判。サンズの二人称は「お前」だから、やはりプレイヤーに向けた話? でももう4周目だし、と鍵をもらいに行く。とてもおちょくられる。まぁある意味デートみたいなものよ。

アズゴア戦も、一発。こちらが与えるダメージがどんどん増える意味が理解できるのがつらい。

フォトショップフラウィ戦。「権限が乗っ取られた」ゲームのウインドウが何度も消される。その度に「赤いタマシイ」のアイコンを何度もクリックすることになるのも演出の一部のような気さえする。

フラウィは自身が残虐な存在だと知っている。そのように行動するしかないと諦めている。自己中心的かつ強大な力を失い弱った彼を成敗することは、彼が信じる「この世界は殺すか殺されるか」の肯定である。それは否定しなければならない。そこにしか逃げ場はないなんてただの思い込みだって言わなきゃいけない。
あぁ、呆れるほどの綺麗事。でも、ゲームの中でくらい貫き通したいよね、綺麗事。

ここまではどれほどベストを尽くしても、主人公がモンスターたちの希望を一気に遠ざけたも同然なのである。それなのに誰も主人公を責めない。犠牲を伴う綺麗事なんて!

P分岐、アルフィーデート。アンダインからの好意が友情だと思い込もうとしているアルフィーがもどかしい。
アルフィーがこれまでついてきた嘘をすべて受け止めてみせるアンダイン、あまりにもかっこいい。ぽっと出の私が惚れ直すくらいなんだから、これがどれほどアルフィーの支えになったことか!!「アニメはフィクション」で一番ショックを受けてそうなあたりも御愛嬌!!

そもそも手紙のお使いの件からしてフラウィの誘導っぽいよなーと考えつつ真実のラボ。知ってると本当に怖くない。フリスクが恐怖と戦いながら進んでるであろうことを忘れてしまうね……。

ちゃんと平和主義者をやりたい

2周目で立った「おわり」とは、あまりにも見える景色が違う。当時はラボからの恐怖と不安が抜けきらず、あらゆるものを疑う弱いニンゲンをやっていたものだ。今回はみんなの表情がよく見えるよ。

アズリエル戦。彼のセリフにある、カッコつきの「ハッピーエンド」「友達のことが大好き」「決して諦めない」。初見時は確かに、ロールプレイの役割でしかなかった。でもこの4周目では、私も心からハッピーエンドを望んでいた。

第2形態での「ふっかつ」。このゲームにおけるボスラッシュは様々な形で対話を重ねて仲良くなった彼らのことを決して忘れないケツイだったんだと思い至る。
さらには同じダイアログボックス内で行われたGルートでの死闘もしっかりと含んでいると感じざるを得なかった。アンダインに「ほほえむ」と出る「キミのマネだよ!」で、不死身のアンダインが最期に見せた笑顔を不意に思い出して感情が決壊したので。まさかこれも想定内?
サンズは確実に狙っているだろう。狙われていたので「ギャグ」と「みのがす」をやっておいた。
ドリーマー(元)夫妻に対する行動はどちらも同じところが密かに好き。本来は同じものを同じように大事にするふたりだと示しているようで。

「タマシイの奥で別の何かが共鳴し始めた」
「手を伸ばし、名前を呼んだ」

「キャラ」ではなく、私が名付けた「アオ」で進めさせてほしい。

初見時にはピンとこなかった部分。「ふっかつ」で6人に呼びかけたのは主人公としての思い出からで、最後にあとひとり「ふっかつ」させるために「アズリエルにアオだと思われていた主人公がアオとしてアズリエルの名前を呼んだ」のか。あるいは「思いやりを持って進んできた主人公を通してアオがアズリエルに呼びかけた」のか。

アズリエルにとっても、確かにアオは誰より大事な存在だったのだろう。長い間フラウィとして生きるうちに本来のアオを忘れ、それでもその特別さだけは残り続け、いつしか歪んでしまったのか? Gルート終盤でのフラウィの独白を経てようやく思い至る。

主人公にもアズリエルにも守りたい存在がいた。だけどアズリエルには折れてもらわねばならなかった。

タマシイを開放したアズリエルをなぐさめてやる「フリスク」。ある意味では残酷に見えるかもしれないけれど、みんなと仲良くなろうとしてきたこの子が選んだことだ。一時的な哀れみがそうさせたとは思えない。「大好きな人に会えないのは寂しいよね」「間違うことは誰にだってあるよ」「君ならちゃんと向き合って立ち直れるって信じてるよ」――そういった気持ちを伝えたかったのだ。アズリエルが温かい支えとして受け取ったから、彼は自らその腕を解いたのだ。私はそう解釈したい。

「これでホントにサヨナラ」

トリエルさんに対してのママ呼びと口説きをしっかり覚えられており、骨兄弟に引かれ、アルフィーに"癖"への理解を示される。4周目ムーブをしただけなんだ……(自業自得)。

遺跡最奥のアズリエルにも会いに行く。あれほど執着していたアオをアイツ呼ばわりするアズリエル。急に悪く言い始めるじゃん、と少々身勝手に感じる描写も、その執着を客観的に見られるようになったからこそ?
ニンゲンに攻撃しろ、というアオからの指示を……アオとの約束を、拒絶した。その判断をずっと肯定できなかった。「殺すか殺されるか」を信じる他なかった。だけどフリスクと友達になれたアズリエルは、誰よりも大事”だった”存在から離れるケツイを得つつある……というような前向きな変化の発露だと思いたい。反抗期。
「殺さず殺されず」は、かつて自身を攻撃してきたニンゲンたちの心境にも思いを馳せたからこその言葉だろうか?

2023年4月16日。4周目にして、これが最後のエンディング。もう二度とリセットしないと決めた。この感情や解釈を伴ったデータを残しておきたい。正しく「これでホントにサヨナラ」。
個人的な解釈では、プレイヤーだけモヤモヤする立場であっても、みんな希望に満ち溢れてるからいいや、と流せた存在こそ最も純粋な"True Pacifist"。だけどそれ以外のルートも、ゲームとして間違っているわけではない。3ヶ月半積み重ねた私にとってのUNDERTALEも、私なりに大事にしていきたい。

鏡を見ると「やっぱり自分だよ、フリスク。」と出る。鏡に写った自分に向けて言うには不自然なセリフ。
サンズの部屋。やはりおちょくられる。そして隠し部屋。謎しか詰まっていない。ともあれサンズの幸せは壊したくないね。
スペシャルサンクスにはあっという間に被弾。無理ゲー。

地下にはフラウィとアオだけが残る。フリスクが大好きになったのはフラウィも例外ではない。安心してくれ、アオだって同じ気持ちだからさ。

Steamのプレイ履歴。デスクトップにもまだアイコンを置いている。

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